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2007年9月 6日 (木)

今年の概算記事は苦労しました

今年の文科省概算要求の取材は苦労いたしました。参議院選挙があったし、政府のシーリングが出るのが遅くて。他省庁・他新聞を含め、例年なら5月くらいからぽろぽろ記事が出てくるのに、今年は見あたらなかったでしょう? とくに文科省は、情報が漏れ出ないようにという伊吹大臣のにらみが強いとかで、どこをまわってもガードが堅かった。「いったい、いつ取材・執筆に動いたらいいの? その合間を縫って、貴重な夏休みを取らなきゃいけない(いけない、ということはありませんが、笑)のに」と悩む日が続きました。

結局、抜いたのは24日付一面柱「ポスト知財本部事業 地域・大学連携に力 文科省来年度から」と、27日付一面トップ「戦略的大学連携を支援 国公私立超え共同研究 知財管理や教員研修 文科省、運営全般対象に」の2本でした。大学連携というキーワードが共通していて似ているのに、発刊日としては連日の一面(金と月)というのはどうかと私も少し思いました。でも、雰囲気をつかむ取材や関連委員会の傍聴などは春から取り組んできたものですし、要求額もともに50億円と大きいので、やっぱりどちらも一面というのはうれしいですね。記者レク(発表)は29日夕方。一般紙は「よーい、どん」の感覚で、レク資料を基に省内を回って新規施策記事を書いてきました。でも、締め切りも人員も厳しい弊社が、一緒に並んで走っても無理なので、私は31日付大学面のまとめにエネルギーを集中。「08年概算要求 大学・産学連携施策 文科省・経産省 『地域』と『人材』に焦点 独自性ある連携推進 奨学金で人材流動化」を掲載です。見出しの最後に挙げた新規事業は、博士学生への経済支援なのですが、初夏に教育再生会議が提言した学生の流動性向上を意識して「他大学からの進学者が多い大学を採択で考慮する」というもの。再生会議の後も注目してきたテーマだったので、少し意識して書き込みました。

本当はあと2つほど、「もしかしたら抜けるかも」というテーマを持っていたんです。「ここの担当課の課長なら、少し面識があるから、もぎとれるなか」と思ったのですが、「課長は夏休みで」との返事。え〜っ。出てくるのは記者レクの当日、とのこと。分かりますよ、課長の立場としては。「省内の調整も終わったことだし、あとはレク後に対応するのでいい」とお考えだったのでしょう。課長としては。でも記者としましてはねえ。その上の局長にもアプローチしましたが、自民党への説明などで飛び回っているらしく捕まらない。課長の下の、面識のない課長補佐や企画官にもアタックはしてみました。でも、私も情報が不十分だったので、断ってくる相手を説き伏せるほどの手は打てませんでした…。

概算ものはテーマの分類やら数値やらがすごく分かりにくい。そのため、情報が不十分では本当に動きが取れない。例えば、科学技術振興調整費による新規の人材育成事業があったのですが、振興調整費だけ財務省との調整手法が他の予算と違うのです。そのため、レクで出てくる概算要求一覧では、振興調整費の大枠の中に潜り込んでいて「これが新規事業です」とは明示されていない。けど、別の冊子をずうっと見ていって「これは何?」と気づいて、担当課にいくと、ちゃんと資料はあって「新規事業30億円」と公にしていいというんですよ。それから、大学の国際戦略本部強化事業(継続事業)も、活動は大学知的財産本部事業の中で展開されるのに、知財本部事業そのものは今年度で終了することから、いつのまにか別の事業と一緒のグループに区分けされていたりして。

それにしてもポスト・知財本部事業は、これまでの知財本部事業とはかなり違う形になるんですね。5年間、助成を受けてきた43校の多くが「この後ももう5年程度は、我々の育成のための予算が出るだろう。大学単独予算では、まだとても独り立ちできないから」と思っていたことでしょう。それが、「地域・大学連合で」ときて、43校の継続という形はなくなったわけです。一流大はともかく、中堅大は厳しいんじゃないかなあ。これについてはまた、取材に動いていきたいと思います。

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