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2010年6月

2010年6月29日 (火)

山本佳世子、「ネイチャー」に載る!!!

嘘じゃないんですよ!! 最新号のネイチャー・日本版(24 June2010)で、私がフルネーム・肩書付きで出ているのです。 といっても、もちろん華々しい研究の成果の紹介で、というわけではありません。p1026の次に入っている広告企画「産学官連携のための人材育成」の中での登場です。全部で6人ほどのコメントが出ているのですが、私が一番最初で、本文に入ってすぐに出ているんだよ~。(後日、ウエブアドレスを教えてもらったのでここに張り付けます。http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/ad-focus/detail/100624/1

取材・執筆のサイエンスライター、小島あゆみさんとのやりとりで感心したのは、「やはり雑誌のライターは、かなり勉強してから取材に行くのだな」ということでした。私が最初の取材相手だったにもかかわらず、国の施策とか、公になっている情報はかなり調べた上での取材でしたから。彼女の得意分野はライフサイエンスや医療で、産学官連携は今回、初めてだったというのもあるのだろうけれど。雑誌は企画のおもしろさが重要なので、場合によっては取材相手の著書を数冊、読んでいくこともあるって聞いていますし。これに対して新聞は、新規の話を聞きに行くのが中心だから、あまり勉強していないんですよ~。余裕のある一般紙さんと違って、産業紙・専門紙の記者はそれなりの執筆量が必要なこともあり、「勉強する? 面倒くさい。取材先に教えてもらうから、いいよ」みたいな感じなのです。私も含めて…。

実は小島さんとは、2年前のスペインへの科学技術ジャーナリスト派遣で一緒になっていまして。今回この企画にあたって、「なんといっても最初に、山本さんに聞きに行こう!」と思ってくれたのだとか。それがうれしくて、産学官連携の全体像をお話しし、彼女の当初の構想ポイントでは記事が書きにくいとのサジェスチョンをし、さらに「取材に行くならこの人あたりがオススメ」と紹介もしてあげちゃいました。同業といっても本当のライバル紙とはまったく違う対応です~。もちろん、「山本からの紹介だって、先方にもお伝えしてネ。そうしたら、『ネイチャーに載ったのは、山本のおかげ』って、その後の取材にもいい影響があるだろうから」と付け加えることも忘れずに。

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2010年6月22日 (火)

対応を【抗議】したつもりが【ご説明】に

1年ほど前から狙っていたネタが、気づいたらホームページに掲載されていたという体験がありました。気づいたら、といったけれど、親しい大学副学長A先生と話していてそのことが発覚! そんなのあり?! なのに「書いてよ」って気楽に言ってくる。同席した広報さんまで「一番、詳しい△さんを取材で呼びますから」といっている。「先生、私は何度も、あの件は取材にはまだ早いですか、って聞いていたじゃないですか! 先に取材したいと思っていたのに、HPに載っちゃうなんてひどいです」と文句をいうも、どうやらよく分かっていない様子。その場はほかの先生方もいたので、その日はそれ以上、深く突っ込むことは止めておきました。

翌日、大学HPから探すも、「どこ??」。仕方がないから、HP内検索ですると出てきましたが、写真が3つくらいあって「○大学と△で協定を結びました」に毛が生えた程度しか載っていない。なんなんだ、これは。内容がないまま、HP掲載という半端な情報公開になっている…。

その後、A先生には改めて【抗議】というか、【ご説明】しました。「HPで掲載となると、公開情報となるので、記事を大きくすることができないのですよ。もしも親しくない相手の場合は、『先生、弊紙のみの取材・掲載にしていただけませんか(HPも当然、不可)。それならば大きく書けますから』って、念押しをしておきますよ。でも、(そんな疎遠の間柄ではないし、ましてや)一年前から気にしていたのなんて、私だけでしょう? 深く考えずにHPに載せられたのは心外です」って。こういう事情、もし企業の広報さんならよくわかっているので、私がしたことは【抗議】となります。ですが、教員としてはマスコミが得意な方のA先生にしても、このことはよく分かっていなかったようで、「仕方がないなあ」というわけで【ご説明】になったわけです。私だけでは不足と思って、弊社の先輩B氏からも重ねて、ご説明してもらいました。

