記者は個性で記事を書く
立教大学の取材に、地元支局の若手を連れて出かけました。ベテラン記者でも他の記者同席するのを「やりにくい」と嫌がることがあるのだけど、私はとくに若手の場合、積極的に声をかけて出かけます。今回の相手は入社3年目くらいで、名前は知っていたけれど、顔を合わすのは初めてでした。取材のあと、お茶しながら「さっきの話のポイントは~と~だね。×についてはどう感じた?」とおしゃべりするのは、若手の指導としても、記者仲間を知るという意味でも、労力対効果は高いと思うのです。
「記者の仕事、おもしろい?」といった声かけと合わせて、私がいつも披露するのは「記者は個性で記事を書く」という話です。これは私がまだ新入社員で、「記者って押しが強くて体力もある人がなるものだろうに、私にできるのかなあ?」と不安だったころ、社内の研修で今の社長が話してくれたものなのです。
つまり、記者はおもしろい新しい話を取ってきて書くのが仕事。そのためにどんなやり方をするかというのは自由。脅しとか金銭授受とか、社会通念上、記者としてあるまじき行為さえ避ければ、なんでもいいのです。例えばとにかく下手に出て、相手をいい気分にして口を軽くさせて話を引き出してもいいし、逆に相手を怒らせて反応を見て情報の信憑性を確認する(人事など難しいケースでは時々、使われます)のでもいい。用事がなくても顔を出して、相手と仲良くなってうまくいくタイプもいれば、「このネタをN社に流すような舐めた真似は、よもやないだろうな」と相手にすごむ人もいる。それぞれの個性を生かして、自分のやり方を築いていきなさい、という若手への助言です。今回、同伴した若手も「それ、すごくいいですね」と感激してくれました。
そんなミニミニレクチャーを終えて、何日かして掲載された記事を見て、取材がどんな形で結実したのか理解する、というのがちょっとした研修になるわけです。でもね、今回はちょっと迷走したのです。実は私はその日、大学面の記事手配で頭がいっぱいで、若手にも「これ、次の大学面トップで行くね」と話していたんです。それが出稿後、デスクが「一面でいいんじゃない?」といってくれて方針転換。ところが一面デスクの元で数日置いておかれて、「やっぱり一面じゃ無理だから、大学面でどうぞ、って返却なのかな」と心配していたら…。本日10日付、一面トップです。「アジア3大NGOと協定 医療・福祉で学生派遣 立教大 組織運営・起業学ぶ」。うれしいですよ、大きくなって。でも、若手には「大学面で」といったわけだから、その判断ミスを露呈しているわけです。なるほど、他の記者を伴った取材は嫌、というのはこんな場合を思ってのことでしょうか。まあ、反面教師として、労力対効果はやっぱり高かった、といえそうではありますが…。
| 固定リンク | 0
コメント
OJTとでも言うのでしょうか(笑)?
どんな仕事も同じだと思いますが
やっぱり、「場数を踏む」ことが重要ですね。
怒鳴られるのを怖がってたら、新人は伸びません。怒られると言うことは裏返せば「期待をしている」証拠ですね(苦笑)
労力対効果も、結局は「教えることにより自分が学ぶ」ことにもなっていますよ。
私も今2人の新人さんを引き連れて毎日が
勉強の日々です・・・
投稿: watoson | 2008年12月12日 (金) 01時27分