取材相手について若手からコメントを受けて…
親しい取材先A先生に「いい研究成果が出た、特許を出したばかり」と声をかけてもらい、A先生と共同研究した中心のB先生(あと、記事では相手の希望で社名を伏せたけど、メーカーとも組んでいる)に技術の取材をしました。話題の分野だったので、出稿して即、一面掲載へ。社のウエブでやっている「ニューストップページ 週間アクセスランキング」では4位に付けました。産学連携という私の「主戦場」ではないけれど、やっぱり反応がいいとうれしいですね。
ところが、社内研修で久しぶりに会った、親しい駆け出し記者からコメントが来ました。弊社でもっとも最初に私が指導をするという、変則的ないきさつがあった若手です。その彼が「この間の一面のB先生、悪い奴ですよ」といってきました。ははあ、悪い奴ねえ。ベテラン年長記者だったら「あいつ、タヌキだから気を付けろよ」っていうところでしょうか。「私はB先生と10年近く、おつきあいしているんだけど」と、かつがれているのではない、との意味を込めてまず、返します。聞くと、支局で親しくしている地元国立大学が、B先生と近いところで(一緒に?)研究をしていて、トラブルになったらしい。「特許で~をしているんですよ」と地元大学の関係者から聞いたのか、具体的に挙げてくる。うーん、それってまずいのかな?? 明らかに具合が悪い話だと、B先生がからむうような大学や弁理士もほっておかないと思うのだけど。私は「確かに大胆でやり手で、昔からトラブルも敵も多いのは聞いてはいるよ」といったものの、困ったな、よく分からないよ。そこへ、昼食に行く若手仲間にせかされて(研修で、久々に皆が集まって、うれしいのでしょう)、彼はひっぱられて、やりとりの続きはまた後日…。
とりあえず、先送りできたけど、彼にどう話したらいいんだ~? そんな時、社の科学技術系記者OBとのおしゃべりで、出てきた話がヒントになりました。そのOBの話というのは「この間、△教授の記事、見た? 大きく出てたな。あの環境エネルギーの先生、昔からマユツバだっていわれるんだけどな。その分野の研究者に話すと『いやあ、あんな技術はちょっと…』って反応で。でも、そういう中からとんでもなくいいものがうまれてくるかもしれないしな」。おおお。そうですよね、イノベーションは周囲となじまない人やビジネスから生まれてくるわけであって。トラブルを起こす人だからといって、とにかく敬遠すべしという論はおかしいよね。これがヒントになって以下のメールに発展しました。
「先日、特許の~が問題だといっていましたが、B先生の場合は××なので、問題ないのでは、と想像しています。B先生の最近の様子は、周辺のC大学やD大学でちょっと聞いてみますね。うわさやトラブルの時には、一方の言い分だけを鵜呑みにしないで、できる限り、両方の意見を聞くことが大事ですから。それに、訴訟など大きなもめ事になっていないレベルでは、記事の対象内容(今回は新たな研究成果)自身が優れていて問題なければ、記事化してよいという判断もできると思います」。実際は、トラブルの内容・レベルと、新たな報道する事実の内容・レベルを見比べながら、上司と相談し、リーズナブルな線を探すとことになるでしょうか。
今回の件で私は、B先生自身の問題だけでなく、駆け出し記者に対する複雑な思いがあったな、と振り返りました。ベテランの私の記事・取材先にクレームを付けてきたので、「なんか生意気になったじゃん、いっぱしの記者らしく」というちょっとしたショックが、尾を引いていたんですよ。今、考えると。怒ったわけじゃないけれど、少々、むっとしたのはあったし。それに、研修後に会話をしながら「昼食に誘おうかな」と思ったところに、同年代の記者らと連れたっていってしまったから、寂しかったのかもしれない。つまり、「子供も成長してくると、それなりの口答えをし、親より友達が大事になってくる」と実感した。そういう出来事だったようです。
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