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2008年1月

2008年1月31日 (木)

文章を効率よく、気持ちよく書き上げるには

「記者さんなら書くのは早いでしょう。私は文章が苦手だからうらやましいなあ」ということを、時々いわれます。職業上の訓練をしてきているので、早く書くこと自体は当然なのですが、効率的なうえに非常に気分よく記事を書き終えられるというケースが、時々あります。

それは、職場に戻って1時間後にはまた取材に出かけなくてはいけない、とか締め切り時間が迫っている、とかいった時にニュースを書く場合がひとつ。移動の電車内で取材ノートに赤ラインを入れ、頭の中ではぐるぐると、何を前文に書いて、本文の流れをどうするかという案が回っています。そしてパソコンを開いて集中して書くと、いったん書いたものの順序を入れ替えるといった時間を費やさずに、「できた!! 間に合った!」と歓声を上げて(私はけっこう、同僚の前でも口にしてしまう)、原稿の送信ボタンを押して、コートをひっかけて出かけるということになります。そして、不思議なことに、そういう時は本当に「必要かつ十分な情報を盛り込んで書けた」という気分になるのです。つまり、「伝えなくてはいけない必要な情報はみな、ここに入っている。でももう、これで十分。これ以上、書きよう(いじりよう)がない」という仕上がりになるのです。

逆に、長い読み物記事を、時間をかけて書く時に手こずることがあります。情報はたくさんある。あれとこれを書こうと固まっている。だけど、導入部はどうしよう? いまひとつぴんとこない、これじゃ読者に長い文章を読んでもらうことはかなわない、と悩みます。1月8日付の大学・産学連携面で、「今年はやっぱ、大学間連携がいろいろな形で来るに違いありません!」という記事(注、これが見出しになっているわけではないのですが)がそうでした。新年最初の大学面なので、東大・京大・早大・慶大が博士学生の研究指導で連携するという、年末の会見を活用しようとは考えていました。そして、翌日付に載せるニュース記事は、前半に書いたとおり、短く必要十分な記事で収める一方、頭は新年記事にどう活用するかですっとんでしまいました。。「そうだ、この言葉を使おう。O先生ももう少し何かいってくれないかな、いいぞいいぞ、こんな感じなら、書ける!」と一人で盛り上がってしまって。結果、4大学連携の特異性を象徴する文章を、4学長のコメントを括弧書きでつないで、それを導入に使う形をとったのでした。読んだ印象、いかがでしたか?

そこで文章が苦手な方にアドバイス。集中して考えて、うまくいかなければ、きっかけが降ってくるのを待つ。あれこれ考えていると、アンテナに引っかかるものが、きっと出てきますから、ね。というわけで、さあもう、出かけなくては!!

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2008年1月25日 (金)

ポスト知財本部事業の公募・採択はいつ?

07年度で文科省の知財本部事業が終了します。それで、ポスト事業といわれる「産学官連携戦略展開事業」の進展状況はどうなっているのか? と取材先にしばしば聞かれます。この話についてはまとめ記事を計画しているのですが、公募要項が出るより前の掲載は、諸処の事業から難しいのです。そのため、記事に書く情報は取り除けておいて、「こんな感じの公募条件になりそうです」といった内容を今、私が知っている(文科省内などから確認してきた)話をお伝えします。「いつも弊紙と私のブログを愛読している皆様ですから、特別サービス!」といいたい気分。とはいえ、ある程度は文科省の担当者も各大学に回って話しているとのことなので、詳しい方にしてみれば「新規性が足りない」といわれてしまうかな? という心配も。よく分からない。とりあえず、ご参考ということで。

1月31日に文科省の「産学官連携推進委員会」で事業の骨格が決まる。ので、2月4日あたりに公募要項を公表して公募スタート。(おそらく3月末が締めきりで)審査が4〜6月で、7月に採択決定・公表というスケジュールだそうです。

遅いですねえ、7月ですか。官庁の新施策の予算は、新年度すぐに出ず、7月とか9月に採択というケースが少なくないです。でも、今回のは知財本部事業が終了し、新年度からの新事業での経済支援がとれるのかどうかを関係者、首を長くして待っているというのは、よく知られていることであって。特殊な意図があるのでしょうか。つまり…、おっとこの先は記事に置いておきましょう。

公募は大きく二つで、「裾野を広げる」は43機関以外の少し遅れている大学が対象。「ピークを伸ばす」はこれまでの43機関の中からとう可能性も高いようです。夏の概算要求の段階では、裾野で30件、ピークで50件、合計38億円で出していたのですが、これが財務省を経て20億円と約半分になった。そのため、件数もそれぞれ半分、つまり裾野で15件、ピークで25件というところでしょうか。あ、でも一件当たりの予算を減らして、件数はもうちょっと多めという策もあるのかな? 正しくは、公表までもう10日ほど待つことにいたしましょう。

