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2007年5月

2007年5月25日 (金)

対応がよくなった広報さん

2年ぶりくらいで某私立大学へ取材にいきました。以前、お願いしたとき、広報の中間管理職の方の反応があまりよくなくて。「感じは悪いけど、はずせない大事な取材先」というほどではなかったので、なんとなく離れていました。そのため、今回のアポも、広報室に新たに連絡して、別の担当者にアレンジしていただきました。ずいぶんたっているから、その人は移動しているだろうとも思いましたし。

ところが、取材当日には管理職だからでしょう、その方が登場。おお、変わっていないんですね。長く担当している自分を棚に上げて、ですが。そして今回は、なかなか優れた動きをしてくれまして。取材の後、「○と△の件は、まだ固まっていないので記事はちょっと待ってください」と企業の広報さんのような押さえを入れてきました。さほどのニュースでなかったのでそれは了承でした。それから、私が執筆途中で質問メールを「明日中に出稿しますのでお願いします」といれたところ、すぐ電話がかかってきて「担当者が不在なので、返事は明日でもよいですか」という。へえ〜! なんと対応が向上したことでしょう。その翌日、一部は返事があり、一部は「資料はこれからバック便でお送りします」とのこと。おかげできちんとした原稿を出すことができました。

これまでに何かあったのかなあ。PR会社の、広報向けレクチャーを受講したとか。別件では、某国立大のトップ取材で午前中に訪問したら、取材に関連する一般紙のその日の朝刊記事を出してきて、「朝からちゃんと記事を押さえているなんて、企業並みじゃん」とこちらもびっくりしました。大学の職員である広報さんもずいぶん変わってきているんですね。私は取材相手の場合も、最初、感じが悪かった人でも、それきりにせず、時間をおいてふたたびアタックすることにしています。それでもだめだと、止めちゃいますが。とくに、大学人は大きく変わっている時期ですから、最初の好き嫌いだけで決めつけない方が、結局は得なのかもしれませんね。

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2007年5月22日 (火)

通の読み方に疑問あり

22日付の日刊工業新聞最終面「視点」に、博士取得者(ポスドクなど)のキャリア多様化の文科省施策について記事を書きました。出稿したのは先週末だったのですが、たまたま、週明けの21日付に、朝日新聞の大学面でもポスドク問題が掲載されました。一方、21日に弊紙の「視点」担当デスクと話したところ、原稿払底で「すぐ使う」とのことで、私の記事は朝日さんに続くかのごとく、この翌日付に掲載となりました。

前回の話と関連しますが、弊紙と一般紙とのバッティングというのは、とらえ方が必ずしもひとつでありません。とくに読み物記事は、速報性より読み応えが問われるというのもあります。今回のように、一般紙のすぐ後に弊紙が載せる場合、、「一般紙で注目を集めてもらっておいてから、弊紙に記事が載って、タイミングがよかった」という言い方をしたりして、一方で一般紙が弊紙の記事のすぐ後に載せてくれると「こちらが先んじて載せたぞ。フフフ」という感じで…。どっちも自分に良い方に解釈して、ちょっと脳天気かな?

でも、こういう、うがった見方というか、通の読み方というか、どうなんでしょうね? 新聞社の記者やデスクはこんなことをいうし、弊紙の取材先企業の広報さんも同様です。それは仕事柄、何紙も読み比べて、紙面や記者を評価しているから出てくる感想でしょう。でも、大多数の読者は、手に取る新聞の種類もそう多くないし、こんなことは考えていないだろうな、と思います。私の担当では、大学知財本部など読者と取材先が一致していることが多いし、新聞業界通ではないそちらの感想の方が本物なのかな、と思います。先日は、知財本部とTLOの統合化の大きめ記事(15日付)で、お二方からお褒めのメールをいただきました。皆様、取材先として、読者としての実質的な感想を、ぜひお伝えくださいね!

