モノづくり連携大賞と事業仕分けの公正さ
第4回モノづくり連携大賞の表彰式が先週、ありました。この賞も4年目なので、とんでもない応募案件が少なくなったのは当然ですが、「こんな取り組みがあるんだ~」というようなユニークなものが、まだまだ出てくる点は感心しています。例えば、「日刊工業新聞社賞」は東京工業大学と大学発ベンチャー「アイフェイズ」による、熱伝導率測定法で国際標準化機構(ISO)の新標準を確立した取り組みです。環境ISOがあって、その認証を取ったという話ではないのですよ、もちろん。「どの技術をISO準拠のものと認めるか」というISOの国際交渉の場に乗り込んで行って、8年の間に23カ国の【公正な】投票を5回も実施して、新標準にしたという取り組みなのです。それから特別賞には、釧路公立大学が弟子屈(てしかが)町と連携した、摩周湖の環境保全のためのマイカー規制実施に向けた調査がありました。観光客の意識アンケートだけでなく、消費実態調査、地域経済への波及まで、しっかりした社会科学的手法で関連づけて分析しています。
予備を含めた審査課程をみてきて思ったのは、「対立する意見があっても、公正な形で十分、議論したうえでなら、結果がどういう形になっても納得できる」ということでした。例えば釧路公立大の件は、文科系大学の観光での地域連携ですから、モノづくり連携大賞の受賞案件になるのだろうか? と議論になりました。でも審査過程で賛成、反対の意見を尽くしたうえで、入賞を決めたのです。だから「対象案件じゃないんじゃないの」ともしだれかにいわれたとしても、胸を張って説明することができるわけです。
政府の事業仕分けの件も同様に感じています。これまで国民一般は知らないところで、官僚ベースで予算を決めていたプロセスが、公になったという点は画期的ですよね。でも、「賛成派と反対派が同じ土俵で、公正な議論を十分に展開したか」と問われると、大いに疑問符が付くというところでしょう。初年度からスラバシイ形に仕上がる訳にはいかないものです。そのために今回は、科学技術関係の巻き返しも含めて、まだ紆余曲折があるでしょう。でも来年度以降も実施するなら、「公正な議論が実施されたと、国民全体が納得できる形に」ぜひしてほしいと希望しています。
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この1カ月ほど多忙でブログがお休みでしたが、ようやく一区切りです。国内出張に海外出張、事業仕分けがらみの会見の一方、社のイベントでお手伝い…。産学連携の事業仕分け関係の記事も十分でなく、現在、まとめ記事の準備中です。も~体力的にもぎりぎりでした。倒れないために、週末などどれだけ睡眠時間に費やしたことか…。え、多忙をぼやくのに睡眠時間の多さを自慢するのはおかしいって? いやまあ、ひ弱なジャーナリストも中にはいるってことでご理解を…。
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