他マスコミに出ているかどうか、の重要性
この案件、実は7割方、諦めていたものだったのです。
これは、とある学長出席の記者会見でたまたま出た話でした。発表案件とは別の話を一般紙のN社が質問して、「さすがN社、唐突に関係ない質問ができる度胸はさすが」と感心していたら、学長が「その関係で、○する」って言い出して。ええっ、○?! すごい話じゃないですか。なんでこんな時に出るの? というのは、その日は金曜日で、日刊工業は土日が休刊なのです。N紙をはじめ各紙、明日付にどーんと書くんだろうなあ。この発表だって日刊工業は月付に小さく載せるというナサケナイ話なのに…。それでも会見終了後、各社が学長を囲んで聞き出すのなら私も側に寄らなくては、と思っていたのに、意外にもだれも寄っていかない。学長は一人で去っていく。うーん、なぜ? まあいいや、明日の新聞をチェックしてから、他の件とくっつけた取材で読み物に仕立てるとか考えよう、と判断しました。ところが、その翌日も翌々日も、ずーっと○の件が掲載されてこない。文科省の記者クラブには、文科省広報が毎日、やってくれる記事コピーがあるけれど、私はそう綿密にチェックしていない(だって大半が教育ネタだから)ため、私が気づかないうちに載っているという可能性もあって、ますます「どうしよう?」。
一般紙は、日刊工業が書いたネタでもその後にほとんど同じものを載せることが、たまにあります。一般紙の読者にすれば、日刊工業に出ていようと大半は知らない、つまり新しいニュースですから問題ありません。でも、逆はそうはいきません。ちゃんとした組織の広報は主要紙をくまなくチェックしていますから、「なんだ、一般紙が書いたネタを日刊工業があとから書いているぞ」と笑われるだけです。つまり、「他マスコミ(多くは新聞)に出ているかどうか」は記者の行動を決める、非常に重要な事柄なのです。
仕方がない、取材に行くことにしよう。それで、○の件ならA先生でしょう、と理事の下クラスの実力教授を知っていた私は、メールで直接、アポ。「○の件、他マスコミに出ていなければ取材したいのですが。そのほか△のその後などもお聞かせください」と伝えたメールの返事は「了解しました、お越しください」。うーん、○の件はどうなっているんだ…。取材の冒頭に聞くのも失礼かなと思って、中盤に確認しました。まだ出ていないニュースだってことを。「この件、他紙が反応しませんでしたか」と聞くと、「(広報には)問い合わせがあったみたいだけど、この話を知っているのは学長と僕だけだから」。問い合わせをしてきた記者はそれ以上、取材するツテがなかった、ということのようです。
というわけで、大きな記事を掲載させていただくことができました。よく書けましたねえ。○の件、と明らかにしないのはもちろん、具体例で詳細を示すと当事者に失礼だと思うからです。それともう一つ。「仕方がない、取材に行くか」と判断したのが、会見日からすごーくたってからのことだったのです。○の件、と明らかにすると、どのくらい私の行動が遅かったかが分かってしまうから、明らかにしない…という本音なのでした。
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