寸劇 「編集委員Bのプロデュース」
登場人物: 山本、某クラブ中堅記者A、同じクラブの編集委員B
シーン1: 文部科学記者クラブ 山本「あらAさん、珍しいわね」 A「山本さんに相談が。大学ネタなんですけれど。~地域で~の研究開発が盛り上がっていて、僕も大分取材して書いてきたんですが、今度C大学が~をするっていって。背景には~とかあるんです」 山本「おもしろいわね。でも、あなたそれだけ知っているなら、私のこと気にしないで、書いて構わないわよ」 A「いや、でも大学面に向く話だし」 山本「そおお。じゃあ、一緒に取材行きましょうか。
シーン2:C大学応接室 山本、先にC大学にネタの取材を一通り終える。そこでA「僕、大学関係の取材は珍しいので、せっかくなのでいくつか聞いていいですか」。質問がたくさんあり、山本は眠気を感じる。携帯電話の着信に気づいたふりをして、お手洗いに入り、軽く体操をして戻る。山本「まだ質問している~。Aさんてば、記事も鬼のようにたくさん書いているのに、分野外のことにもこんなに熱心だ」と感心する。
シーン3:2つのクラブ近くのレストラン 山本「たまにはこんなおしゃれなレストランで、ゆっくりランチもいいですね。いつもは文科省の地下の食堂ですから」 実は山本は、この日は実家もリッチなBがおごってくれるのではないかと密かに期待をしている。 B「いやAがさ、山本さんって先生みたいでちょっと恐い、っていうからさ。いわれてみると先生みたいな面もあるかなと思ったけど、でも恐いってタイプじゃないだろう、じゃあ一度、食事でも一緒に行こう、って声かけたんだよ」 A「山本さんとは一度、取材先で一緒だったくらいですからね。Bさんの仲介のおかげです。Bさんが今春、クラブに来てくれて、仕事の仕方がすごく変わりましたよ。Bさんは『つまんない発表ものは俺がやるから、おまえはオリジナルでがんがんスクープを飛ばせって』」 山本「そうなんだ~、Bさんて親分肌なのねえ。そのエースのAさんを連れてC大学まで出向いて、記事は私が書いてしまって、すみません」 B「いやあ、その替わりという訳ではないけれど、今度さ、Bの△を手伝ってくれない?」とプライベートな話が持ち出される。 山本「ああ、△ね。いいですよ、それくらい。…ねえBさんってば上手ですね。Aさんにどんどん仕事させて、こういうところでお返しをするのね…。了解、手配しておきます」。
山本はこの時、この日の支払いはBが持ってくれることを確信する。山本はAのネタ提供というメリットを得た。一方、Aは山本の△の手伝いでメリットを得る予定である。Aはまじめで恥ずかしがり屋なので、これは山本とAの間だけでは成立しなかった。成立のポイントは、Bのプロデュースである。つまりBのおごりで山本はメリットを得た。そのためBの願いを聞いて、Aを手伝うことにした(おごってくれなかったら、拒否するつもりだった…のではないが)。では、Bはどんなメリットを得たのか? Bは、Aが気持ちよく、鬼のように仕事をしてくれることで、日々のメリットを得るのである。山本は、Bはスバラシイ先輩だと感心するのだった…。 (幕)
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