« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »

2008年2月

2008年2月14日 (木)

「外から見ていますよ」というスタンス

前回、お話しした文科省の「大学教育改革プログラム(GP)合同フォーラム」のパネルディスカッションで、ちょっと失敗しちゃいました。

「パネリストとしてどんな話をしましょうか?」というのはもちろん、事務方と事前に話をしていました。それで、私は【一般社会につながるところの記者(取材者)が、GP採択校をどう見ているか】をお話することにしました。「外からの人として、厳しい意見もぜひ」と事務方にいわれましたし、教育GPの聴講者の皆さんは、日刊工業新聞なんて知らない人が多いだろうし。企業人も含め、いずれも私以外はGPの評価や採択に実際にかかわっている他のパネリストと、同じ土俵で話すのは無理だと思ったのです。

10分間のコメントで、GPの良さを話したうえで、「でもここがちょっと。採択大学の事例を見ていて首をひねる部分」というのを私は挙げました。そうしたら、会場との質疑応答で、その部分についての質問がきました。それが私、質問の意味が分からなかったんですよ…。GP採択事例の傾向がどうなっているか、まで分かっていないと通じない用語使いをされたからです。たまたま、私と同じ名字の別の先生がいらしたので、質問者が「山本先生の発言で」というも、これは「もうお一人の山本先生に質問しているんだな、私が答えるべきものではないな」と思ってしまったくらい、分からなかった。私に聞いているんだと知って、慌てて「こういう意味でしょうか?」と聞き返すも、変な答えになってしまった…。

それでも質問者は頷きながら私の答えを聞いてくれたから、「私の批判に怒って意地悪で質問した」というわけではなさそうで。それに、他のパネリストが引き継いで答えてくれたのが助かりました。後で、「GPにそう詳しくないのに、刺激的なことを口にして、墓穴を掘っちゃった感じだな」と思いました。ただ、関係者ばかりの世界において、そこでの言い回しが分からなかったこと自体は、仕方がない。主催者もそういう関係者外をパネリストを、と意識して選んでくれたのだから、とも考えました。

新聞記者は基本的に、「私は外から、皆さん(取材先)を見ていますよ。一般社会(弊紙の場合は産業社会、という感じですが)の視点で応援し、批判もしますよ」というスタンスでいなくてはいけないですよね。常に、外の人。たとえ取材先と、とても仲良くなったとしても。あるやや批判的な記事で、取材相手が予想よりずっ〜と激しく怒ってきて、びっくりしたことがあるのですが、先輩は「相手は山本さんを、自分たちの仲間だと思っていたんでしょう」と説明してくれました。逆に私が親しい取材先にうっかり「〜の件を明日付一面で掲載します」とメールしてしまい、「その件、掲載はまだダメです」と【待った】がかかったこともあります。他マスコミに出さず、うち単独という約束のうえで掲載を待つことに同意した(これは、よくあることです)けれど、緊張感が足りなかったと反省しました。

「山本さんだから、オフレコ話をいっぱいしちゃいましたよ」と取材先に言われるのは、もちろんうれしいです。信頼されているんだなと思うから。だからこそちゃんと、「ここまでは書いていいこと、これは(相手が言わなかったとしても)書いては具合が悪いこと」と判断して、適切な記事を書くように心がけています。だけど、完全に取材先の仲間になってしまってはいけない。ある大先輩は「我々は壁の上を歩いている。壁の下の両方を見ているけれど、どちらかに(あるテーマについての賛成派、反対派のどちらにも)落ちては行けない」っていってましたっけ。常に【外から見ている人】。それが新聞記者の本質なのかもしれません。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年2月 9日 (土)

刺激の多い一週間

きゃー、ブログ、お久しぶり〜! しばらく離れていてごめんなさい。仕事が立て込んでいて、とくにこの一週間は大変だったのです。聞いてくれる? 

24(日) 土曜はプライベートではずせない集まりがあるので、日曜に家で記事が書けるよう資料を持ち帰りました。日曜の朝、電話が日曜デスクからあり「土曜の日経夕刊に、トヨタなど15社が120億円で東大の基金って、出てるんだけど」。へ? よ、読んでいないです、まだ。ああこれは、私が以前から追うも、いつまでたっても話がまとまらないので、昨年8月17日付に大学基金のまとめ記事を書き、「こんな構想が出ている」と触れた件ですね。その金額と社数が決まって月末スタートという記事。ネタ元はまとめ役企業かしらん。私は「東大は日本経団連などと2年前から検討していた」「寄付と違って基金への拠出なら、企業も出しやすい」「国立大本体だと投資先が制限される(株式は不可)が、大学外なので融通が利く」という、日経と朝日(日曜朝刊。ほとんど日経と同じ内容)にはない情報を入れて、自宅パソコンから送信。その後、自分の元々の2件を執筆。木付の横断企画「マンパワー 企業の原動力」(他の紙面と共通テーマ)向けの原稿を早くも送信する。

