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2008年7月

2008年7月31日 (木)

欧州出張と英語力

科学技術と社会をどうつなぐかを学際的に議論する会議「ユーロサイエンス・オープン・フォーラム(ESOF)2008」への出席で、スペイン・バルセロナ出張に行ってきました。欧州はこの「科学技術コミュニケーション」最先端地域で、ドイツのロバート・ボシュ財団が各国の科学技術ジャーナリストを同会議に派遣する制度を利用したのです。原稿は現地から送って24(木)の「科学技術・大学」面と、25(金)の「大学・産学連携」面に掲載しました。

実は、英語が思ったよりできなかったんですよ(笑)。社会人になって間もなく、2年間、ベルリッツで週2回のセミプライベートレッスンを受けました。自腹で100万円をつぎ込んだため、熱心さが持続でき(2年間のうち休んだのはわずか2回)、それなりに力も付いたのです。ですがこのところ外国人の友人との交流も、旅行を含めた外国行きもあまりなくて。だって、【世の中にはするべきことがたくさんある】じゃないですか(笑)。通訳なしの会議の派遣に応募する度胸はあったわけですが、英会話力は継続していないと厳しいのを実感しました。

出発前には会議プログラムを見て「このテーマがおもしろそう」「この話で記事を書こう」とアイデアを練っていたのですが、これを現地で大幅に変更。「ネイティブではないが母国語の影響も受けにくい、わかりやすい英語を話す国(オランダとかスイスとか)の人の講演」「パワーポイントや印刷資料がたくさん出る(ヒアリングだけに頼らずに記事が書ける)シンポジウム」「写真がおもしろくて、原稿は少なくても記事になるもの」が優先となりました。実際にシンポジウムなどに出たうえで、理解度を勘案して再検討。なんかいっつも、「やっぱりこれは止めた、あっちの話で記事にしよう」と【優先順位入れ替え作業】をしていた感じです(笑)。

帰国してからも似た状況が…。もう一つ、まとめをお盆記事で計画しているのですが、先の記事と同様に「これがニュース」と単刀直入に書く形ではなく、あれこれ組み合わせて書く読み物記事です。そのため、自分が理解できた中身のうち(笑)、まだ記事にしていない部分をチェックしていました。ところが帰国後、すぐに論説室から「一面コラム『産業春秋』が不足しておりまして。出張の印象がさめないうちに、一本いかが」とリクエストがあって、それに対応。「参加志望書や履歴書を英文で提出のこと、という応募要項を知ったのが締め切り2日前。けれども即対応できたのは、少し前に、親しい複数の大学院生らの活動を聞いて刺激を受けていたから。親や所属機関の資金で留学という恵まれた立場になくても、若い人は各種の奨学金タイプの外国派遣に応募している。それにそれらの制度がかつてに比べ格段に充実しているのに関心していたためだ」という話を書きました。一方、社内の旅費精算とともに書く報告書も「ちゃんといい仕事をしてきたのか」といわれないために文面を工夫します。それと並行してのこのブログです。うーん、限られた内容を書き分ける力量は、この機会に相当上がったかもしれません。

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2008年7月15日 (火)

地方大学の東京取材に感謝

4月から始めた連載「転換期の大学発ベンチャー 日本型確立へ」が15日に終了しました。ベンチャー輩出校トップ10に加え、最後のまとめと11回すべて、私が手がけました。火曜掲載なので月曜が締め切り、「まあ多少大変でも、毎週末に自宅で執筆する時間を捻出すればいいのだから、やれないことはないだろう」と当初、考えていました。結果は、ほぼ毎週末自宅執筆ということに。とはいえ大事な休みの日。リラックスしている昼間から手を付ける気分にはなりません。夕方から始めるのはいい方で、多くは「じゃ、月曜朝に早起きして書く。替わりに日曜夜は早く寝ることにして」という選択で(笑)。かろうじて、締め切り時刻ぎりぎりではなく、月曜朝に自宅から送信とすることができました。

今回、本当に感謝しているのは、多くの地方の大学の先生に多大なるご協力をいただいたことです。弊社は全国に支局があるため、「支局に取材を頼むべし」となって、地方への出張は自由自在にまいりません。でも、「全大学のことを把握したうえで、その大学の特色を浮かび上がらせたい」と思い、今回だけは私が『通し』で担当したかったのです。そこで多用したのが、「先生、大変申し訳ないのですが、上京のチャンスはありませんでしょうか。1〜2カ月の余裕を見て取材を組んでいますので、急がないのですが。こちらからおうかがいするのが当然のところを、勝手なことを言って申し訳ありません」というお願いでした。地方の先生は意外に頻繁に上京されていて(週一程度という人もいました)、結局、すべての大学でこの形で取材が実現できたのでした。

支局にお願いすることもありますよ。とくに文科省内などで聞いた地方大学のネタは、「これ、新しい話だから」と回すと、支局も比較的、喜んで対応してくれます。ある意味、支局にネタを『あげる』わけですから。ニュース記事はネタを取ってくるところが一番、大変なのですから。それに企画記事では「この質問と、この点を聞いて」と伝えて、数支局で手分けして情報を集めてもらうこともあります。でも、今回のようのもののほか、「大学・産学連携の専門記者である私が書いたほうが絶対、記事の中身が濃くなる」と判断したケースで、こういったわがままをいってしまいます。地方の大学の先生、私のずうずうしい依頼を受けていただけること、感謝しています!

