モノづくり連携大賞 その後を追う
20日大学面に、モノづくり連携大賞の受賞グループの追跡調査を載せました。06年度スタートで昨年度までの4年分、40受賞グループのアンケート回答からまとめました。通常の表彰事業は過去の実績に対するものだけど、この賞は産学連携の仕組みに工夫があって、要素技術がちゃんとして入れがよいとしています。【道半ば】で受賞となるケースも少なくないので、「その後どうなったかを調べなくてはネ」と当初からいっていたのです。
これからを期待しての面が多分にある賞なので、「その後、うまくいかなくなった」も当然出てきますし、それでよいとしています。うまくいかない事例もまた、読者にとって重要な情報となるでしょう。だからアンケートの結果も自由筆記の中から、どんどん発展している回答と同時に、苦労しているところも記事にしました。本当は後ろ向きの話なんて出したくないところなのに、きちんと答えてくれた関係者に感謝です。ま、アンケート実施主体が賞をくれた機関なのだから、答えざるを得ないでしょうけれど(そのわりに、未回答2件があったのは…、恩知らず??)。
もっとも気になったのは、受賞理由で注目された仕組み自体が、実はその後にだめになった九州大学グループの金属微粒細化プロセスのケース(08年度特別賞)です。三菱UFJ信託銀行がこの技術開発に注目し、日本で初めての知的財産信託による特許ライセンスを手がけましたのですが、三菱UFJ信託銀行がその後、知財信託事業の全面撤退を選択したと知りました。受賞の半年後くらいかなあ、知財信託全体の話を聞きに、私も同行にいったことがあります(銀行取材はこれまでこれ一件かも)。たしか法改正で信託銀行ならこの事業が可能となって、同行がトップバッタ-というか同行のみが始めて(ほかは様子見)、数大学で実施していたはず。そうかあ、だめだったんだ~。新しいことはリスクが伴うのは仕方ありませんね。ほかにもいくつか、「産学連携の仕組み」自体が難しくなったのとか、仕組みは生きているけどプロジェクトとしての別問題が持ち上がったのとか、記事に載せました。
実はこの調査、この記事だけで終わらせるつもりはありません。ちゃんと個別取材して連載をと思案しているのです。数年を隔てて、同じグループに取材して記事にするなんて、専門記者ならでは、でしょう?
そう、受賞グループの中には「あれ、うちの活動はその後、けっこう発展しているのに、どうして今回の記事に取り上げてくれなかったわけ?」と思った人もいるでしょう。大丈夫です、その案件はたぶん、【取り置き】です。よりおいしく料理して読者に提供しようと、置いておいているもだと思います。というわけで、対象グループの方々は拗ねないで、近く始まる取材お願いを、快く受けて下さいね!
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