« 大学改革で相次ぐ政府会議の要求 | トップページ | 大学の「はしか記事」でもめる »

2007年5月15日 (火)

取材テーマは改めて「産学官連携」プラス「大学発ベンチャー」で

15日付大学面で、「知財本部とTLO一本化 産学官連携の第2ステージへ 今後は【知の活用】重視 総合体制で地域産業力強化」を書きました。久しぶりに、私の本流のテーマでの長め署名記事です。最初のきっかけは、2月に書いた、東大が東大TLOの過半株主になった1面記事でした。その後、両組織の一体化という流れが役所取材などから見えてきて、ニュースを狙って取材に行き(理科大や農工大の新しい動きを記事にできました)、かつ「いつ全体をまとめようかな」と思案していたのでした。

東大TLOは、今回も書いたように、2、3年内上場見込みのベンチャーの株をいくつも持っているため、東大への株式譲渡時の評価額が高くなったのが流石です。東大TLOは東大先端研関係の教員など個人が出資して、TLOでももっとも早くスタートしています。ので、当初の設立ににかかわった個人株主には、株式を東大に譲渡することで、かなりの額の対価が入ったんですね。具体的には5人程度の個人株主で、1億7000万円を分け合ったという具合。それを記事に書こうか、これはだいぶ迷いました。だって、すごい話(ニュース)だし、私としては「先行きの見えないときに思い切って資金を個人が出した、その心意気(ある種のアントレプレナーシップ)に報いた、よい事例だな」と思ったからです。情報自体はちょっと調べれば分かることだったし。ただ、この分野では名前の知られている株主が何人かいたので、私の記事を見た人から、「ずいぶんもうけたそうですネエ」なんていわれると気の毒だな、とも考えて。結局、記事の行数を削る必要が出てきたので、記事には「1億7000万円」と「個人株主」とだけの表記(一人あたりいくら、は書かなかった)にしました。気が付く人は気が付く、という程度にして、ただそれだけではもったいないので、こちらのブログに書かせてもらったたというわけです。

今年度は、私の取材の重点を、改めて「大学の産学官連携」に置こうと考えています。大学・産学連携担当になって8年目、昨年度あたりはだいぶ、手を広げました。「ソフトウエア人材の産学連携教育」「eラーニング」「科学技術コミュニケーション」「イノベーション25」などなど。でも、いよいよ大学知財本部事業の最終年度ですから、ポスト事業の予算はどうなるの、各大学はどう変わっていくの、と今、動いている時期です。だから、今回の記事を皮切りに、産学連携の本流のニュースをしっかり書いていきたいと思います。朝日新聞さんが、大学面の新設に合わせて担当記者を何人か投入したからでしょう、大学関連の記事がだいぶ目立ってきました。でも、そういったことに、過剰に心を乱されていては辛いだけ。日刊工業と一般紙さんはいろいろな意味で違うんですから…。それより、弊紙らしい、弊紙の読者が他紙では読めない、社会にとって意味のある、【私の】記事を書かなくてはいけない、と思うのです。なんとなく、原点に戻ってきた気分です。

一つ、新しいものとしては、産学官連携の中でも、各大学がなんとなく支援に手をこまねいている「大学発ベンチャー」に取り組みます。ベンチャーは日経さんが圧倒的に強いから、正直いって、なるべく手を出さずにいました。でも、米国流のバイオやITでベンチャーキャピタルさんなどが大騒ぎしておいて、今、社会としては「なんだやっぱり、大学発なんてだめじゃん」という印象でしょう。なんだか悔しくて。私自身、工学系出身というのもあって、「工学分野の大学発ベンチャーには、浮ついた形でなく、地味でも日本のモノづくりを支える大切な役割があるのでは?」と思うのです。だから、その辺りの応援団の役割も兼ねて、あまり取り上げられていない形での大学発ベンチャーの記事を書いていこうと考えています。お楽しみに!

| |

« 大学改革で相次ぐ政府会議の要求 | トップページ | 大学の「はしか記事」でもめる »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 取材テーマは改めて「産学官連携」プラス「大学発ベンチャー」で:

« 大学改革で相次ぐ政府会議の要求 | トップページ | 大学の「はしか記事」でもめる »