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2009年4月

2009年4月15日 (水)

「記事化の時期を逃した」と思っても

14(火)大学面で、文科省の「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」事業について、「文科省の先端融合革新事業 初年度案件 第2段階突入 継続獲得 競争率3倍」を書きました。ブログでも前々から書いているように、以前から注目してきた事業です。案件を絞り込む「再審査」と名付られた、ある種の評価の結果発表が1月末にあって、それはすぐに記事にしたのですが、それに続く解説記事をどう書くかに迷っていました。

だって、これまで国から年3億円+企業から3億円、という巨額の資金をもらって動いていた1グループが、再審査の結果で二極化します。「継続」OKになったところは、年7億円+7億円、「来年またエントリーしたら再審査してあげるけど、とりあえずはちょっと…」という低い評価のところは、年6000万円+6000万円になってしまうんですよ。「これまでにない残酷な事業」って関係者が口にしていたくらいです。継続となったグループのリーダーに、コメントをもらう試みもしたのですが、辛い他グループを思ってか、淡々としたものでした。ましてや評価が悪かったところは、とてもコメントなんて出してくれないだろうなあ、と思って迷ったのです。

それで遅くなってようやくの記事ですが、「発表直後ではないからこそ、聞けた話」が入ったのが今回の特徴です。文科省の担当官に、評価が悪かったたけど、なんとか首がつながっているという阪大、岡山大、東大、名大のすべてのグループが、「1年後に再審査の再エントリーをし、継続を勝ち取りたいと考えている」と聞いたのです。本当ですか? って聞いちゃいましたよ。だって予算が5分の1になるんですよ。この景気下では主力参加企業の多くが「撤退」を主張するだろうと思っていましたから。評価が出た直後ではなく、それから時間がたって関係者の様子が、浮かび上がってきたという意味では、よいタイミングになったのです。

記者は瞬発力が大切ですが、日々いろいろ抱えて、まとめ記事を書くのが遅くなってしまうことは時々、起こります。でも今回、「記事化の時期を逃したなあ。失敗しちゃった」と思いつつも、話を聞きに行ったからこそ、この大きな変化がつかめた。私は基本的に、粘りが足りない面があるんです。それだけに「やっぱり取り組んでみよう」ともう少し、粘る姿勢を心がけていきたいと思ったのでした。

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2009年4月 9日 (木)

記事は「逆三角形」で書くというけれど

4月7日(火)付大学面で「専門職大学院で認証評価本格実施 教育改革へどう生かす 法科・経営系で判定バラツキ 改善活動、社会ニーズ汲め」を書きました。1年前にも、「認証評価って、不適合が出たってそう大問題じゃないんですよ」と書いたのですが、今回は専門職大学院に視点を移して、再び説明。「いったい責任者はだれ? 【不適合】なんて一般人がびびりそうな表現を用いることを決めたのは。制度自体、わかりにくすぎ!」と思っている、大学の皆さんの気持ちを代弁いたしました。

私は最初の執筆では、導入部に法科大学院の「不適合」の話をニュースとして取り入れ、次の段落で制度の説明を入れました。「記事は逆三角形で書け。結論が先、説明は後」と記者は教育を受けますから、その感覚で。ところがデスクから、その原稿に「全然、分からない。専門職大学院は何が新しいの? こういうこと? これは何?」と【分からないジルシ(印)】がいっぱい付いて、ファクスが返ってきました。一年前にこの制度の記事を読んでいるデスクでさえ分からないものが、一般読者に理解できるはずがないですよね…。「分かりにくい話は、最初に説明を持ってくるしかないんだ」と実感して、大幅に書き換えました。

では、大学の研究発表・論文などはどうでしょうか。長いもので抄録が最初に付く場合は、そこで結論を出しているけど、短い発表・レポートの場合、「背景」「先行研究の調査」「今回の研究手法」とあって、その後に「研究の結果」が来るじゃあありませんか。最後までいかないと結論が出てこない…。なぜでしょう。私が考えた理由の一つは、中身が難しいから、です。普段、あまり目にしないような分野の性能で、「△効率が10%を超えました!」と結論をいわれても、「10%っていい数値なの? △効率って何? 最初からちゃんと説明して~」と思ってしまう。それからもう一つ。研究発表などでは一応、聴講者は発表を全部聞く、という前提があるからかな、と思います。最後まで聞いてくれるなら、順を追って、話をだんだん盛り上げて行くのもOKなのでしょう。ま、居眠りの人もいますけどね。

いいなあ~。記事は「分かんない、パス」で読まれずになってしまう…。あ、隣の芝生の青さをうらやんでいてはいけないですね。どんなタイプの話でも、読みやすい記事を書けるよう、研鑽を積むことにいたしましょう。

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2009年4月 2日 (木)

科技部記者の連携が進展

3・24日付の一面「産総研理事長に野間口氏」の人事スクープ、見て頂けましたか? 弊社らしい分野の、会心の出来映えです。スクープであるだけに、詳細をご紹介できないのが残念ですが、弊社のかなり大勢の連携によるたまものです。私は、大学人が理事長に就くとの情報があったため、そこでお手伝いしただけです。でも、その後も仲間の動き方を見ていて、「ものすごく難しい案件だな」と思っていたので、「よくできたものだ」と心底、感心しています。

これに続いて…というわけではないですが、日刊工業新聞の科学技術部では、新年度から重要テーマについての複数担当制をスタートします。大学面にもついに!! サブ担当の記者が就きます。産学だの大学間だの、連携の専門家である私(笑)としては、やっと自らもそうなったということでしょうか。大学面担当が一人だと、「交通事故で明日から3カ月、休みとなったら、大学面はどうなるんだ?」という不安感がずっとあったのです。これでもう安心…と気を抜いて、自動車にはねられないよう、しなくてはいけませんネ。

私が知っている(入社以来)の科技部の歴史の中で、複数テーマでこんな連携体制を敷くのはほとんどなかったと思います。かつて、部員の多くを年長の専門記者が占めている時期もあって。皆、自分のやり方に自信を持っているベテランゆえ、他記者と連絡をこまめにとって、譲り合ったり、時には批判もしあって、記事をつくっていくのなんて、嫌なわけですよ。勝手にそれぞれがやればいい、という感じでした。その話を仲間にしたら「そうですね、仲がいいうちに連携しちゃうのが手ですね」といわれました。さて、これからどんな成果が出てくるか。「楽しみにしていてください」とあえて口にしてしまう私です。

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