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2009年3月

2009年3月27日 (金)

国立大の法人化改革の評価は

27(金)付大学面に「中期目標の達成度 文科省が国立大評価 個性生かし改革進む お茶の水女子大など健闘」を載せました。国立大学は法人化後の第一期中期目標を、各大学らしさに合わせて策定していて、その達成度がどうかをみる、04~07年度分の評価です。04~09年度分の最終結果は、第二期中期目標・中期計画期間の運営費交付金に影響するというので、各大学が法人化前からものすごくびびって取り組んできたものです。

一般紙がどんな記事を書いているか見たところ、だいたい、低評価が付いたところの話を取り上げるケースが多いですね。「細かくなるので取り上げないのでは」と私は思っていた(私は今回は省いた)、各学部・研究科の評価など、毎日新聞は詳しく書いていて。某専門職大学院の評価がどのくらい悪かったか、ぐさっと書いていました。

一方、私が記事で取り上げたのは、「非常に優れている」という評価を得たところは、どんなところ? という視点でした。お茶の水女子大学や共同利用機関などの評価が高いことを挙げて、「なるほど、これは大学ランキングでもなんでもなくて、いかに変わったか(改革できたか)という判定なんだ」と分かるようにしました。

お茶大は私がよく知っている大学の一つです。1学年定員が450人という小規模で、女子大で、もの静かな大学です(でした?)からね、改革派の郷通子学長が就任して、たいへんだと見聞きしていました。郷学長は、お茶大出身ではあるけれど、ずっと別の大学の教員を務めていて、走りのころのバイオインフォマティクスに携わったから、研究者としても革新に当たるのでしょう。バイオ系私大の立ち上げにも深く関わった(設立後、学部長に就任)という経歴も珍しい。そのうえ総合科学技術会議の議員に就いたのも画期的でしょう。法人化後の学内の改革派と伝統派のぶつかり合いはある意味、全国立大で見られたわけだけど、お茶大はその変化が最大であり、国はそれを評価したのだということがよく分かりました。

それにしても、一般紙と弊紙の取り上げ方の差が歴然ですねえ。一瞬、自分が大きな間違いをしたのでは、と思ったほどです…。これは、別のブログでも書きましたが、一般紙は、社会の問題を告発する役割が重要なので、常に悪い点に着目するのでしょう。一方、弊紙は産業の活性化後押しを役目としていますので、産業(やそれに関連する大学など)を励ます記事が多いのです。

さらに、記者の担当期間も長くなると、どうしても支援の姿勢が強くなっちゃいますよね。癒着じゃないですよ。表層的な問題点を挙げて、厳しい論調を展開するのはある意味、簡単というか。でも、関係者の実情など、深く話を知るようになると、簡単に批判できない、というのはよくあることでしょう。医療ミスなどはその典型ではないかな。それで私は、国立大学評価については、2000年の試行評価のころからフォローしてきましたから、当初の大学人の大反発、評価関係者の混乱なども知っていて。それだけに、どうしても「こんなによくなったのですか。食いしばったかいがありましたねえ~」と励ましてあげたい、と思うのです。でも、甘いだけではない姿勢を示すためにもう一つ。記事にはさりげなく、こういう意味の文章を入れましょう。「社会は皆さんを見ていますよ、これからも」。

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2009年3月18日 (水)

「現場主義」と効率のせめぎ合い

17(火)付大学面で「触媒科学国際シンポジウム 三井化学が研究交流活動」という読み物記事を書きました。化学合成の触媒でトップクラスを自認する同社が、2年に一度、触媒分野でのノーベル賞受賞者などを招いて行うもの。2日間での延べ参加者数は1600人、コンペティターの企業研究者も大勢、来るのです。「経費はそうですね、3億円ほどですか」「いやいや、5億円はかかるでしょう」といわれるとか。なぜ1企業がそこまでお金を使って、学会がするような活動をしているのか? をレポートしました。

同社の役員に2年前から、「ぜひおいでください」といわれていて。「場所は△か、遠いなあ。一日仕事のわりにニュースは取れないだろうし…」とずっと思っていました。でも、「なぜ研究開発でよそを利するような活動をもしているのか」という点は気になっていて。総合的に見て、将来就職する学生や、ユーザー企業へのPR効果が大きいと判断しているわけですが、「本当にそんなに効果あるのかなあ」と思うでしょう? それで、仕事を前倒ししてこの日は丸1日、このシンポジウムにあてました。結果、「なるほど、これだけの盛り上がりなら、効果は大。この分野の大学生、大学院生は相当、同社への就職を考えるだろうな」と実感し、そのあたりを具体的に記事にしました。

記者にとって「現場主義」はもちろん大切です。でも、やらなくてはいけない仕事を抱えて、効率を考えると、なかなか…と悩むことは少なくありません。資料発表では、電話取材で確認のうえ、資料だけで書くのが普通です。遠くで行われる会見なら、地元支局の記者に頼むというのがよいと、思っています。それに当事者に取材する、通常の記事だって、実は「当事者に聞いた」話を書くわけですよね。それだけに今回の、実際に自分が遠くにまで出向いて、自分で感じて、理解したことを踏まえて書く、いつもと違う記事をうれしく思いました。

現在、もう一つの日帰りの遠出を画策中です。単独での取材ですが、効率重視のため、「あの案件と、このインタビューと、そうだあの話もぜひ」といくつも、相手に調整をお願いしています。急に春めいてきたので、ちょっとうきうき~。私、寒さに弱いんです。冬は取材ペースを、意識的に減らしているわけではないのですよ。でも、よい季節には取材に向かう足取りが軽くなるのも真実でありまして。さあ、新しい季節にまた、どんどん回っていこう!

