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2007年1月

2007年1月26日 (金)

個人的な頼み事の反応

個人的にちょっと思案していることがあり、でも「材先の方にアドバイスいただけそう」と考えて、お願いメールをこのたび、しました。内容はナイショですが、例えば、「私の胃痛原因のピロリ菌が耐性を持ってしまったようだ。そのため、耐性菌に対する治療法ができる医師を探している。以前に取材でお邪魔した医学部の先生に、どこに行けばよいか問い合わせをする」といった感じのシチュエーションです。

それが、皆様、すばやく対応してくださって! ほぼ同時に6人にメールを出したらば、1,2日のうちに全員から返答メールをいただいたのです。それも、前向きな励ましの言葉プラス「相談に来てください」という内容で。本当に感激しました!

年長の先輩からは、「取材相手が話をしてくれるのは、新聞の看板を背負っているから。それを『自分がすごいからだ。こんな社を辞めてもフリーで十分、食べていけるぞ』と勘違いしないように」と何度かいわれていました。もちろん、今回だって、仕事の延長でお願いできたわけです。それは心得ていて、「では、相談と合わせて、先生の最近のお仕事の成果もお聞かせください」って私も伝えているのです。それでも、予想外のよい応対に「嫌われ記者じゃなくってヨカッタ」と思ったのでした。

一方で、意外に苦労するのは、弊紙の決まりもの連載記事への登場お願いです。「わが友わが母校」(金付ウイークエンド面、教授や役員クラス以上が対象)は、学生時代の交友話をしていただくもので、どなたでもOKしてくれそうなのに、前回は7人に当たってようやくOKが…、という具合でした。なぜ?? 仕事の記事ではなくて個人が前面に出てしまうのはちょっと…という方が多いのでしょうか。それから、「週末は別人」(同、中堅管理職以上)は登場する方の本格的な趣味やボランティアについての読み物。「書窓」(月付読書面、研究科長や役員など少し上の役職の方)はその人の生き方に影響を与えた本の紹介です。いかがでしょう、皆様。立候補、歓迎しますよ!

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2007年1月23日 (火)

知財本部で教員を【守る】という発想

「知的管理の人材育成 岩手医大・岩手大が連携 私立と国立間で交流」を19金の
日刊工業新聞、大学・産学連携面で掲載しました。これ、文科省の知財本部事業関連でいうと、すご〜くおもしろいニュースだと思いませんか? 岩手大は知財本部採択校で進んでいるので、少し遅れている地域の大学を支援する、という発想です。岩手大は工・農学部、岩手医大は医・歯・薬学部と理工系で重なりがない。ので、「2大学がからむ産学官連携の共同研究などを進めて、知財管理もしっかりしていこう
」となれば、岩手大にもメリットあり、ですよね。知財本部事業が07年度で終了、その後は「地域連携に集中します」と絞り込む大学も少なくないと予想されるので、よい取り組みだな、と感じたのです。

岩手医大の取材で感心したのは、「知財で稼ぐつもりはないが、ベンチャー役員と大学教員の両立による利益相反など、知らずに危険なことをしてしまうケースがある。大学は、先生方を守らなくてはいけない」という考えだったことです。知財で稼ぐのは大規模校と一部の大学に限られるけれど、「教員を守る」ためにルールを整備するということは、多くの大学で意識する必要があるんですよね。

以前、大阪大の教員が役員を兼務するベンチャーの件で、一般紙の社会部が騒いだことがあります。でも実はそれは、「阪大がスタンスを明確にしていて、認めている範囲内での活動だったから、問題ないんじゃないの?」という結論だった、と思い出します。昔と違って、大学も不祥事の片鱗が週刊誌に出て、騒ぎになる危険性はとても大きくなっていますよね。「よいのはどこまでか、気を付けなくてはいけないのは何か」くらいは、どの大学も押さえておかないと…という時代なのだと感じました。

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2007年1月19日 (金)

