「転換期の大学発ベンチャー 経産省06年度調査から」を、上中下(10月26日、30日、11月2日)で連載しました(ブログでの紹介が遅くなってすみません)。これは経産省の報告書「大学発ベンチャーに関する基礎調査」の内容紹介なのですが、この5年間の変化をまとめていたこと、内容に興味深いものが見られたことから、たっぷり執筆しました。例えば、「上場指向の大学発ベンチャーは23%なのに、上場を目指さず、安定成長を指向するのがこれを上回る29%」という数値など、おもしろいと思いました。
5年ほど前から急激に盛り上がり、ここ2年ほどで盛り下がった【大学発ベンチャー狂想曲】は、「上場で大もうけ!ウハウハ!」という米国バイオベンチャー型に期待した金融関係者らによるものだったと私は思っています。私自身、工学出身というのもあって「技術を社会で活用してもらうことを目的とした、地道な大学発ベンチャーだって大事なのでは?もちろん、玉石混淆ではあるけれど」と思っていたのですが、そんな話をしたところ、コンサルタントと商社マンと官庁出身者が、「そんなベンチャーはカスだ、税金泥棒だ」といわんばかりの反応をしてきたのです。実は春のブログに書いた、ものすごく悔しかった社会人大学院生との議論というのは、このことです。うーん、今思い出しても頭にきちゃう。だから今回、経産省が「大学発ベンチャーといえば上場指向で、ベンチャーキャピタルが後押しするという考えが強かったが、それ以外(数も決して少なくない)の支援方策も必要だ」と認めた(大学連携推進課の取材で聞いてきた)というのは絶対に、紹介しようと思ったのです。
さらに、一面の下にあるコラム「産業春秋」にデビューというチャンスが到来。編集委員になってもしばらくは執筆割り当てが免除されていたのですが、団塊世代の編集委員が続々と退職に入っているため、「これからは執筆メンバーに」と声がかかったのです。で、「記事としては書きにくい裏話」的なものを入れて(ブログ風かも)、もう一度、14日付一面でこのテーマを書いたのです。大学発ベンチャーは確かに「開店休業中」なのも少なくないけれど、意識の高いのもあるんだよと伝えるために、私の取材先のケースから、「ある大学教授兼取締役は、国に望むのは税負担や規制の緩和だけ、と言い切る」と入れました。ついでに、「(その先生が)本籍を置く大学は国公私立問わず、公的資金、つまり【もらえるお金】増額要望の大合唱なのに」ということも付けて。これは春から、大学トップが話をする席でずうっと聞いてきたことで、「どこへいってもこればっかりって、ちょっとあんまりなのでは?」と思っていたことなので、ちらりと、ね。
というわけで、この報告書一冊でだいぶ、シツコク書いてしまいました。でもね、いいんです。「大事なことは何度でも」。読者だって全部が全部、読んでいるか分からないし(大学面と一面では、読み落としが大いにありそう)、何度も言われないと新しいことは浸透しないものだから。記者は客観報道をスタンスとしますが、これくらいの主張は可という点が、うれしいですね。
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忙しくてまた、ブログの間隔が開きました。モノづくり連携大賞が決定し、28日に弊社の「産学官技術交流フェア」で表彰式や、セミナーがあるのです。私は関連記事を大量に執筆(当日、他の記者が執筆したページと合わせて、別刷りの形で会場で配られるものなど)、さらにセミナー内のパネルディスカッションのコーディネータ(司会)の準備があるので、年間でもっとも忙しい状態なのです。
大賞についてはこちら。
http://www.nikkan.co.jp/sangakukan/07zyusyo.html
セミナーについてはこちら。
http://www.nikkan.co.jp/sangakukan/nedo/index.html
ここは、去年も司会をした私の写真入りですので見てね! そして、できれば当日、来てくださいね!