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2007年10月

2007年10月23日 (火)

博士学生の記者インターンシップで

先週はインターンシップ生受け入れ3年目で、博士2年生を指導しました。期間は1週間と短かったけれど、なるべく記者ではない人にとっておもしろそうな発表やネタを思案して。科学技術部内外の記者らの協力を得て、予定を組みました。終わりが近づいて、「どの取材がおもしろかった?」というのを尋ねました。東芝の製品発表会は社長もCM起用のタレントさんも来たというから(エレ担当記者に連れて行ってもらった)それかなあ。技術取材でいうなら、ペットの生活習慣病がおもしろそうだったな(こちらはバイオ担当記者の協力)、などと思いつつ。そうしたら、「ん〜、神奈川科学技術アカデミー(KAST)の取材と、理研の体内時計のレクですかね」と。へえ、意外。

KASTは、19日付「産学官連携の製造技術プロ 試作で中小支援 DLC・環境対応メッキで設備」で、インターンシップが終わる前に記事化することができました。これは別の企画もの取材で藤嶋昭理事長の取材に行き、でもニュースがほしいなとあれこれ話すうちに、引き出せた案件でした。それも「これはニュース!」と明白なものではなくて、取材するうちに「産学官連携でいわれるこの課題と、KASTのこれまでの経緯を考えると、おもしろい話だな」と気づき、「これに着目して記事にするならばあれと、それとを確認して聞いていかなくては」と判断し、理事長より詳しく話せる方も取材していったというものでした。つまり、努力して【作り上げた】記事ということで、インターンシップ生に解説するのにも力が入っちゃいました。作り上げた、ってもちろんいい意味ですよ。普通なら記事になるとは気づかない話を、産学官連携の担当が長い私だから書けた、という自負が入っているのです。

もっとも、インターンシップ生が感心していたのは、「3年間の短期プロジェクトを新たに立ち上げるのに、KASTはそれを成功させることを重視して、かなり実用化が見えているテーマを取り上げたのか」ということでした。「自分たちの大学の研究でも、将来はこんな分野に応用を…と口にはする。でも、KASTのケースから比べると、応用から遠く離れた基礎研究からいっているわけで、そんなものは意味がないのだろうか」と考えさせられたようです。

それから、理研のレクというのは、22日付科学技術面掲載の記事(これは文部科学省詰めの記者が執筆)、「夜中の光で体内時計一時停止 細胞の脱同調で発生 理研など解明」となりました。「記事前文の執筆の練習するなら、どの話がいい?」インターンシップ生に聞いたところ、これを選んできて。私としては「えーっ、話、わかんないよ」と思いながら、資料をA4一枚の要旨だけは何とか読んで、残りの6枚くらいの資料はパスした案件です。インターンシップ生の専門分野ではないのですが、理研の研究者が科学記者向けに説明するというレベルの難易度で、博士なら理解もできるし、科学的に興味をもった、ということのようです。

昨年の修士1年のインターンシップ生の場合、最初から科学記者志望が強くて、結局、来春に弊社に入社してくれることになりました。でも今回は、そうなりそうにありませんね。いえ、それはそれで問題ないのです。東京工大の科学技術コミュニケーションの講座としては、研究者になる人材に幅を持たせようというのが狙いなのですから。今回は博士学生で新聞社インターンシップを希望するだけでも珍しいのに、半年のドイツ留学経験もあるし、取材帰りの電車内で哲学っぽい新書を読んでいたし(私は昼寝)、「こういう人なら、博士取得者の研究者採用を思案する企業に歓迎されるのだろうな」と実感しました。ぜひ、いい研究者になってくださいね!

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2007年10月11日 (木)

ノーベル賞対応とコウモリの私

「私ってコウモリさんなんだな」としばしば、思います。幼い頃に読んだ絵本に、「コウモリは鳥類の仲間か、ほ乳類の仲間か、都合のいい方で自称していた。どっちつかずだったために、最後は総スカンを食ってしまった」というのがありました。科学技術部に所属しながら、科学技術担当ではなくひとりだけ、大学・産学連携担当なので、普段はマイペースを満喫しているのですが、たまに「周囲から浮きすぎかなあ」と心配になるのです。

記事の出稿は紙面の需給具合(記事が足りないとか、紙面からあふれているとか)によって調整することがありますが、科学技術部の記者は毎日の科学技術面でそれを考えるのに、私だけ週2回の大学面で頭がいっぱい。締め切りが迫って焦るタイミングも、他の部員とは違っています。さらに文部科学省記者クラブ全体でみても、どの社の記者も科学技術担当(科学技術部所属)と、初等中等教育を中心とする文教担当(社会部メーン、一部で政治部も)ときれいに分かれていて、その意味でも大学の知の技術産業活用を中心に置く私は半端なのです。