その後、取材はもちろん別件と一緒に設定してもらいました。「HP掲載済みの案件を、単独で取材に行くほど暇ではないんですっ!」という抗議を、マイルドにぼかして言ったのですが、これもよく伝わらなかったような…。取材の結果、中身は面白かったんですよ。だから、「ちゃんと狙いを記した大きめ記事にしてしまおうかな~」とかなり迷いました。あんなどこにあるか分からないHPなんて、だれも見ていないに決まっているから。でも、今回は抗議しましたからねえ。「なーんだ、抗議していたくせに、結局大きく書いてくれるじゃん。じゃ、次のネタは一般紙に先に流してやれ」と思われたら、マズイ。「ちゃんと対応をしないと、山本はビシビシ言ってくる」と思わせておかないと。あ、でもこんなことも企業広報と違って、考えないかあ。なんかすることなすこと、【ご説明】になってしまう。話がかみ合わないとケンカにも抗議にもならないってことですね…。

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2010年6月17日 (木)

取材相手と年月をかけて【一緒に育つ】

かつて技術担当、今大学担当という私の経歴が「ぴったりだったな」と思う2件の大学の先生の取材がありました。かつては准教授で研究成果を取材させてもらっていたのに、今は研究科長になっていて、研究科の新しい動きをたくさん聞かせてもらい、一面記事などになったのです。「記者は名刺一枚でどこへでもいける」といい、初対面の研究科長に取材に行くことももちろん多いのですが、それでも昔から行き来があった先生に久しぶりにお会いして、しかもネタをたくさんもらって…となると、うれしいものです。それに「昔を知っている」ってなんとなく特別感がただようでしょ?

この件でもっとも展開が華々しかったのは、光触媒の件です。駆け出し記者のころ、最初に東大で光触媒の汚れ・雑菌分解の効果について、報道できたのは私って、前にも自慢しちゃいましたっけ? その後、どやどやと企業が光触媒活用で参入して、後半は他マスコミと入り交じっての取材合戦にはなりましたが、それでも一面トップも含め、ずいぶん書かせてもらいました。神奈川科学技術アカデミー理事長の時には少し疎遠になりましたが、この四月に東京理科大学の学長として本格稼働されたので、またあれこれお世話になることになりそうです。理科大が先日、開いた、幹部をそろえたマスコミ向けお披露目会では、先生が講演の最中に「このことを、記者さんたちもご存じかどうか…。山本さん、どうですか? え、山本さんも知らないのですか」とのお声がけ。恥ずかしいのと、うれしいのと、やはり半々ですねえ~。

最初の光触媒取材時に同席した、橋本和仁現東大工学系研究科教授も、当時は講師で東大に来たばかりでした。その後、東大の中でも先進的な先端科学技術研究センターの所長をされたので、「イノベーション25」とひっかけた斬新な切り口のインタビューができました(これは昔のブログに書いています)。それから、産学連携の実務も社会科学研究も手がける渡部俊也現東大教授に出会ったのも、やはり光触媒がきっっかけでした。TOTOの研究所長を、これまた若くして務めていたからです。

大学幹部になることを好まない教員の先生であっても、若手や中堅時代に知りあって、一緒に育っていく(笑)のは得るものが大です。今は著名の研究者でも「最初に取り上げてくれたのは日刊さんだったから」って、ずうっとファンでいてくれるのですから。

記者は質量とも優れたネタを集めるのが仕事だから、大御所の取材が中心になりがちだけど、それだけではいけません。大御所はシニアだから、そのコネはまもなくついえてしまう可能性も大きい(笑)。このことは若い記者にも伝えたいところですね。取材先も自分も、何年もかけて幅を広げ、一緒に育ち、その時々に、コミュニケーションできる関係が理想なのではないでしょうか。

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2010年6月 9日 (水)

