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2009年3月18日 (水)

「現場主義」と効率のせめぎ合い

17(火)付大学面で「触媒科学国際シンポジウム 三井化学が研究交流活動」という読み物記事を書きました。化学合成の触媒でトップクラスを自認する同社が、2年に一度、触媒分野でのノーベル賞受賞者などを招いて行うもの。2日間での延べ参加者数は1600人、コンペティターの企業研究者も大勢、来るのです。「経費はそうですね、3億円ほどですか」「いやいや、5億円はかかるでしょう」といわれるとか。なぜ1企業がそこまでお金を使って、学会がするような活動をしているのか? をレポートしました。

同社の役員に2年前から、「ぜひおいでください」といわれていて。「場所は△か、遠いなあ。一日仕事のわりにニュースは取れないだろうし…」とずっと思っていました。でも、「なぜ研究開発でよそを利するような活動をもしているのか」という点は気になっていて。総合的に見て、将来就職する学生や、ユーザー企業へのPR効果が大きいと判断しているわけですが、「本当にそんなに効果あるのかなあ」と思うでしょう? それで、仕事を前倒ししてこの日は丸1日、このシンポジウムにあてました。結果、「なるほど、これだけの盛り上がりなら、効果は大。この分野の大学生、大学院生は相当、同社への就職を考えるだろうな」と実感し、そのあたりを具体的に記事にしました。

記者にとって「現場主義」はもちろん大切です。でも、やらなくてはいけない仕事を抱えて、効率を考えると、なかなか…と悩むことは少なくありません。資料発表では、電話取材で確認のうえ、資料だけで書くのが普通です。遠くで行われる会見なら、地元支局の記者に頼むというのがよいと、思っています。それに当事者に取材する、通常の記事だって、実は「当事者に聞いた」話を書くわけですよね。それだけに今回の、実際に自分が遠くにまで出向いて、自分で感じて、理解したことを踏まえて書く、いつもと違う記事をうれしく思いました。

現在、もう一つの日帰りの遠出を画策中です。単独での取材ですが、効率重視のため、「あの案件と、このインタビューと、そうだあの話もぜひ」といくつも、相手に調整をお願いしています。急に春めいてきたので、ちょっとうきうき~。私、寒さに弱いんです。冬は取材ペースを、意識的に減らしているわけではないのですよ。でも、よい季節には取材に向かう足取りが軽くなるのも真実でありまして。さあ、新しい季節にまた、どんどん回っていこう!

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コメント

ニュースにとって「現場主義」は本当に
本当に大事だなぁ…と先週改めて実感
しました。
その事情はすでにご存じと思います…。
私も、一時ネット向け紙媒体リリースを
やってましたが、それだけでは分からない
事って本当に多いです。

でも、読者にとっては事情なんて言い訳に
過ぎないのでどんな小さな事も「確認」
そして「なぜ?」と思ったら即現場が一番
安心出来る新聞になるのでしょうね?

私も、人ごとではありませんが…

春ですし、気分転換がてら(笑)効率的に取材するのも良いかもしれませんね。

投稿: watoson | 2009年3月21日 (土) 22時46分

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