でも今回、実は一つだけ「これは諦めざるを得ないか」という大学がありました。ものすごく忙しい先生で、「急遽、夕方から会議が入ったので、その日は所用を済ませた後、すぐ帰らなくてはならなくなりました」というドタキャンが2回ほど。「では次のチャンスに」などと記した私からのメールは、お会いするまでで12通ほどになりました。ショックだったのは、「金曜に11時から文科省行政官にアポなので、その前に」と約束し、それが時間を過ぎても連絡がなく、「もしかして用事が終わった後に、ごめんごめんと電話があるかも」と携帯電話を握りしめて待っていたのに、音沙汰なしだった時です。私のこと、いいかげん、腹を立てたのかしらん…。数日後、こちらが下手にでてメールしたところ、金曜というのはもう一週あとの設定で、私が勘違いしただけだったと判明したのでした…。一番、迷惑をかけたのはこの先生ですね。当日も、私の取材のために朝7時の飛行機を手配してくださったとのことで、まったく頭が上がりません。そこでお礼のメールは、こんな感じ、かな。『先生、本当に申し訳ありませんでした。でも最後の最後にお会いして、連載記事だけでなく、一面ニュースまで書かせていただけて、私もうれしかったですし、先生のお役にも立ったのでは、と思いました。内容が充実していたことからもう一件、読み物記事を計画しています。楽しみにしていてくださいね…』。

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2008年7月 9日 (水)

技術評価委員のお手伝い

先日、某公的研究運営機関の研究プロジェクトに対する技術評価委員の仕事をしてきました。委員会での発言はきっちり公開されるそうですが、今の時点ではブログでは具体的には明かさないでおこうかな。ちょっと恥ずかしいから。というのは、最初、「えーっ、このテーマで技術評価? なぜ私に?」と思ったテーマでしたから。ウエブで「○○とは」って検索しちゃったほどです。相手に聞いたところ、とある冊子で私の経歴が出ていて、「この専攻なら委員にぴったりだと内部で話がまとまりました」とのこと。まあ、180度違うという訳ではないけれど、自信がなくて。評価委員のほとんどはその分野の研究者なのですが、ただ社会の仲介者としてのマスコミ人を一人、入れるのが通例だとか。弊社でも何人かが経験ありだったので某氏に相談したところ、「いい経験だから引き受けては。まあ、他は皆、専門家ばかりで、【まな板の鯉】状態だけど」といわれて。【まな板の鯉】?? それって居心地が悪くて、専門家から非難の目を浴びている気分、ってことか…。でもね、プロジェクトリーダーが超有名なA先生で、「うーん、A先生率いるプロジェクトを私が評価するのか。かっこいいやん」という理由もあって(笑)、まあ一度くらいは、と思って引き受けたのでした。

それが事前の担当者の説明も、当日の発表も分かりやすく、よくできていてね。プロジェクト予算が大きいだけに、こういうところもしっかりしているのでしょう。それに研究の進展状況がすばらしく、参加企業も前向き(一部は公開で、メーカーの人30人が聴講する中でのやりとり。さらに一部は非公開での議論でした)で、「数年後にはこんなところや、あんなところに使われるんだ」と思うとわくわくしちゃいました。最後の委員一人ずつからのコメントでは、「今日は成果をうかがい、社会につながっていくのだというのが実感され、変な表現ですが楽しかったですし、うれしかったです」といっちゃった。いいんだもん、こういう表現で。しょせん、専門家ではないのだから。

あと、【専門家ではないゆえに期待されている部分】も実感しました。その技術は安全性がちょっと取りざたになっていたので、それについてはやはり私が質問をせねばいけないのかしらん、と思って尋ねました。他の委員(大学の先生方)は「だいたいの(研究成果の)数値は学会で聞いていましたが」っていうレベルで、きっと安全性に問題がないって周知のことなんだろうと思ったから。そうしたら! A先生が深〜くうなずいて、資料を次々に出してきて、熱心にプレゼンをしてくれたのでした。そうか、やっぱりちゃんと用意していたんだ。ついでに、隣の席の委員の先生まで、「マスコミの人が安全性で〜というように取り上げるけど、騒ぎすぎですよ」とA先生の援護射撃。ま、評価委員といっても、学術における専門家同士ゆえ、仲間意識なのは致し方ないですネ。結局、「安全性についてはこの機関でもしっかり調べている最中だし、万が一、黒でも大丈夫なような実験&製造の仕組みを整えている」ということが分かりました。