それにしても、国の政策に頼りすぎることの、なんとオソロシイことよ。知財本部は大学の組織の話ですが、大学にかかわる個人の話になると、より身近な問題に感じられて、つくづくそう思います。「司法試験合格者の年3000人計画の見直し」というのが今日、一般紙に出ていました。「年3000人なら私だっていけるかも。このチャンスにぜひ」と会社を辞めて法科大学院にチャレンジした、少し年長の方とか辛いだろうな。まあ、国でも何でも、新しいことに取り組んで、よくなかったら変えるというのは正しい道だし、おかしいと思っても維持し続ける方が問題なのでしょう。つまり、「国がこういったから会社を辞めたのに、どうしてくれるんだ」と怒っちゃいけないわけで。「自分が本当にやりたかったこと。その後押しとして国の施策が出てきたので、ラッキーだと思って活用した。だから国の方針が転換になったらなったで、仕方がない。厳しい中でも、志したことなんだから、私はやり抜こう」という、熱意と潔さを併せ持って粛々と取り組む。そんな形がいいのかな、と思いました。

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2008年1月 9日 (水)

新年の目標リスト

新年の各紙の記事を眺めていて、「うーん、新聞全般ではやはり今年は、洞爺湖サミットがらみの環境がイチオシなんだな。それから北京オリンピックかあ。でも私は専門誌記者ですからネ、社会にとって必要なものを、短期的な流行に惑わされずに書いていきましょう」と思いました。とくに今年は、大学知的財産本部整備事業が終わり、いったんチャラにしたうえでの産学間連携の支援新事業が始まります。各大学とも「産学官連携の第二ステージ」にどう取り組んでいくかという転機の年になりますから、それが第一テーマです。それから昨年来の大学発ベンチャーを新視点で捉えていくのが第二テーマ。それらを、新年の目標としてリストアップしたのでした。

新庁舎への引っ越しも済んで(これについては後日のブログで執筆予定。今、内容アイデアを練っているところ)、気分よく新年の仕事に取りかかり始めた時のこと。ちょっとショックなことを言われたのです。「山本さん、行数がちょっと足りないんだよ。ここのところ」といわれたのです。「ええっ、この数値、うそでしょ!」という驚き方は、我ながら珍しいもの。取材先とのトラブルなどと違って、まったく想定していないものでしたから。

弊社は記者の原稿の行数管理を取り入れています。もちろん、執筆行数が多ければ内容はどうでもいいというものではないし、記者たるもの、自由に動き回ってこそスクープが取れるという面もあります。けれど他の仕事と違って、記者は自己管理の部分が非常に大きいだけに、「目安」として行数を出す仕組みは、あってもいいのではないか、という私も思っていました。私の担当の場合、「大学面で原稿が足りなくならないように出稿するのが最低限。行数はsosoでOK。それより、発表ものではないオリジナル(独自)原稿で、中身の充実した記事を」と意識してきました。そのため行数はずっとsosoだったのですが、今回、示されたのを見ると、予想以上に記事執筆という仕事の「量」が少なくなっていたのです。確かに、この秋はモノづくり連携大賞関係での調整に明け暮れていました。忙しいため「大学面の原稿は足りてるよ」とデスクにいわれると、これ幸いと出稿の手を緩めてもいましたね…。ほかにもいくつか思い当たる点があって、反省。同時に、おかしな話ですが、「(営業職でないだけに、なじみが薄い)数値で示されて、初めて実感する」という経験に感動してしまったのです。

そこで、通常だと手を付けない(記事の価値としては△)のリリースを、「とりあえず保存箱」から引っ張り出しまして。おおお、やってみると、ちょっと電話確認を入れるだけで、どんどん書けるじゃーん。アポをして取材に行かなくて済んじゃうわ、と再び感動。しかし、調子に乗ってだらだら書いて出稿したところ、翌日、「こんなに長く書くべき原稿じゃないでしょ」とそれにも注文が付いてしまった。これもまた当然のことであって、再び反省。年始めから情けないことです。

でもね、記者という、比較的希望者が多い職業において、プロでいられるのは本当に幸せなことです。それを思えば、これくらいの努力は求めあられて当然ですネ。というわけで、「新年の目標リスト」に、「質と量と両方を(バランスも含めて)追っていく」というのを追加することにしました。なんか30歳くらいの目標レベルのような気もするけれど。ま、「初心忘れず」ということで前向きに捕らえて、今年も明るくまいりましょう。

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