« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »

2008年5月

2008年5月30日 (金)

やっぱり気になる、お金の話

ここ1、2年、注視しているテーマに「大学のおカネ」があります。5月9日(金)付は「東京大学基金、東京大学信託基金 2020年度に2000億円 年100億円超の運用益 東大、教育研究基盤を強化」を載せました。2020年度はだいぶ先だけど、本文に書いた「08年度末で660億円」ってすごいとおもいませんか? だって、これ全部、寄付なんですよ!!! まあ、このうち信託基金分の160億円は、それが全額寄付になるまわるわけではありません。キヤノンなど企業がお金を基金として信託して、運用した利益の一部が東大に寄付され、一部は出資企業に戻るというものです。でも、「東大のために、産業界などはこれだけのお金を用意した」という意味では、うらやましいですよね。普通、企業だと必死にやってのビジネスで売上高を出して、そこから人件費とか経費がさんざん引かれて、最終利益だって半分は法人税で持って行かれて…(涙)ということを考えると、ネ。

もうひとつ、アラブのオイルマネーを研究助成金として、東大の40歳代前半の准教授が年数億円でゲット、という記事も少し前に書きました(スクラップが見つからない…4月か5月かどっちかです)。アラブのお金は、とあるNPOの人も獲得したといっていたし、某地方国立大の医学部が大きな研究費で得て得意満面、といううわさも聞きました。いいなあ〜〜。

お金の話は企業はともかく(というより、企業ならば一番の重要事項ですから)、大学ではちょっと品がない話題かな、と思って、以前はあまり書かなかったのです。でも、国のお金にしても、運営費交付金ではなく、競争的資金で分配されるケースが増えてきていますよね。「いい研究や教育をするためにはお金が大事」となってきている以上、書かないわけにいきません。それに、まあ単純にいって、興味深いというのがありますよねえ。

でもね、「これはあんまりでは」と思ったのを一つ。ある文科系中堅私立大学の学部長に、教育プログラム(GP)の取材に行ったときのこと。「我々も商売ですから」って言葉を、3回くらい口にしたんですよ! どういう話の流れで出たのか、覚えていないくらいびっくりしました。そりゃあ、大学も学生の授業料収入あってこそだけど、こんなに明確に「ショーバイ」と口にするとは…。「興味があっても、それをあんまり露骨に見せるのはやめよう」って思いました。人のふり見て我がふり直せ。はい。あんまり「すごいですね」「いいなあ」「うらやましい」を連発しないようにいたします…。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年5月21日 (水)

予想外の読者の反応あれこれ

記事がどう読まれて、どう活用されているかということは社内でも時々、議論しますが、実はかなりの部分が想像のものです。読者調査もたまには実施しますが、親しい読者から断片的に入ってくる情報とあわせて、実態を【推測している】のが実情です。それだけに、「へえっ、それはうれしい」と思うような読者の反応を、取材先から知らされるととっても興味深いですね。最近では、ITの大学院生教育の読み物記事を書いたところ、某官庁の審議官クラスがすぐ視察に来たのだそうです。そんな話は初めてです。取材先の先生も驚いていましたよ。

もう一つ、ネットの時代であっても、新聞だったからこそ海外からコンタクトがあったケースをご紹介します。とある大学の技術ネタで、うちの紙面に載ったことで、世界的な食品企業が共同研究を打診してきたのだそうです。実はこのケース、「これ、マスコミ出ていませんよね」と念を押して「大丈夫です」といわれていたのに、その後に大学の共同研究相手の素材系企業がHPに載せていることが判明した、いわくつきのものでした。「まあHPよりプラスの情報も入っているし」ということで掲載しちゃいましたが、その記事がその国際企業の日本事務所の目に止まり、本社へ情報を送ったということです。その材料は食品そのものとは関係なく、食品流通時に活用する材料にあたるのです。インターネットでの情報検索は、狙ったキーワード通りのものしかひっかからないでしょう? とくに材料のように、供給会社とユーザー会社が異なる業種間のビジネスでは、うちのような新聞が活躍するというわけです。んー、ちょっと得意な気分〜。

