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2008年12月

2008年12月26日 (金)

オバマ世代がリードするイノベーション

かなりの力を注いだ今年最後の記事、として、12日付大学面に「世界視野に『チェンジ!』 オバマ世代3氏 技術革新でリード 自社開発主義の転換必要」を載せました。次期米国大統領オバマ氏47歳と同じ世代の、東京大学TLO・山本貴史社長、三井化学執行役員・藤田照典触媒科学研究所長、東京工業大学理工学研究科・真島豊准教授に、「技術イノベーションを生み出すには、R&Dに携わる人間が意識をがらりと変えなくてはいけない」と語ってもらったのです。前々から私が気になっていたいくつかのテーマに対し、【私が親しい、この世代(私自身もそう)でもっともおもしろい話をしてくれるだろう産学連携、製造業、大学の3人】を引っ張り出したのです。掲載後、その一人から「さっそく周囲にオバマ××(××は本人の本名)と呼ばれました。オバマが喜ぶでしょう」ってメールを受けました。「オバマが喜ぶ」は冗談としても、同僚に「オバマ××」と呼ばれて恥ずかしがらないとは、さすが、私がマークした人だわ、って感じです。

実はこの企画、一面で、キャップクラス4人くらいで連載する話があったのです。ところが、産業界の担当メンバーが、なかなかそういう個性的な人を見つけられないとなって。たぶん、産業部記者だと広報を通じて役員に取材することが大半だから、「個人的にも親しい40歳代」となると、広報さんや高校・大学の同窓生に限られちゃう、ということではないかしらん。かつて私が化学業界担当だった時のことを考えて、そう思いました。

私の場合、大学の学長・役員交替で「もう4年たったのかあ。○先生ともせっかく親しくなれたのに残念」ということはあるものの、大学教員は企業人に比べると、広報を通さなくてもやりとりできるものだし。産学連携の担当者となるとお互い専門家として、ずっとおつきあいさせてもらえるし。「記者の財産は人」というのを、ことさら強く感じます。

08年もたくさんの人に会い、「そうなんだ~!」と感激させてもらい、記事にできたことを、皆様に感謝します。来年もブログともども、どうぞよろしくお願いします。それでは、よいお年を。

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2008年12月10日 (水)

記者は個性で記事を書く

立教大学の取材に、地元支局の若手を連れて出かけました。ベテラン記者でも他の記者同席するのを「やりにくい」と嫌がることがあるのだけど、私はとくに若手の場合、積極的に声をかけて出かけます。今回の相手は入社3年目くらいで、名前は知っていたけれど、顔を合わすのは初めてでした。取材のあと、お茶しながら「さっきの話のポイントは~と~だね。×についてはどう感じた?」とおしゃべりするのは、若手の指導としても、記者仲間を知るという意味でも、労力対効果は高いと思うのです。

「記者の仕事、おもしろい?」といった声かけと合わせて、私がいつも披露するのは「記者は個性で記事を書く」という話です。これは私がまだ新入社員で、「記者って押しが強くて体力もある人がなるものだろうに、私にできるのかなあ?」と不安だったころ、社内の研修で今の社長が話してくれたものなのです。

つまり、記者はおもしろい新しい話を取ってきて書くのが仕事。そのためにどんなやり方をするかというのは自由。脅しとか金銭授受とか、社会通念上、記者としてあるまじき行為さえ避ければ、なんでもいいのです。例えばとにかく下手に出て、相手をいい気分にして口を軽くさせて話を引き出してもいいし、逆に相手を怒らせて反応を見て情報の信憑性を確認する(人事など難しいケースでは時々、使われます)のでもいい。用事がなくても顔を出して、相手と仲良くなってうまくいくタイプもいれば、「このネタをN社に流すような舐めた真似は、よもやないだろうな」と相手にすごむ人もいる。それぞれの個性を生かして、自分のやり方を築いていきなさい、という若手への助言です。今回、同伴した若手も「それ、すごくいいですね」と感激してくれました。

そんなミニミニレクチャーを終えて、何日かして掲載された記事を見て、取材がどんな形で結実したのか理解する、というのがちょっとした研修になるわけです。でもね、今回はちょっと迷走したのです。実は私はその日、大学面の記事手配で頭がいっぱいで、若手にも「これ、次の大学面トップで行くね」と話していたんです。それが出稿後、デスクが「一面でいいんじゃない?」といってくれて方針転換。ところが一面デスクの元で数日置いておかれて、「やっぱり一面じゃ無理だから、大学面でどうぞ、って返却なのかな」と心配していたら…。本日10日付、一面トップです。「アジア3大NGOと協定 医療・福祉で学生派遣 立教大 組織運営・起業学ぶ」。うれしいですよ、大きくなって。でも、若手には「大学面で」といったわけだから、その判断ミスを露呈しているわけです。なるほど、他の記者を伴った取材は嫌、というのはこんな場合を思ってのことでしょうか。まあ、反面教師として、労力対効果はやっぱり高かった、といえそうではありますが…。

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2008年12月 4日 (木)

小宮山宏東大総長、インタビューと講演のタイミング

明日の5(金)付大学面で、小宮山宏東大総長のインタビューを載せます。09年3月に任期終了となる総長の4年間を振り返ってもらいました。「小宮山総長って本当に大学人?」といわれる突出したアクティビティに、私もずっと(もちろん就任時から追っています)引きつけられていましたので、ちょっと力の入った記事になってしまいました。

その中の【記者の目】というコーナーにも書いたのですが、「こんなに大胆なの?」と驚いたのは、総長が打ち出す意外な策に対して、東大そのものがかなり柔軟に受け止めて進んでいる、という点もありました。例えばベンチャーって、一般の日本人には、「一流企業の幹部や高級官僚の席が見えている一番上」の、「次のクラス」の若手がチャレンジする印象がありませんか。でも、東大は大学発・学生発ベンチャーを本気で考えて、学内規則や支援策、教育プログラムといずれも他大学の先頭を切って進んでいます。米国でいわれる「トップクラスの大学の人材ほど、大企業ではなくてベンチャーを志願する」という形が、東大ではある程度、起こりそうなのです。そして社会への影響力としては、「次のクラス」が仕掛けるよりも東大関係者が仕掛ける方が大きいでしょう? 小宮山総長が打ち出してきた各種の仕掛けも同様で、たいへんな刺激を与え続けてくれたと思うのです。

このインタビュー記事、掲載のタイミングに悩みました。次期の総長選が11月27日にあったからです。総長選の前に、現総長の業績を誉める記事を載せると、現副学長の総長候補者(6人中2人いた)を意図的に推しているみたいになってしまう。そこでその後にしたのですが、5日に小宮山総長がこれまでを振り返って大々的に開催する講演会があるので、それと同じ日に当てました。関係ない日に載せるより、「今日、講演する」と入ると、ニュースっぽいというか、話題にぴったりだと思ったからです。日刊工業の愛読者ならば、記事で概要を頭に入れてから講演会に行って、始まる前に「いやあ、小宮山先生も~が××だったよねえ」と知ったかぶりができますよ、って感じかな。

もうひとついうと、一日前の本日4日に、記事の雰囲気をブログで書いたのも同様です。もちろん、ニュースではなくインタビューだし、見出しなどは引いていないので、社としても問題ないな、と判断したうえでです。私のブログを愛読していると「そうか、明日付だな。ちゃんと記事を読んでから講演会へ行こう」と確認できますよ、というわけです。あ、いないか、そこまで目を皿のようにしてブログをチェックしている人は(笑)。自意識、相当過剰?

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