25(月) 9時半に大学役員に電話取材。入試日だというのにスミマセン、でも「あの山本の電話取材に答えないと、何をかかれるか分からん」と思ったのでしょう。火付で準備していた原稿に、その部分を付け足して、分量がいつもの倍以上の記事「博士への経済支援続々 東大・東工大・東京農工大 大学間競争で新たな流れ」を出稿。
 その後、元弊社幹部の紹介により、某女子校で「マスコミの仕事」の話をする。机につっぷして寝る子がいて(高校生は正直ですね)ショック。でも感想文に「マスコミって芸能とかスポーツだと思っていた」「パパラッチじゃないの?」とあり、「それじゃ寝るのも無理はないですね」と元気になる。

26(火) 文科省内取材が2件。それを使って金付記事を一部執筆。夜は弊社幹部とセレブリティの懇談の席に同席。奥様のお話で「上流社会の社交ってこんな感じなの?」とびっくり。でも、セレブ奥様より記者の方がおもしろいと思うよ、私は。負け惜しみじゃないって〜。

27(水) 弊社のモノづくり推進会議の「モノづくり推進シンポジウム〜持続可能なモノづくり社会へ」は700人が参加とのこと。ここでパネルディスカッションでのコーディネーター役が無事、果たせました。前回は流れのメモしか用意していなくて、言葉に詰まることが多かったため、今回は文章で用意し、それなりに時間を使って暗記に務めました。でも、本番ではけっこう資料に目を落としちゃったなあ。後に親しい人に、「覚えてメモだけで話さないと。印象が全然、違うよ」といわれて少しショック。でも、そういってくれる人は貴重です。私、誉められて木に登るばっかりの方だから。次回はここのところ、クリアします。

28(木) 翌日付「知的財産本部整備事業から 産学官連携戦略展開事業へ 文科省、大学に自立促す 人件費で【最後通告】」を執筆・出稿。どこで書こうかとずうっと気にしていたもの。火付同様、分量が多く、書名入りで、少しあおり気味の記事に仕立てました。さらにもう一本、出稿。

29(金) ようやく時間に余裕が生まれました。ランチで外のレストランへ。それって考えてみると、新年の文科省引越直後に2日ほどあって以来かも。同僚に「隣の内閣府の食堂が、文科省の食堂よりボリュームがあってオススメ」と聞く。午後取材一本。そして今、ブログを書いています。

「ブログ」さんに向けて(読者ではなく)という、今回の書き出しはもちろん、意識してわざと記したものです。でもね、その前には本当に心の中で、「ブログ、間が開いてごめんね」と思ったのですよ。3月も企画記事の締め切りが多いし、年度末で発表も多くて、どれだけやっていけるか自信がないけれどご理解よろしくね、ブログ!

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年2月 7日 (木)

聴講者1000人のシンポ2件で仕事予定

この2月は聴講者1000人という大きなパネルディスカッションで、2件の仕事をすることになりました。1000人という規模は初めてで、会場の雰囲気などどのくらいのものか、よく実感できません。

一つは9日(土)、10日(日)、パシフィコ横浜で開催される、文部科学省の大学教育改革GPの合同フォーラムのパネルディスカッションです。URLは http://www.bunkyo1.org/です。去年、取材で出ましたが、とにかく大規模で(全体参加人数は5000人とか)驚きましたっけ。今回は広島大の先生が、特色・現代GPのアンケート調査を発表するのに合わせたパネルです。私は弊紙でのGP連載記事を活用し、大学GPと一般社会(読者)の話を10分ほどします。

もう一つは弊社が昨年、立ち上げた「モノづくり推進会議」の一貫として開く、「モノづくり推進シンポジウム〜持続可能なモノづくり社会へ」です。URLはwww.cho-monodzukuri.jp/です。パネルは「資源ひっ迫時代に挑む」で、DOWAホールディングス会長・CEO(おっとと、大学担当ゆえ、間違えてCOEと書くところでした)、三井化学専務、日立製作所執行役常務にお話しして頂き、後半の45分のディスカッションのコーディネーターをします。いってみれば司会ですが、用意した原稿通りに読む役ではないですからネ。ご相談にあがった日立の執行役常務に「うまく絞らないと話が発散するよ」とプレッシャーをかけられました。

大学・産学連携という専門の話ではないし、新聞記者のことなら、講演でもいくらでも話せる気になっちゃうくらいなのですが、今回はそうではないですからね。緊張します。うーん心配3割、張り切り7割というところでしょうか。え、心臓がずいぶん大きいな、ですって? そ、そうかな? 前者はもう締め切っていますが、後者はまだこれからの参加募集です。無料ですし、内田キヤノン社長や庄山日立取締役会長も出てくるゴージャスさです。大学・産学連携の皆様も、「たまにはこんな席もいいか」と思って頂く、ということで、ぜひぜひいらしてください。お待ちしております!

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »