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2010年1月

2010年1月26日 (火)

前回の分析記事を批判される

前回ブログで書いた、1月5日付の本紙の産学官連携記事分析の記事で、批判を受けました。社内の経験豊富なメンバーによる、紙面評価委員会における匿名の発言を読んだのです。要は、「自社の記事を分析して、こういう傾向が見られた、というのは変だろう。ジャーナリズムは、自社外のデータや事実に対しての客観・中立報道でなくては」という反応だと受け取りました。

仕事の内容を批判されるのって嫌ですよネ~。少し前に同じ場で辛辣な批判を受けた同僚は「(自由な意見が出るようにとしているのだろうけれど)批判する側が匿名っていうのはおかしいよなあ。まったくがっくり、やる気をなくすよ」といっていました。私は「評価委員は、各面の現場や実情を知らない、一般読者の立場で読んでの感想をいう。だから、『そういう見方もあるんだ、なるほど、気が付かなかった』というレベルで反省すればいい」と思っていまして。記事を一生懸命読んでくれる、その面の業界関係者の反応とは、同じではないと考えています。弊紙は一般紙と業界紙との中間にあるわけですが、評価委員がいうのは一般紙的な立場、私がいうのは業界紙的な立場ですね。実際に今回はたまたま、「こんなことを書こうと思っていて」とちらっと話す機会があって、取材先・読者の3人が別々に「それはおもしろいね」っていってくれたのですから。

で、今回の件についての私の考え方は以下のようなものです。「一般紙数紙の記事分析で社会の流れを追う」というような客観分析ではないことは十分、承知です。でも、関係者にとって「産学官連携の一般社会への発信って記事によることが多いけれど、ちなみに日刊工業の記事だとどんな傾向なの? 一般紙は産学官連携の記事なんて少なすぎて、傾向は分からないよ」という気持ちは、あるのではないでしょうか。うちの大学面の、担当者の私以外に全国の支社支局や科学技術部記者から出てきた、6年間の1761件の記事が対象なので、まったく客観性がないわけでもないと思います。そして実際に手がけてみて、テーマ別では教育がトップ、2位が大学発ベンチャーだったということが分かるなど、「そうなんだ~」という結果がいくつか出てきました。「記事はおもしろいか、役に立つか」。ほかにはこういう分析はないことを考えると、まあまあおもしろいと思うんですよね。ちゃんと調査の条件は明示しているので、「日刊工業では、こうなんだ」と読んでもらっているわけですし。

ということで、私は別に批判を受けて、怒り心頭ではないもーん、もっとクールなんだよーん、と自らに言い聞かせていました。ところが、あるシンポジウムで眠くなって夢うつつにいろいろ考えていたら、このことを思い出して、そうしたらがぜん!目が冴えてしまったのです。けっこう気にしていたんですね、私…。これからはシンポや会議で眠りそうになったら、悔しい出来事を思い出すということにいたしましょう。

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2010年1月19日 (火)

6年間の日刊工業の産学連携記事分析

5日付大学面で「社会ニーズ映し変わる産学官連携 03-08年の本誌記事分析 テーマトップ3 教育・VB・共同研究 教育の2割がMOT 知財・技術移転は下降 etc」を載せました。6年間の大学面の産学連携記事すべてをチェックしての傾向分析です。簡単だけど実情を正しく把握できないキーワード分析とは違いますよ。すごい手間だったのですが、実は記事向けとは別にチェックする必要があって調べて、それを記事にも活用した具合です。一案件を2度も3度も使い回す、が私のモットーの一つ。切り口を変えて別の場面で使うというのは、質のよい仕事を効率的に行ううえで大切なことだと思っています。

最初、この分析を記事に考えているといったとき、「日刊工業の自慢話になったら、記事としてまずいだろう」といわれ、「日刊工業の過去記事を通して、ここ数年の産学官連携の変遷を見る、という分析報道です」と答えました。でもね、実は他の新聞との比較、ズバリ日刊工業自慢というのもやっていまして。紙面には載せていないけれど、販売局のPRチラシには活用してもらいました。

それは一般紙A紙と、経済誌N紙との比較です。08年についてのみ、日刊工業と合わせて全ページをチェックして、「産学官連携が内容の2割以上を占めている記事」を探し出して、記事数をカウントしました。その結果…、日刊工業における産学官連携の年間記事数は530件以上。これはA紙の14倍、N紙の7倍となったのです。もちろん、差があると自負はしていたけれど、具体的に数値で出せると「どおお、さすがでしょ」という気持ちになりますね。ところが一方で、「あれれ、そうなんだ?」ということも。日刊工業の産学官連携記事の中での分析で、大学面と地域面(東日本面、西日本面)での記事数がほぼ半々。山本執筆と山本以外の記者の執筆の記事数もほぼ半々、ということが分かったのです。そうなんだ、アタシが圧倒的ってほどではないんだ~。これは別の言い方をすると、弊紙の産学官連携は中央からの発信(私の記事)と、地方から全国への発信(支局などほか記者による地域面記事)が半々ということですね。そう考えると、とてもよいバランスではないでしょうか。

