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2008年4月

2008年4月30日 (水)

連携協定会見に集まる70人または5人

年度替わりに合わせてなのでしょう、大学と他機関の連携協定の会見が少し前に続きました。会見案内が頻繁だと正直いって、特別なテーマ、金額、相手でないと食指は動かず悩みます。連携が珍しかった頃ならともかく、リリースで十分というものが増えていますから。

これは私があれこれ想像して、某大規模大学の担当者に聞いて確認した話なのですが、連携協定は両機関トップがサインする決まりなので、会見になりやすいんですね。産学の共同研究でも単独のものなら、大学側は例えば担当教授などが出てくるのでしょうけれど。それで、協定のサインをしてその後に懇談・食事会が設定されたりするのに、「せっかくだから会見もしましょう」となるらしい。とくに、寄付講座とか外部資金を大学が「いただく」ケースが多いので、大学としては資金提供機関の意向は大事にしなくちゃいけませんから。

とくに続いたT大学のケース、飲料会社Sとの連携協定会見はびっくりしました。Sは昔、取材していた会社の一つです。場所はSグループが運営するコンサートホールの小ホールってところが、いつもと違う、さすがオシャレなSですね。記者席に座ったのは、数えてみると約70人! 普段、顔を合わせるような記者(文科省詰めなど)はいなくて、たぶん食品の業界紙がたくさん来ているのだと思う。CMタレントの会見をするなど軟派な業界だから、「T大と研究で組むんだって!」とかなりのニュースなのでしょう。それから周囲に関係者がわさわさといます。他の会見と違って、連携協定は関係者が大勢、来くるのですよ。最後に両トップ(総長と社長)の、お決まりの握手の写真撮影。どどどと人(カメラマンも、コンパクトカメラを手にした記者も)が集まって、「な、何事?」って驚きました。日本での宇宙飛行士第一号に選ばれた毛利さんの記者会見を、思い出してしまったくらいです。あれは私が入社したてだった頃、うーん、なつかしい(笑)。その珍しさに比べると…、T大の連携協定は20件目くらいでしょう。珍しくない写真は不要と私は判断。忙しい年度替わりの時期だっただけに、「この程度の内容なら30分で書ける、さあ急ごう」と撮影会を横目に出口に向かったのでした。

これに対して、同じT大でも原子力系の機関との連携協定会見は、記者5人ほどだったとか。弊社からは原子力担当の編集委員に出てもらったのですが、業界紙や一般紙でも詳しい記者(社会的に問題になるテーマなので、一般紙でも長く取材を続けている人がけっこういます)が中心だとかで、質問も難しかったそうです。うーん、だいぶ様子が違うなあ。それにしても、軟派にも受けるブランド力プラス、専門家も納得させる研究力と、ともに使ってタイプの違う分野からお金をゲットできちゃう点が、(多くの大学を代弁して)うらやましいといわざるを得ないですね…。

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2008年4月23日 (水)

ベンチャー連載をスタートするも、おもしろくないといわれ…

22(火)付の大学・産学連携面から、1年間のキャンペーン「変革期の大学発ベンチャー 日本型確立へ」をスタートしました。第1部は「先進大学の支援策」で、3カ月ほどの連載、その後も3カ月程度ごとにテーマを変えて、4〜5部構成で、基本的にはすべて私が手がけます。これだけの継続企画を一人でするのは珍しいので、張り切って、第一回は大きなスペースを取ってもらいました。

ところが、どうもそれが、社内の紙面評価としては芳しくないと聞いてショック! 「読んでおもしろくない。編集委員が一人でやり続ける、というほどの中身になっていない」という意見が出たというのです。私は「1年通しての最初だから、全体を振り返る話をきちんと(地味でも)押さえて、それから連載最初の東大を、その個性的な部分(実績だけでなく、思想も)を紹介しよう」と考えたのですが、「大きなスペースをとりながら、インパクトに欠けた話をだらだら書いている。東大の話だって焦点を絞るというより、あれやこれや書いて、それも後ろになって出てくるじゃないか」ということらしい。うーん、そういわれればそうですね。通常とは違う形で取り組んだということで、逆にうちの新聞記事としての特性と読み応えの意識が甘くなったのかなと振り返りました。