大臣も【さん付け】のコラム

内閣府・高市早苗大臣のコラムを、17(水)付日刊工業新聞の科学技術・大学面に載せました。国会が開かれている時期だと、週二回の朝の閣議後会見はとても短時間です。質問がなければ3分くらいで終わってしまう時もあるほど。でも、この日は国会閉会中とあって、会見は30分に。高市大臣は、世界中から優秀な研究者を集めているシンガポールの視察から戻ってきたところでした。そこで、同国のやり方を沖縄科学技術大学院大学にも導入しようとしている件を、コラム仕立てにしました。ニュース記事にするほどではないけれど、読者には知らせておきたいな、という内容だったからです。でも、「このコーナーは堅い記事が多い紙面の中の【オアシス】なので、へえっ、この人はこんなタイプなんだ、というようなおもしろい話を載せるのがいい」というデスクもいます。、私も通常は、そういう話を書くようにしています。

この顔写真入りコラムは、日刊工業新聞の特徴の一つです。日経新聞の産業面にある社長コラムとほぼ同じですが、弊紙では自動車、化学、サービスなど大半のページでそれぞれ載せています。新人記者の訓練の第一課題であり、なおかつ、ベテランに「これが一番難しい」といわれるコーナーでもあります。書き方は統一されていて、出だしはその人がいったコメント、「〜は…だ」を使って、「〜は…ですね、というのは、科学技術政策担当相である高市早苗さん」と書きます。柔らかい読み物にするための方策です。別の官庁の人からですが、「大臣をさん付けするのって、初めて見ました」といわれたことがあります。確かに、役所の人で「高市さん」「伊吹さん」と呼ぶ人はいないでしょうねえ。

このコラムによって、「経済人の顔写真のストックは日刊工業が一番」といわれていて、他紙が写真を買いにくるそうです。昔は、取材先に「写真を送って頂けますか」と頼んで郵送してもらうなど手間がかかりました。私は小さいデジカメを持つようになってから、持ち歩いて、取材後に撮らせてもらうことで、いつでもスタンバイになりました。なにしろ、毎日のコーナーなので、デスクは手配が大変なのです。「山本さん、明日の分、書けないかな?」「えーっ、あと30分で取材に出かけるんですけど」「A記者が書くはずだったんだ。だけど、写真のストックがあると思っていたら、ないって話になって、困ってるんだ」「…わかりました、書きましょう。昨日、デスクにおごっていただきましたし、ね。顔写真はいまからメールで送りますね」って具合です。

このコーナー、社では「ゴシップ」と呼んでいますが、私は外の人に話すときには「コラム」と説明します。だって、ゴシップってあまりよいイメージがないでしょう? 広辞苑によると、「ゴシップ:うわさ話、無駄話、閑談。特に、有名人の私生活に関する話題」ってありますから。例えば、学長取材のあと、「学長のゴシップを書きたいので、顔写真をいただけますか」なんていったら、相手はびっくりしちゃうかもしれない。その驚きようから、プライベートなごたごたの有無が分かっちゃったりして…。

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2007年1月16日 (火)

芝浦工大MOT学生は家族に感謝を…

12(金)付大学面で、「芝浦工大、延世大と連携 技術経営で共同研究 今春に韓国でセミナー」を掲載しました。この中で、セミナーは「社会人学生の参加しやすさを考慮し、土日曜日を使って延世大で行い、月曜朝に帰国・出社する形を取る。社会人学生が家族を同伴することも認める」と書きました。デスクと相談して、この程度にさらっと書いたのですが、実はもっと意味が込められた取り組みなのです。

取材先の先生がいうには、「社会人で大学院というと、時間も費用も家族に迷惑をかけている。2年間で修了するにあたって、セミナー出席兼【卒業旅行】で、配偶者などを連れて行き、家族に感謝する形がよいのでは」ということなのです。なるほど〜。学生はセミナーで拘束されるけれど、同伴家族は観光をするという形は、国際学会などでもよくある形ですし。家族への配慮というのは、授業の内容とはもちろん関係ないけれど、社会人学生&家族にしてみれば、「芝浦工大っていい大学だね」となるのかも。家庭で捻出する感謝旅行の予算も、韓国なら手頃でしょう。「米国大学との連携でなくって正解ですね」って感じ?!