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2009年3月12日 (木)

食い意地が張っている

 先日、親しいA大学のB教授を交えた数人での懇親の席がありました。B先生とは数カ月前、A大学の重大発表が会った日に、駅近くの交差点ですれ違いざま、少し言葉を交わしていました。私は夜8時半からの会見に、ぎりぎり間に合うなと頭が一杯だったので、「ま~、B先生ったら自転車になんか乗っちゃって。夕食でも食べにいくのかしら。私はこれから大会見だというのに」ってその時、思ったのです。それで、懇親の席でもその話を持ち出そうとしたのですが、なんとB先生に先手を打たれて、「あの日ねえ、山本さんったらパンなんか食べちゃって」というではないですか。パンを食べていた? 私が? 「いい年齢の女性が、駅近くで信号待ちをしながら、パンなんかかじってちゃだめですよ」と続く。…思い出した。食べてましたわ、私。夜の会見とその後の執筆で夕食が取れないと判断して、会見10分前にコンビニでパンと牛乳を買って、それを手にしていた記憶が浮かび上がってきたのです。

昔は胃が具合悪くて、食事を抜くと痛んで、その後に食べても痛みが治らないので、何かしら口にするように気を付けていたんです。「本当の胃痛じゃないんじゃない? 食べなきゃだめだなんて」といわれてたけど。ところが最近は胃の調子がよくって、食欲が旺盛気味かもしれない状態です。

昨日は、これも親しい企業が主催するシンポジウムに長時間出席でした。夜のパーティでは、「よし、これで社長のコメントも取ったし、会長にも取材のお願いをできたし」と食べ物に手を伸ばしていたら、「おや山本さん、がっついて食べていますね」と口の悪い某執行役員の声が。えっ、だって昼ご飯も半端だったんですよ。お昼休みの会見の前にお弁当が用意されていたのはいいけれど、会見が始まってそれが1時間もかかって。中断していたワタシのお弁当は片づけられてしまったんですよ。…と、そういう言い訳はもちろん、届かないまま、執行役員は遠くへいってしまっていました。あ~あ、どこかでいわれるんだろうな。「山本さん? 知っていますよ、あの食い意地が張った記者でしょう」って…。

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2009年3月 5日 (木)

シンポ案内記事をご希望の時は

 年度末ゆえ、駆け込みになるのでしょうか、シンポジウムが目白押し。今週が山場のようです。「シンポジウムの案内を載せてほしい」との声も多くて、調整でけっこうばたばたです。というのは、それをチャンスにちゃんとした記事を書きたいと思うからです。

双方にとって一番、よい形ではないかと私が思うのは、まず、そのシンポで発表される新しいトピックスについて先に取材をする。その内容の記事を、最後に「○日に×で開かれる~シンポジウムで発表する」と付け加えて書き上げ、内容がおもしろいため、大きめの記事で掲載される。日をあけずに掲載案内も掲載する、という形です。そのためには、シンポまで日程的に余裕がなくてはなりません。

今年の一本は少し失敗してしまいました。親しい人の紹介で、ある独法の研究センター長を初めて取材。おもしろい研究成果の一つで記事を書き、一面掲載となり、「~シンポで発表する」と入れたものの、開催案内は載せられなかったのです。この案件に興味を持ってくれた読者から、問い合わせがあったし、同様に関心を持った人はセンター名のウエブ検索でシンポに来てくれるだろうから、いいと思っていました。ところが、取材先のセンター長は、シンポ案内そのものが載らなかったのがご不満で、メールで「期待はずれでした」といわれてしまいました。えーっ、なにそれ、と思ったけど、まあ逆の立場だったとしてみれば分からなくもない。そこで「ご期待に添えず、失礼いたしました。記者は、記事としておもしろい内容のものを優先する習性ですので…」とメールで返しました。もうひとつ、「詳細なご希望がある場合は、広告をご検討くださいませ。××(相手の独法)様にも時々、ご活用いただいております」とオマケを付けて。

一方、地方公立大の健康系シンポのケースは、上手にできました。以前に紹介者がいてお世話になった、医学部の事務職員の方(広報さんではないのにこんなふうに動く職員は珍しい。そのことにも感心しました)がアレンジをしてくれました。「文部科学省に来たので」と久々(2年ぶり)&突然の来訪にちょっとびっくり。でも、「今度のシンポは力を入れているので」とその理由が分かり、面倒なアレンジも厭わずに手がけてくれました。結局、お忙しい研究リーダーに、羽田飛行場で取材をし無事、産学官連携もののトップ記事と、シンポ案内の両方を載せることができました。

羽田での取材も久々でした。「羽田取材なんてかっこいい。ハリウッドスターだと成田で取材かしらん」なんて浮かれかけたりして(笑)。初対面の先生だったので「ごちゃごちゃしたところで、取材がうまくいかなくて、怒鳴られたりしたらどうしよう。医学部の先生はタカビー(高飛車)なのが時々、いるからなあ」という不安もありましたが、すごく感じのいい先生で問題なし。ところが、場所選びは心配したように少し、手こずって。先生が選んでくれていたところから、私が下見していたところに場所を替えたのです。

よかったのは、JAL第一ターミナルの、南北をつなぐ真ん中にある、マーケットプレイスという名前のタワー型の場所。3階のレストランを【夕方の喫茶使い】としたため、テーブルも広いし、わりあいと静かでした。2階にはがさがさしたコーヒーカフェしかないので、そちらはパスするのが正解でしょう。次の羽田取材にも、ここを使いましょうか。ブログに書いておけば、次のチャンスの時には、「どこが便利なんだったっけ? メモなんかどこかにいっちゃったよ~」と迷わずにすみますから、ね。

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