それにしても本日19日付ブログで、5日付記事のことを書いていてスミマセン。実は風邪第二弾を受けてしまいまして。カタールから戻った11月末に第一弾で風邪を引き、免疫力の低い私は咳だけが残り、それでも1月についに「咳なしが2日、続いた!」との状態に。しかし3日目。あれ、なんで喉がひっかかるのかな、と思っているうちに、前回より数段、激しい咳が出るように…。がっくり。でも思うのです。一昔前なら、私レベルの体力の女性は仕事など持てなかっただろうってこと。それを思うと、やっぱり今の社会に感謝しなくてはいけません。それに虚弱体質の方が長生きするのです、いろいろ気を付けるから。突然死に気を付けるべきはそう、頑強自慢のあなた、ですヨ。

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2010年1月 4日 (月)

自分にしかできない仕事を

新年おめでとうございます。今年も日刊工業の記事も、ブログもどうぞよろしくお願いします。私は誕生日が12月なので、年齢が一つ上がるのと、新しい年が始まるとが同時期で、どちらも一緒に「これからの一年はがんばらなくちゃ」といつも思うのです。

けれども年齢が上がって、最近はちょっと容姿の変化も気になってきました。△が増えるとか~、◇が減るとか~、□が目立つとか~。でもね、それらはたいして怖いものではありません。年を重ねることで、容姿の変化を補ってあまりあるだけの、仕事の実力アップがあるからです。ビジネスウーマン向けの雑誌などで、社会的に成功した女性は皆、「20代、30代…と上がって行くにつれ、どんどんハッピーになる」と口にするのですが、それは本当だと思いますよ。まあ私の仕事は、日刊工業新聞という看板を背負っていて、フリーの著名人とは違うので、過度に高いプライドを持たないようにしなくてはいけませんが。でも近年、ハイレベルのライフワークを確立しつつあって、今年はその正念場でもあります。だから、自信がなくてはやっていけないわよ!という面もありますね。

「仕事のレベルが高まる」というのにもいろいろあるけれど、大事なのは「他の人では代替できない、自分にしかできない仕事ができるようになる」ということでしょう。資金や環境が整えば、だれでもできる仕事というのは、つまりたいしたものではない。だから、価格競争にはまってしまったりするわけです。産学連携の関係者ならば、「あの人がいなければ、こんなふうには絶対に進まなかった」といわれる人に、なりたいと思いませんか? 大学発ベンチャーだって、経営者や営業担当者を適当に連れてきて、それだけで事業が好転したというと、「実はその技術、たいしたことなかったのね」と感じてしまいます。

今、日本社会の不景気を口にする人が多いけれど、「(何もしなくてもそのうち)景気が回復して、国民だれもがハッピーになる」なんてことは起こらないでしょう。高度成長期ではないんですよ、今の日本は。皆と違うこと、しかも価値のあることができる、そういう人・組織でないと、景気が回復したって発展はできないと思います。新年からキツイことをいってすみません。でも、資産や家柄や大企業への安泰就職で人生が決まっていた、大昔よりはずっといい。米国はあんなに貧富の差が激しいのに、なぜ国民はその社会を受け入れているのでしょうか。それは、「人と違う仕事ができる人が報われる」という点では皆、公平だと感じているからでしょう。

私が駆け出し記者だったころ、大学の教員のプライドの高さが不思議でした。国の科学技術予算は近年、こんなに増えてしまったけれど、その前はどの研究室もビンボーでした。取材にいくと「この機械は手づくりなんですよ。秋葉原で部品を買ってきて、学生が作ったもの。でも、これによって初めてこんなデータがとれました」と自慢されたものです。高額機器をそろえた企業の研究開発現場に対して、ちっとも負い目なんかない。それは、お金があっても真似のできない、独自の発想とノウハウに基づく研究をしている、という自信があったからでしょう。もちろん、研究のスピードアップのためには、「もう少しお金があれば、もっとよい」という思いもあったことでしょうけれど。

あ。これって、年齢と容姿のケースと同じですね。「いい仕事をしているから、年齢が上がることは怖くなんかない。でももう少し△が増えるのとか、◇が減るのとかが抑えられると、もっとよい」って感じ?? というわけで、冬休みに高額の化粧品を入手してしまった言い訳をする私です…。

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