本当は当初、期待されている通りの質問をするのがおっくうで、どうしようか悩んだんです。だって、取材先に言われたとおりに動く、思慮の浅い記者みたいじゃないですか。でも、ここで私が聞かなければ、A先生の説明もなく、委員会報告がHPで公開されても「安全性については知らんぷり」みたいになったわけです。その意味で、「社会と技術をつなぐ立場にあって、期待されている通りの振る舞いをする」のも重要なのでしょう。記事を書く場合もそうですね。相手が何を自分に期待しているか、それを理解したうえで、自ら適切な行動を判断して選ぶ。それが大事なんだと思いました。

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2008年7月 3日 (木)

文科省へ来られるときのご案内完全版

霞が関の現・文部科学省に入って半年たったので、ここで【文科省へ来られるときのご案内完全版】を記します(笑)。以前にもブログで書いたのですが、文科省へのたどり着き方はかなり分かりにくいので、初めての方・何回めかの方・山本と分けて(笑)ご説明します。ちなみに文科省のHPでの地図は http://www.mext.go.jp/b_menu/soshiki2/map.htmです。住所は東京都千代田区霞が関3の2の2です。
 
場所は、まだあまり浸透していないですが「霞が関コモンゲート」という名の再開発区間の一角です。桜田通りに面してまず、旧文科省庁舎(黄土色の煉瓦造り。今は文化庁や資料庫で活用している)が4階建てくらいであります。そこから西に向けて、現文科省の入っている東館(中央合同庁舎第7号館に当たる。高層階に会計検査院が入っていて、中低層階に文科省が入っています)、西館(金融庁ほかが入っていて、一階などはテナントがある)、それに従来の霞ヶ関ビルがいずれも30階建てくらいで、どどどと並んでいます。

1)まず、JRを使う場合は新橋駅から、地下鉄銀座線で一駅の虎ノ門駅へ。大雨の時も、これなら駅直結で濡れないのでお勧めですが、銀座線は小さくてラッシュ時はとても混みますのでご注意を。駅周辺もかなり分かりにくい(おまけに中期の工事中)ので、地下の表示に従って11番出口へ向かいます。地下からエスカレーターに1本乗って上がり、2本目のところでパネル掲示を見て、正面ではなく右側(ちょっとひっこんでいる)のエスカレーターを上ります。右手に旧文科省庁舎を眺めながら、左手の小さな入り口(会計検査院内部者用)をやり過ごしてすぐ、入り口(大きな看板がある)が見えます。警備員さんと受付の人がいます。アポがあって身分証明書を見せればすぐ入れます。両方がそろっていない場合は、申請書にちょっとメモして、受付から用務先に確認の電話をし、OKをもらって入ります。文部科学記者会まで来られる場合は12階になります。

2)虎ノ門から山本に会いに来る、初めての方の場合は、旧庁舎の入り口がわかりやすいのでそこを利用いたしましょう。虎ノ門駅ならA6出口を上がってそのまま左手先20メートルくらいのところにあります。警備の人は中にいて、「身分証明書」をという表示が外から見えます。入りにくいでしょうから、外にいらしてください。ここへ山本がお迎えに上がります。

3)地下鉄丸ノ内線、日比谷線、千代田線(文科省から遠い順)ならば、霞ヶ関駅で、これも分かりにくいので地下鉄内表示に沿っての移動がおすすめ。千代田線側のA13出口を上がります。右手の建物はかの有名な財務省。そこに2つ道案内パネルがありますが、手前の白い方は新庁舎が、その次の銀色の方は旧庁舎の地図になっていますのでお気を付けて。上がった状態のまままっすぐ、財務省の建物がつきて信号・横断歩道になっているところを渡ります。そのまま10メートルほどで2)の旧庁舎入り口になります。ここで山本をお待ちください。

4)さて、最初は2)と3)ルートの方も、その後は思い切って旧庁舎の中に足を踏み入れましょう(初回に山本が中にご案内するよう心がけます)。「身分証明書を」と書いていますが無視して(私は「こんちには」と守衛さんに声をかけるだけ)、正面の階段を回り込んで旧庁舎を抜けます。すぐ先のエスカレーターを上がると文科省の入り口です。

実は慣れるともっと便利な行き方もあるのですが、とりあえずこんなところで。それにしてもこんなにいっぱい書いてしまい、「何が重要か分からないので、示された資料から全部書いてしまったが、読者にもちっとも理解されない」悪い原稿みたいかな…(笑)。これを実際に見ていらっしゃる方は、「○番の案内を参考にしたけれど、〜が分からなかった」と教えてくださいね。どんどん改良しますから。少し前に、私は文章がけっこうヘタ(いつもではなくて、「ちょっと(出来に)ムラがある」らしい)と納得して以来、20歳代ではないので根本的な上達は難しいと開き直って(笑)、ご指摘は反発せずに受け入れるようにしていますから。

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