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2007年1月10日 (水)

交通の便が悪い大学

1、2月は仕事に余裕があり、遠出の大学取材もどんどん入れられる状態です。今日もベストのパターン、昼食後に、電車で昼寝をして行き、元気になったところで取材する流れです。「遠いと企業さんなど来てくれないから」と、東京近郊にありながら都心部にオフィスを持つ大学が増えていますが、オフィス家賃など費用対効果はどうなのかしらん。記者会見の場合はマスコミをとにかく集めたいだろうから、都心部のホテルを借りるなり場所を確保することが必要でしょう。でも、通常の産学連携ならば、その大学なり教員なりに中身があって、ちょっと親切なら、そうマイナスにならないと思うなあ。内容と心遣いと、両方、ですよ。

年末に、通常だとちょっと敬遠する距離にある大学行きを決行しました。電車で15分プラス1時間、バスで15分(私は車に弱いからタクシーはパス)。行き方を尋ねた私に先生は、詳細なウエブを示してくれて。建物の写真も参考になりました。取材内容も充実していて、「来てよかった」と思ったのでした。

ところが、帰りのこと。冬は日暮れが早くて心細い。かつて、この大学の学生が飲み会の後に凍死して見つかるまで時間にかかった、という話を思い出します。「先生、帰りのバスの時刻はご存じですか?」「…20分くらい待てば来ますよ」。この寒空の下、20分、「待ちたまえ!」ってことかあ。「僕らはバスを使いませんから」。分かります、皆さんは自家用車で通勤していることでしょう。結局、バスの時刻を見てから、暖房の効いていない建物一階ロビーで本を読んで待ちました。「やっぱり、この大学への取材は、どうしてもというケースのみにしようか」。取材した内容は魅力的だったんですよ。「不便で申し訳ないね」と一言、いってくれればOKだったのに。人のふり見て我がふり直せ。記者は横柄になりがちだから、気を付けようと思います。

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2007年1月 4日 (木)

恋文の書き方

何かを伝えるために書く、という行為の原点は「恋文」ではないかと思う。書かずにいられない情熱を抑えつつ、ちょっと距離を置いて、読み手の側にも立ってみる。大人の恋文なら、そんな配慮が必要だ。

 自分を後回しにしてみて、先に相手の好みや考え方に思いを巡らせる。便箋とカードなど、どんな形がその人に向くか思案する。季節感や呼びかけ文に、相手が喜びそうな題材を探す。その人の心に響きそうな表現を、いくつも挙げてみる。しゃれた言葉も使いたいが、相手が知らない言葉だったら印象は悪くなる。それに、こちらの思いを押しつけないように注意をして……。そうしてつづった恋文に、書き手の個性が反映されて、魅力的で、励まされるなどよい面が感じられれば、それは読み手の心に響くに違いない。

 日刊工業新聞のような実利的な新聞記事は、通常、それとはまったく異なる書き方をしているようにみえる。意識するのは「おもしろいか」「役に立つか」。ハードルの高さは、恋文とは比較にならないほど。ひと目見て、「へえ〜」とも「これは使えそう」とも思えなければ、最後まで読んでもらうことさえかなわない。

 でも実は、07年には記者17年目となる私だって、あまりえらそうなことはいえない。「この原稿、何をいっているか分からないよ」。こんなデスクからの問い合わせ電話がいまだに時々、かかってくる。今、文字にしている文章だって、果たしてうまく読み手に通じているのだろうか? 
 
 読み手の立場になって書くということは、恋文にも記事にも共通して難しく、忘れがちの、そしてとても大切なことだ。それに、書くことは、書き手の思考も文章力もさらけ出すから、読み手のことを想像すると常に恥ずかしさがつきまとう。文章が拙くて誤解が生じることだってある。でも、読み手のことを想って、時間をかけて材料を集め、悩んで執筆したことは、多くの場合、文面から見て取れる。それが、文章という名のコミュニケーションだ。だから私たちは懲りずに、またペンやキーボードに手を伸ばすのだ。「伝えたい」その思いがある限り。

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