菅直人首相と東京工業大学

菅直人新首相と出身校、東京工業大学についての記事を、5(土)3面「菅新首相 環境意識、東工大時代に原点」と、8(火)科学技術・大学面「菅首相にエール 母校・東工大 喜びに沸く モノづくり精神 国づくりに生かして!」を書きました。菅さんが党代表に立候補して、強力な対抗馬がいないと分かって、「これは東工大の広報も大々的に動くのでは」と思ったんですよ、最初は。ところが、わりあいと静かで。その理由の一つが、土曜日に予定されていた東工大で開かれた博士学生のシンポだったようです。鳩山前首相が30分も講演するという計画が、たまたまぶつかった(数日前までは、現役首相の講演の予定だった)ため、気を使ったようです。とはいえ、「130年の歴史で、初めての首相でしょ? 政治に関心の薄い理工系単科大学なんだから、やっぱり、画期的!」という思いは、卒業生の一人としても持ったので、あれこれ動いてみました。

ラッキーだったのは一人、東工大の団塊世代の知人に、菅首相と学生時代から親しかった(学生運動の隣のグループだった)人がいたことです。菅首相の後援会は東工大OBで立ち上げたのだとか。OB会の蔵前工業会会長だった、不二越の大和田国男元社長が、旗を振ったのだそうです。日刊工業は機械業界が強いので、不二越というのはちょどいいですよね。機械メーカーの読者の皆さん、気づいてくれましたか? そこで、「菅直人君を総理にする会」とうたっていた、という話も、「へえ~」って思いました。あと、麻雀点数計算機の発明は一般紙も皆、書いているけど、「麻雀が好きで強かった」というポイントはあまり出ていない気がします。

火付の記事で私が気に入っているのは、東工大での恩師のコメントです。学生運動のどさくさで卒業していく学生がほとんどだったのに、本人が研究もちゃんとしようと留年を選んだこと、学会発表までやっていったことは意外で。「学生運動でも研究生活でも、自分の考えを確かめながら、現実的でよりよい役割を果たそうとするタイプだった」というコメントは、東工大の学生たちに伝えたいところですねえ。学生はうちの新聞をあまり読んでないから、もったいない。皆さん、どこかでこれを再活用して、理工系学生を励ますべく、教えてあげてくださいね~!

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2010年6月 3日 (木)

大学教育の行政事業レビュー

【府省版事業仕分け】の文科省・行政事業レビュー第1弾に本日、午前中に出席し、明日6月4日付の大学面で記事を書きました。70行の分量で写真入り。大学教育改革関係だけで、この分量での即日記事という情報発信は、ほかにないでしょう? 2時間強のネット中継を見るほど、時間に余裕がなかった方は、ぜひ私の記事をどうぞ!

そこでも書いたのですが、各事業は、「新しい教育の手法に取り組む大学を選定し、5年かけて確立してもらう。その後はその大学独自資金で自立してもらうと同時に、他大学への普及を図る」という設計です。それに対して、評価者は「修士2学年の学生が対象で、もう3年実施してきたんでしょ。だったら、採択大学の取り組みが他大学に普及して、他大学の学生の参加がどれだけ向上したか、数値を示してほしい」って注文をするという具合なのです。これはギャップが大きいですう~。

もう一つ、「それじゃあ大学関係者が全員、泣きますよ!」と驚いたのは、「新しい教育手法の取り組みは、大学の本来の役割。通常の経費で行うべき。よって、このような事業は必要ない」という発言がいくつかあったことです。そんなこといったって、基盤的資金である運営費交付金はガンガン減らされて、「競争的資金で配分するので、皆、知恵をこらしてくださいよ」と、法人化のころからやってきたのではないですか! もし、そのように主張したら(私が? って訳にはいかないけれど)…、評価者は「それはそうかもしれませんが」「でも、ここは、この事業についての、予算措置の適性さを評価するのが目的ですから」っていうのだろうなあ~。

とり急ぎのブログ執筆、今日はここまで。というのは、明日、菅直人氏が首相と決定する可能性が高いため、東工大関係のコメント思案などで、ばたばたなのです。今週はまだブログをアップしていなかったから、「明日、菅直人氏の決定のあとに、行政事業レビューのブログを書いても、ねえ」と思って、急いで書いたという背景があるのです。【東工大関係者の盛り上がりは如何に】、これが来週のブログテーマかな。そう思いつつ、本日のブログを閉じることにします。

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