「弊紙だからこそ」の記事でいうと、紙面の後ろの方にある「東日本」「西日本」という
面にご注目ください。地方支局発かつ全国発信の産学官連携ニュースが、かなりたくさん載っているページです。産学官に限らず、大阪あたりでも「記者会見を派手に開いて大勢のマスコミがきても、記事が載るのは大阪版だけ。東京の人には伝わっていない」ということがよくあるそうです。けれどうちは、その意味では地方版ではなく全国版で載せているので、北から南まで読まれている。九州での小さな取り組みに、北海道から問い合わせが来たりするのです。「発表にしないで弊紙単独で取材させていただければ、大きな記事にしますよ」とか「弊紙を読んでいると他にはない情報が得られますよ」といううたい文句は、地方の企業や大学にこそ、アピールするものといえそうです。

=================
ブログの頻度を以前のように、週1にすることにしました。週2はやはり忙しくて、ネタはあるのだけど「あああ、今週も週1で終わっちゃった」というフラストレーションがつきまとうからです。「頻繁にブログを見てネ」とはいいません。「たまには見てネ」というわけで、週1化と、それだけにさらなる内容の充実を図りたいと思います。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年5月12日 (月)

数年前の記事トラブル後のごあいさつ

アクティブな官庁関係者A氏が主催する、ハイレベルの異業種交流会に誘われて出席しました。途中から部屋に入ってくるメンバーの顔をちらちらと確認していたら、「あら、あの先生(国立大工学部長)が来るなんて」「ひゃー、あの人まで参加!」と一流どころの顔ぶれに驚きが続きました。そして「あっ、まずい! 以前に『記事にしちゃだめ』というのを振り切ったB先生(当時は大学の研究所長)が来た!」というのが発生。…ううん、それはもう数年前の話。ごあいさつするのにはちょうどいいチャンス。どう話を切り出すか、交流会の議論も上の空で思案してしまいました。

そこで、懇親会では、私の味方に当たる主催者A氏と、B先生が談話しているチャンスを狙いました。A氏のそばに寄っていって、A氏の方を向きながら、「私、B先生には以前、失礼しちゃったんです」といい、ちらりとB先生を見る。あ、大丈夫そう、かな。続く説明(言い訳)もA氏を中心に、時々B氏の方を見ながら、です。「B先生の大学と別の大学の連携話だったのですが、相手大学からニュースを聞いてきたんです。『B先生にも確認して』といわれたのだけど、そうしたら『書いちゃだめ』ってメールのお返事で。だから私、その後、B先生の大学学長に会えるチャンスを狙って、『〜なんですよね?』って確認したんです。B先生の情報ルートだけで書いたんではないんです、学長が話してくれたのだから、これは書いていいって判断したんですよ」と説明しました。うん、B先生の反応、大丈夫だわ。A氏の「言い訳はいいから〜」といった軽い合いの手も適度なクッションになったし。当時も書きっぱなしは心苦しくて、ご説明したかったけど、「やぶへびになっては」という心配がより強かったため、黙っていたのです。だからお話できて、よかった。もう何年も前の話ですけれど。それからA氏とB先生と、大学の研究とイノベーションのことにおしゃべりは広がったのでした。

今回の「B先生に話すべき事を、A氏の方を向きながら話す」という私の態度って半分、意識的で、半分は無意識のもの。何かと似ている気がしました。気づいたのは、外国人取材で、取材相手ではなくて通訳者に顔を向けて、日本語で質問をしてしまう感じと同じということでした。本当は取材相手本人に向かわなくてはいけないのに、恥ずかしいのと、日本語が分かる通訳者の方が味方みたいな安心感があって、そうしちゃうんですよね。話し方もくねくね(笑)していたし。通訳者(今回はA氏)がいなければ、腹をくくって一人で立ち向かったと思うのですが。うーん、甘えてるってこういうことですかね…。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »