« 卓越大学院で概算100億円、ほか大学もの3記事 | トップページ | マイル特典旅行の注意点 »

2017年7月 9日 (日)

”エンジニア”としての大学人の自負

若手研究者を紹介する「拓く 研究人」という弊紙水曜連載で、2017.7.5付に「車燃費改善・クリーン化 日本大学理工学部准教授 飯島晃良氏」を載せました。日大幹部で親しい方に教えていただいての初訪問です。このパターンだと、下調べは多少、しているものの「どんなふうに書けるかな」と思いながらの取材です。でもそれだけに、「これは!」と思う相手との出会いもあります。今回もその形でした。

ポイントは二つです。まず一つは、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)の「革新的燃焼技術プロジェクト」とかかわる視点です。車ではエンジン燃焼の高効率化やクリーン化は、昔も今も圧倒的に重要な研究テーマです。飯島先生はSIPの一員としてこれに取り組みます。一方で最先端の「予混合圧縮着火」(HCCI)にも取り組み、大学ならではのメカニズム解明により、企業が解決できない課題に対するヒントを導き出します。伝統と先端。大学だけど、狭い専門のたこつぼでなく、産業に資する意識。このバランスがいいんですね。

もう一つは、昨今の大学の研究費不足のブーイングの嵐に対して、異を唱えるところです。燃焼室の様子をのぞけるガラス窓設置の実験装置を10万円で、研究室で自作したそうです。学生に考えさせて図面を引かせ、学内の試作工場の担当者とやりとりを繰り返して完成です。この「世界に一つしかない装置で、他で見たことのない現象をとらえられる」と胸を張ります。素敵ですね。SIPの参加メンバーでもあるし、けっしてすごい貧乏研究室というわけではないと思いますが、それはまあ置いておいて(笑)。私は「大型研究費獲得とは異なるエンジニアの醍醐味を大切にする」と飯島先生の人柄を記しました。
一昔前は工学系なら、研究型大学であっても皆、「エンジニア(技術者)の自負」を強く持っていました。企業のような潤沢な研究費がなくとも、秋葉原で部品を買ってきて、装置を作成し、それによってユニークなデータを出す、といった研究をしていました。でも今は多くが、世界トップクラスの「研究者」という過剰意識を持っていて、どうなんでしょうねえ。実際にノーベル賞受賞者だって身近に大勢、出てきていてまんざら夢物語ではない。そのためには一億円の装置も導入したいし、それで大型研究費獲得に血眼になる…。今の先生方の先生の先生くらい(もちろんすっかり鬼籍に入っている世代)の大学研究者は、「大学人でありながら、こんなに金の亡者になってしまって」と嘆いているのではないでしょうか。
では次に、気分を変えて(笑)、この回で「168回」目というこの長寿連載についてです。各研究分野の担当をしている部の仲間は、すごい研究成果の取材からつながったり、ぴかぴかの若手対象の受賞案件から気づいたりして、取材を申し込んでいます。対して私は、大学・産学連携の担当として「企業とのつながりや社会的活動で、ユニークな人をご紹介いただけませんか」と探しています。「それならぜひ、うちの△さんをお薦めします」とのお声がけくださいね。

と、今ブログを書いていて思い出しました。この連載、いっとう最初は私の執筆だったことを。たしか東京工業大学の助教のパーマネント職(定年までいることができる)を投げ出して、東京農工大学のテニュアトラック(定年までいられるどうかは業績次第)に応募した先生でした。とても魅力的で、その時もハイになったことをブログで書いた記憶が…。後でそっと確認してみましょう。この連載、そろそろ「拓く研究人 その後(二巡目)」って形にリニューアルするのも手、かもしれません(笑)。

|

« 卓越大学院で概算100億円、ほか大学もの3記事 | トップページ | マイル特典旅行の注意点 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/521576/65512586

この記事へのトラックバック一覧です: ”エンジニア”としての大学人の自負:

« 卓越大学院で概算100億円、ほか大学もの3記事 | トップページ | マイル特典旅行の注意点 »