今週のノーベル賞記事を作る時もそうでした。自然科学3賞のうち、化学賞については、大学担当になった当初は私もけっこう書いていたのです。修士まで有機化学を手がけていたし、入社後6年間は科学技術部のバイオ・医療・化学担当をしていたし、おまけにノーベル財団の英文リリースを訳すのに英語ができるフリをしていた(海外出張に行かせて、とPRするのが狙い)から。でも、最近はネ〜。「○のテーマで受賞した場合、受賞者の先生とは10数年来のおつきあいだから私が執筆するけれど、他のテーマは各担当記者でお願いします」と【お任せ】状態でした。で、昨日の受賞テーマは、蓋を開けてみると、「固体表面の化学反応課程」。物理化学なので、化学担当と物理担当と私と三人、「だれが書く?」とにらみ合い、若手が「私が書きましょうか」といってくれるのを待ってしまった。ニュース前後のノーベル賞まとめ記事も、中堅に声をかけられたのに、「私はちょっと…」と断ってしまった。ごめんなさい〜。でも、私は「慶応大学の研究」の連載執筆も抱えているし〜、モノづくり連携大賞の審査準備もあるし〜、来週からのインターンシップ大学院生指導の係だし〜。やっぱりコウモリさんになっちゃうのです。

ところで、このコウモリの絵本、有名な話なのか、何という題名なのか、だれか教えてくれませんか。それからもう一つ、同世代かちょっと上の方への質問。「コウモリ」ではなくつい、「コウモリさん」って私はいってしまうのですが、これってアニメ「黄金バット」でヒロインの少女が、黄金バットに助けを求めて叫ぶ時の言葉だったと思う。そうですよね? コウモリのヒーローってけっこう気持ち悪い気がするけれど、当時はかっこよかったのかなあ? あ、違うわ、コウモリさんは【お供】で、黄金バットの顔がどくろだったっけ。ノーベル賞はいいから、黄金バットについてだれか、おしゃべりに乗ってきてえ。

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2007年10月 4日 (木)

下期入りで気分一新

さわやかな秋を迎えて下期入りしました。営業パーソンと違い、月ごとの数値を抱えているわけではないのですが、デスク周りも片づけたし、ちょうど出張もあって、区切りを付けて気分がいいのです。

記者クラブにいると発表資料も多く、すぐに乱雑になってしまいますが、私は数ヶ月ごとに資料を取捨選択して片づけをします。「おっと、探していたあの資料がこんなところに」「そうだ、この件も取材してみよう」とちょっとした宝探しで。もっとも、古いスクラップ袋をひっくり返したりすると、「ひやっ、この1年前の一般紙さんの記事。この間、私が張り切って書いた記事とほとんど同じ内容…」というのもあるのですが。

今回はとくに! 仕事とリンクした、社会を意識はするけれど個人で取り組む、あるプロジェクトを10月スタートとしたのです。例えるなら、「取材のテーマに基づいた小説を書いて、プロ小説家を目指す」みたいな感じでしょうか。例えですよ、これはもちろん。

大学・産学連携の担当が8年目になって、最近は辛口の記事も自信を持って書けるようになった(6月あたりのブログをご参照)プラス面の一方、ちょっとマンネリというマイナス面が出てしまうことがあります。それだけに、新プロジェクトに取り組む新鮮さは、仕事にもよい刺激をもたらせるはず。仕事との相乗効果をフルに発揮していこうと張り切っています。

出張で飛行機を利用したとき、その気持ちはさらに盛り上がりました。飛行機は非日常感があるので、もともと好きで。行きの飛行機が飛び立つ時に、心の中で 1安全に 2健康で(胃痛とか風邪とかが多いので) 3よい仕事ができますよう 4(多少の観光なども含め)楽しい旅でありますよう という4つを願います。当初は緊張感あふれる海外出張の場合に、自分を生かしてくれているばくぜんとした存在に対して、お祈りしていました。最近は国内出張でも同様になってきて。それで帰京時は、それらがほぼ達成できたことを感謝します。そうすると、「素敵な出張をありがとうございました。社会にプラスになるよい仕事をして、お返しをしてまいります」と言う羽目になってしまうのです。今回はそれに、「プロジェクトもがんばります!」と付け加えたという状況です。3月のブログにも書いたのですが「I &We」の視点。私の、そして社会の人とつながっていく、仕事とプロジェクトのどちらにも、力を入れていきたいと思います。

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