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2009年8月 5日 (水)

優しい記者は文章が分かりにくい?

このところ、「記事の文章が分かりにくい」と複数のケースで指摘されて、ちょっと落ち込んでいました。駆け出しの時期ならともかく、ベテランになっても、こんなんでどうするの~?って。社外の先輩格とおしゃべりする機会があって話したところ、ちょっと目からウロコのアドバイスをもらいました。

◎書くことを絞る。複数、書きたいことがあるなら、別の原稿で2本書くようにする。

◎読みやすいリズムを意識する。文は短く。まず結論、説明は後ろに。

これだけ。これまでも、社内でいわれてきたことです。私に対する歴代デスクの指導が、いいかげんだった訳ではないのです。ですが、私が納得したのは、「山本さんは優しいから。取材先の顔を思い浮かべて、これを強調していたな、いやあれも書いてあげなきゃ、と考えちゃうんだろう。そうすると分散してしまって、結局は内容が分からなくなってしまう。もっと大胆に、ばさっと切り落として書かなくちゃ。取材先も大事だけれど、読み手に分かりやすく書くのが一番だよ」というものでした。そうかあ。取材先の気持ちを汲むあまり、そっちにひっぱられて、盛り込みすぎの記事になってしまう。記者が直接、やりとりする相手は読み手ではなく、取材先だから、意識していないとどうしても、そうなってしまう。

ということで、内容を絞るということを意識したうえで、7月28日付を書きました。「文科省まとめ 昨年度の産学連携 特許権実施額27%増 技術移転で東大ダントツ 共同研究 中堅大・私大が健闘」を書きました。6月26日のブログでは、文科省調査の案件の扱いに苦労して、ぐちゃぐちゃになったことを書きましたが、それに対する【リベンジ】です。数多いデータの中から、技術移転収入と、中小企業・海外企業との共同研究に絞って書いたのです。

ところが。後に社内の幹部から連絡を受けました。N紙に載っている記事「大学の特許収入最高 昨年度9億9000万円 米と以前格差」の文科省資料がほしい、とのこと。むむむ。私の記事も読んでいるはずだし、内容的には私の方がいい視点だと思っていたのに、N紙の記事の方が幹部には通じたんだな。N紙の「大学の特許収入」という表現がよかったのかも。同じものなのだけど、私が資料の通り書いた「特許権実施額」より、確かに分かりやすい。「発表側が使った言葉通りにしてあげなくちゃ」との意識も、読者側に立ったものにはならないってわけですね。私ってば優しいから…。これからは【心を鬼にして】(ちょっと極端か)、取材先には優しくない、読者に優しい文章をもう一段、意識することにいたしましょう。

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コメント

14日の科技面拝見しました。
前日業務なので、読み込む時間は
無かったのですが、
どの記者よりも「科技にアレルギー」のある人でも、あっという間に読むことが
出来てしまうのが凄いと思っております。
あの、中小との連携の記事は良いですね。
「血管を見つける装置」はあれば採血が
楽だろなぁーと感心してしまいました。
これと、痛くない針を使ったら
日本の技術力は中小で持っていることが
よく分かりますね。

投稿: watoson | 2009年8月15日 (土) 02時09分

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