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2007年5月18日 (金)

大学の「はしか記事」でもめる

18日付大学面で、「はしか休講相次ぐ 文科省が文書通達 (東京工科大など)自宅待機呼びかけ」が載りました。載りました、という言い方は、私が書いたものではないということです。実は、前の日、本社にあがったときに、「はしか、書かない?」といわれ、何のことかとびっくりしたといういきさつがあるのです。で、「私は書きたくないです」と拒否してしまいました。だって、産学連携でも企業が注目する大学話でもなんでもない。つまり弊紙で取り上げる必要はないと思われたこと。「危機管理が得意な△副学長に電話で聞いてみよう」など追加案があるわけではなく、一般紙さんで載っている以上の意味のある情報が取れるとは思わなかったこと。大学担当がたくさんいるなら書いてもよいだろうけれど、私としては取材に動く優先順位が低いこと。それらが理由です。

ところが、今朝、見たら載っているじゃないですか。ふーん? うちの社で定番の、喧嘩の売り言葉・買い言葉である「○さんが書けばいいじゃないですか」と、口にしてしまったからなあ。口調はきつくなかったつもりなんですけど。○さんが書いたのかな? ○さんに直接、確認すると、文科省詰めの別の記者に○さんから連絡が行き、そちらが文科省内の担当部局に聞きにいって書いてくれたとのこと。…すみません、わがままいいまして。

こういう話はうちの場合、よくあるのです。つまり人員が限られている中で、どんな記事を取材して執筆するのか、という重点の置き方の問題です。発表とか一般紙が書くもので、少々うち向きでなくても、なるべく掲載していくべきか。それともそういうものはカットして、うちにしかない記事を載せていくべきか。私は絶対的に後者派なんです。この記事の隣で書いた「清泉女子大 各国企業の環境教育調査 公開シンポなど開催」の方が、意味があると思うタチで。でも、この問題は昔から何度も社内でも議論さrているもの。つまり、正解はないのでしょう。次回、似たようなリクエストが来たときは、どうしようかな…。

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2007年5月15日 (火)

取材テーマは改めて「産学官連携」プラス「大学発ベンチャー」で

15日付大学面で、「知財本部とTLO一本化 産学官連携の第2ステージへ 今後は【知の活用】重視 総合体制で地域産業力強化」を書きました。久しぶりに、私の本流のテーマでの長め署名記事です。最初のきっかけは、2月に書いた、東大が東大TLOの過半株主になった1面記事でした。その後、両組織の一体化という流れが役所取材などから見えてきて、ニュースを狙って取材に行き(理科大や農工大の新しい動きを記事にできました)、かつ「いつ全体をまとめようかな」と思案していたのでした。

東大TLOは、今回も書いたように、2、3年内上場見込みのベンチャーの株をいくつも持っているため、東大への株式譲渡時の評価額が高くなったのが流石です。東大TLOは東大先端研関係の教員など個人が出資して、TLOでももっとも早くスタートしています。ので、当初の設立ににかかわった個人株主には、株式を東大に譲渡することで、かなりの額の対価が入ったんですね。具体的には5人程度の個人株主で、1億7000万円を分け合ったという具合。それを記事に書こうか、これはだいぶ迷いました。だって、すごい話(ニュース)だし、私としては「先行きの見えないときに思い切って資金を個人が出した、その心意気(ある種のアントレプレナーシップ)に報いた、よい事例だな」と思ったからです。情報自体はちょっと調べれば分かることだったし。ただ、この分野では名前の知られている株主が何人かいたので、私の記事を見た人から、「ずいぶんもうけたそうですネエ」なんていわれると気の毒だな、とも考えて。結局、記事の行数を削る必要が出てきたので、記事には「1億7000万円」と「個人株主」とだけの表記(一人あたりいくら、は書かなかった)にしました。気が付く人は気が付く、という程度にして、ただそれだけではもったいないので、こちらのブログに書かせてもらったたというわけです。