それからもう一つ、私の文章はやはり、あまり上手くなくて、読みづらいそうです。早めに出稿して「ここは意味わからないよ」といわれ、(確かにそうだと思って)書き直すと、分かるようになる。でも今回みたいに、締め切り直前の出稿だとそれもできない、とのこと。そうですね、このところ新年度の人事移動のせいか、地方の支局からの出稿が全然、なくて、私も自転車操業なのです。週2回の大学面トップは連続8回、私のオリジナル(他紙には出てないネタ)ですし、今回の原稿も日曜の21時までかかってのものですし…。まあ、言い訳はこのへんまでにいたしましょう。でも、「ブログ、おもしろいですね」といわれて、文章が上手い気になっていたのは反省かな。

「大学発ベンチャーなんて今の流行じゃない」と思う人は少なくないでしょう。もちろん、新聞だから読まれる記事を、読者が求めているものを書くというスタンスは、基本です。例えば今なら、iPS細胞がそうですよね。でも、だれもが(どの新聞も)追う流行のものしか、紙面にないのはどうかな、と。「あれはその後、どうなった」みたいな、ちょっと視点の違うものを書くという、専門記者としての役割もあるのでは、と私は考えます。だから、批判は受け止めて反省すべきは直すけど、「これは私がすべきこと」というものは、曲げないで取り組んでいこうと思います。

それに、このテーマに取り組み始めて何件か取材した感じでは、意外におもしろいものが出てきています。先日の取材もそうでした。某国立大の大学発ベンチャー支援策で、「他大学も同じ事を考えて手を出してはいるけれど、たいして成果が上がっていないのが普通。なのになぜ、ここはうまくいっているのか」と興味を持ちました。「早く紙面で伝えたい」と思ったほどですよ。

というわけで、出だしからキツイ批判(ここに書かなかった、もう少し厳しい表現もありました)を受けるも、意外にめげていない私です。…でも本当は、めげるのではないかと心配でした。あれこれ考えすぎて夜、眠れなくなるのでは、と不安に思ったのです。そのため、季節もよくなってきた(花粉症ではないけれど、この季節は予防のために控えていました)から、と夜、自宅付近でのジョギング(15分ほど)を再開。そうしたら、肩こりもぐっと楽になって、朝までぐっすり眠れました。ん〜、仕事など精神的なストレスに対して、軽い運動がいいのは本当ですね

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2008年4月15日 (火)

資料配付したら担当者は在席を!

新年度も2週間がすぎて、忙しさは一段落です。3月末の年度末は時間がなくて、廊下を歩くことさえない(常に小走り)だったことを振り返ります。

年度内駆け込みを、と考えるのでしょうか、資料配付も多くって。困るのは、すぐ書こうと思って、資料に記された連絡先に不明点を確認する電話をかけると、「今日は○(担当者の名前)は一日、外出しています」という返事が返ってくる時です。何なのでしょうね、それって。本当は書いてほしいのではなくて、上司に言われたから資料配付しただけなのか、と疑っちゃいます。たくさんの発表が入っている時にそういう返事を聞くと、怒りのままに「これはボツ」で終えてしまうこともありますよ。「文部科学省に資料を配りにいっています」という返事も、ねえ。そういう場合は、質問に答えられる人を別にオフィスに在席させるか、携帯電話番号を資料に入れるか、オフィスに来た電話を携帯に転送させるか、工夫をしてくださいね〜。

それから、発表ではなく、弊紙の4月からの新連載のためのものでしたが、20回くらい電話とメールでアタックして、ようやく先生のコメントが取れた、というケースがありました。「私ってば、ストーカー?!」という状態でした。当初の取材とは趣旨が替わってしまったので、どうしても追加の生の声を入れる必要があったので、締め切りをにらんであせっていて。でも、向こうからも何回か携帯に電話をしてくれていて、だけどこちらが出られない、という事もあったので、まあ「嫌われているわけではないか」と振り返りつつ。結局、掲載後に「よい記事で感激しました」といってきてくれたので、「手持ちだけでごまかさず、粘って追加コメントを取ってよかったな」と思うことができました。

でもね、そんな電話の行き来が続いたせいでしょう、他の同様の形も目につきまして。気が付くと、町中でも「もう20回も電話しつづけているんですよ」と携帯電話で話している男性が何人かいる。…どうやら、年度末の資金回収の電話で、スゴんでいるらしい…。記者クラブのある虎ノ門でも、自宅近くの土曜日にも見かけました。うーん、私のトラブルなんて、まだまだ甘いかあ〜。

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2008年4月 8日 (火)

