国立大の法人化改革の評価は
27(金)付大学面に「中期目標の達成度 文科省が国立大評価 個性生かし改革進む お茶の水女子大など健闘」を載せました。国立大学は法人化後の第一期中期目標を、各大学らしさに合わせて策定していて、その達成度がどうかをみる、04~07年度分の評価です。04~09年度分の最終結果は、第二期中期目標・中期計画期間の運営費交付金に影響するというので、各大学が法人化前からものすごくびびって取り組んできたものです。
一般紙がどんな記事を書いているか見たところ、だいたい、低評価が付いたところの話を取り上げるケースが多いですね。「細かくなるので取り上げないのでは」と私は思っていた(私は今回は省いた)、各学部・研究科の評価など、毎日新聞は詳しく書いていて。某専門職大学院の評価がどのくらい悪かったか、ぐさっと書いていました。
一方、私が記事で取り上げたのは、「非常に優れている」という評価を得たところは、どんなところ? という視点でした。お茶の水女子大学や共同利用機関などの評価が高いことを挙げて、「なるほど、これは大学ランキングでもなんでもなくて、いかに変わったか(改革できたか)という判定なんだ」と分かるようにしました。
お茶大は私がよく知っている大学の一つです。1学年定員が450人という小規模で、女子大で、もの静かな大学です(でした?)からね、改革派の郷通子学長が就任して、たいへんだと見聞きしていました。郷学長は、お茶大出身ではあるけれど、ずっと別の大学の教員を務めていて、走りのころのバイオインフォマティクスに携わったから、研究者としても革新に当たるのでしょう。バイオ系私大の立ち上げにも深く関わった(設立後、学部長に就任)という経歴も珍しい。そのうえ総合科学技術会議の議員に就いたのも画期的でしょう。法人化後の学内の改革派と伝統派のぶつかり合いはある意味、全国立大で見られたわけだけど、お茶大はその変化が最大であり、国はそれを評価したのだということがよく分かりました。
それにしても、一般紙と弊紙の取り上げ方の差が歴然ですねえ。一瞬、自分が大きな間違いをしたのでは、と思ったほどです…。これは、別のブログでも書きましたが、一般紙は、社会の問題を告発する役割が重要なので、常に悪い点に着目するのでしょう。一方、弊紙は産業の活性化後押しを役目としていますので、産業(やそれに関連する大学など)を励ます記事が多いのです。
さらに、記者の担当期間も長くなると、どうしても支援の姿勢が強くなっちゃいますよね。癒着じゃないですよ。表層的な問題点を挙げて、厳しい論調を展開するのはある意味、簡単というか。でも、関係者の実情など、深く話を知るようになると、簡単に批判できない、というのはよくあることでしょう。医療ミスなどはその典型ではないかな。それで私は、国立大学評価については、2000年の試行評価のころからフォローしてきましたから、当初の大学人の大反発、評価関係者の混乱なども知っていて。それだけに、どうしても「こんなによくなったのですか。食いしばったかいがありましたねえ~」と励ましてあげたい、と思うのです。でも、甘いだけではない姿勢を示すためにもう一つ。記事にはさりげなく、こういう意味の文章を入れましょう。「社会は皆さんを見ていますよ、これからも」。
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