今年度は、私の取材の重点を、改めて「大学の産学官連携」に置こうと考えています。大学・産学連携担当になって8年目、昨年度あたりはだいぶ、手を広げました。「ソフトウエア人材の産学連携教育」「eラーニング」「科学技術コミュニケーション」「イノベーション25」などなど。でも、いよいよ大学知財本部事業の最終年度ですから、ポスト事業の予算はどうなるの、各大学はどう変わっていくの、と今、動いている時期です。だから、今回の記事を皮切りに、産学連携の本流のニュースをしっかり書いていきたいと思います。朝日新聞さんが、大学面の新設に合わせて担当記者を何人か投入したからでしょう、大学関連の記事がだいぶ目立ってきました。でも、そういったことに、過剰に心を乱されていては辛いだけ。日刊工業と一般紙さんはいろいろな意味で違うんですから…。それより、弊紙らしい、弊紙の読者が他紙では読めない、社会にとって意味のある、【私の】記事を書かなくてはいけない、と思うのです。なんとなく、原点に戻ってきた気分です。

一つ、新しいものとしては、産学官連携の中でも、各大学がなんとなく支援に手をこまねいている「大学発ベンチャー」に取り組みます。ベンチャーは日経さんが圧倒的に強いから、正直いって、なるべく手を出さずにいました。でも、米国流のバイオやITでベンチャーキャピタルさんなどが大騒ぎしておいて、今、社会としては「なんだやっぱり、大学発なんてだめじゃん」という印象でしょう。なんだか悔しくて。私自身、工学系出身というのもあって、「工学分野の大学発ベンチャーには、浮ついた形でなく、地味でも日本のモノづくりを支える大切な役割があるのでは?」と思うのです。だから、その辺りの応援団の役割も兼ねて、あまり取り上げられていない形での大学発ベンチャーの記事を書いていこうと考えています。お楽しみに!

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2007年5月 8日 (火)

大学改革で相次ぐ政府会議の要求

政府の各種会議で、大学・大学院改革の激しい提言が出て、大騒ぎになっています。経済財政諮問会議が、国立大の運営費交付金に強力な競争原理を導入するようにいえば、教育再生会議は「大学院進学は自校以外を7割に」、「9月入学の大学を5割に」と数値目標までいってきています。

経済財政会議については、文科省が、こういった分野では珍しく勉強会(ニュースがあって会見するというのではなく、記者の理解を促すための説明会)を開きました。「委員個々の意見には、相当の誤解を含んでいる。それだけで記事にされてはたまらない。マスコミは、文科省の言い分をちゃんと押さえてください」というのが理由のようです。伊吹文科相が経済財政諮問会議に説明して回った、という話を聞くと、「権限の大きい組織トップと思っていたけれど、実は中間管理職だった」みたいな(ちょっと失礼な表現かな、ブログということでご容赦を)意外性もありました。

大学関係者は、「乱暴な競争原理を大学に導入しては、人文系など地味な研究分野は壊滅だ」と思うでしょう。それって、法人化の時にさんざん議論してきたことですよね。それで、国立大中期計画での評価に運営費交付金に反映をさせようと、何年も取り組んできているのでしょ? と私も思います。でも、企業人や社会一般はそんなことを知らない…。どんな分野もそうですが、新聞記事に載っていても、興味ないことは読まないから、載ってないのも同然で。それで、「法人化しても大学は、ほとんど変わっていないじゃないか」と平気でいってしまったりする…。

これに対して、教育再生会議の方は怖いですねえ。大学院改革の座長は野依先生だし、委員には東大の小宮山総長も入っているし。大学のことをよく知っている人が関係しているだけに、その過激さに驚きます。東大の学生は、大学院進学で外の大学に行くようにいわれたら、どこを選ぶのかなあ。野依先生のノーベル賞受賞時の在籍大学である名古屋大とか? やっぱり米国大学かしらん。

それにしても、一般紙ががんがん書いてきています。弊紙の体制ではああいう動きはできないものの、大学担当の私もどこかでそれなりに扱わないといけないのでしょう。おっくうだけど。教育再生会議とか、GWの休み中にも開かれているし。本会議は官邸で入りにくいし。一般紙とは違う視点で何を書くかも考えないといけないし。……と、ブログに書くことで、とりあえず、自分に宿題を課すことにします。

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