改革仕掛け人のインタビューと売り込み

金曜日付の大学・産学連携面のインタビュー連載を、4月4日(金)にリニューアル、再スタートとしました。これまでより対象者を広くし、学長などだけでなく、大学改革の担い手を取り上げる「改革に挑む 大学この人に聞く」です。一回目は山梨大学の産学官連携リーダーで、新潟大など7大学との国際産学官連携コンソーシアムを仕掛けた先生です。産学官すべての職場の経験者で、大規模大学とは違う視点が、多くの大学の参考になるでしょう。今年は、大学・地域連携で国の新事業もたくさんあるのですから、「ちょっとだけ先輩」の人から助言をいただくのは、読者にとってプラスだろうと思ったのです。

これまでの大学長・理事長インタビュー「改革本番 大学トップに聞く」は、なんと6年半! も続いたんですよ〜。もちろん第一回は私が書きました。ほほほ。ある大学の法人化時の改革派学長と、その急進性が学内で嫌われて選ばれたコンサバティブな次の学長と、両方に順次、ご登場頂いたこともあります。さらに近く行く予定の某大学では「法人化3代目に当たる学長は、その揺り戻しで…」というケースです。長くやっているからのおもしろさがありますねえ。ちなみに朝日新聞さんでも、「学長力」タイトルの連載が始まりましたね。ま、うちがずっとやってきたんだ、ということでの付け足しです(笑)。

新連載は、産学官連携の副本部長クラスをまんべんなく、取り上げていくものではありません。特徴的なところにスポットを当てたいのです。教育改革(人材育成)のキーパーソンももちろん対象です。この欄は私一人ではなく、支局の記者にもかなり書いてもらいます。ので、この連載があると、おもしろい提案や取り組みを掲げた人に話を聞きに行きやすいだろう、と考えています。取材先の皆さま、「これは」と思う人、改革の取り組みとキーパーソンをぜひ、売り込んでください。

一般ニュースも含めて、取材先からの売り込みは、そうですね〜、8割方はおもしくて記事にできる感じです。2割は「先生の意気込みは分かるけれど、他大学でもやっているし」と記事化見送りです。先日は、MOTの教授と情報交換していて、向こうが「これ、どう?」といってきた話は今ひとつで、でもその後に出てきた別の動きに私が反応しまして。「こういうの、記事になるんだ」と関心されちゃいました。だから皆様、「記事に」というアピールは一度、うまくいかなくてもめげずに再チャレンジしてくださいませ。これは通常の人間関係と同じだと思います。魅力的なものは、相手の反応を見つつ、情報や会話のキャッチボールをする中から生まれてくるのです。

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2008年4月 2日 (水)

分かりにくいのに影響の大きい記事

1(火)付弊紙大学面で「大学の認証評価制度 折り返し地点に 機関により異なる基準 評価巡り混乱も 『不適合』への過剰反応を危ぐ」を書きました。この制度は情報公開を義務づけているので、全部で4機関が3月最終週に相次いで記者会見をして(プラス1機関は資料配付)、各紙がその結果を毎回、記事にしていました。例えば「大学評価 宇都宮共和大『不適合』 定員割れ・財務改善できず」という見出し。これってものすごくマズイ大学に見えません? 最近、私は携帯電話を替えたのですが、その画面にニュースフラッシュまで流れて、別の大事件が起こったかとびっくりしちゃいました。一般の人にはこの意味、分からないでしょう? これを機に学生がさらに離れて経営難が進んだら、気の毒だなあと思いました。

記事にも書きましたが、これは規制緩和で大学の自由度が近年、高まったため、「各大学は自らに合った機関を選んで申請し、評価を受けて結果を公表、自主改善につなげなさい」という制度。大学設置認可の基準を割ったというような大問題ではありません。各機関によってレベルも上中下とあって、その「自主的目標」に適合するかどうかという話。適合しなくても別に何も問題じゃない、と文科省の担当者はいっています。一橋大に「不適合」が出た会見では、「人間ドッグの一項目でちょっと引っかかった程度」と評価機構の先生もコメントしていたくらいですから。

気になったのは、一般の読者には誤解されるんじゃないかと、会見者も記者も認識していたこと。「こう書かれても仕方がないよね」という雰囲気で応答されていたのです。でも、その場には宇都宮共和大も一橋大もいなかったから、「まあ国がいう通りの評価をしての、結果をそのまま出すしかないでしょう」という感じなのかなと思いました。私はいつものように、一般紙と一緒にどこどこ書いても誰も読んでくれないし、と一段落してからのまとめ記事にしました。でも、もしも一般紙と同じニュースにした場合、とても十分な解説は加えられない。となると、やっぱり「○大学に不適合」という見出しが踊る記事を書くしかないのかもしれない。でも書かれる立場を考えるとねえ。うーん。新年度早々、珍しく「一流マスコミ人」っぽい、回答が出ない悩みのブログとなりました。

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