「取材できません」の回答だけでは…
取材調整をお願いしたメールの返事がたった一言、「この件は取材できません」で入っていることが、たまにあります。大学の広報さんで2,3回ありました。断りにくいから簡単にすませたいのかもしれませんが、新聞記者は納得しないと引き下がらないものです。「なぜ無理なのか」を必ず聞きます。そして「いつなら(少し待てば)可能なのか、そこまで待ってもいい」とか「問題部分は伏せて書くのでどうか」など提案します。きちんと説明してもらうのがベストですが、具体的には明かせない場合でも、こちらの提案を聞いたうえで、なんとかすべく考えてほしいと思います。広報さんは学内外板挟みになりやすく、大変だとは思いますが、win-winの関係を築くには対話をぜひ、お願いしたいのです。
この夏のとある案件。親しい広報担当幹部に「○の件、耳に挟みました。取材のご調整を」と頼んだ件がそうでした。メールが冷たいのにむっとして、即電話。私は「この案件は、大勢の機関が絡んでいるのでまもなく、他紙も取材に動く可能性がある。その時に、先につかんでいた私が抜かれっぱなしの状況では悔しい。すぐ記事にできなくても、話を聞かせておいてもらって、例えば『どうしても発表にしたい』というのなら、その後で詳細な解説記事を書くのに使うとかで対応するので、とりあえず話を聞かせてほしい」といいました。そうしたら、「じゃあ、Aさんなら取材が可能かもしれない。(通常の広報の窓口から)申し込みしてみて」といわれました。
そんなわけでAさんの取材時もどきどきしていて、「書かないでといわれたら、こうこうだといって、何とか粘らないと」と思案していました。ところが、意外にも取材はスムーズ。Aさんはリストまで用意してくれていて、ちょっと複雑な案件だったのに、ばっちり理解できるところまで説明してくれました。終了後、副学長に「何の問題もありませんでしたよ」というと「そう? それはよかった」。なんだったんだろうね、当初の【取材拒否】は。まあ細かな事情まで突っつく必要はないのでそれでOK、記事化後もクレームはとくにありませんでした。
一方でこじれた案件もあります。文科省の採択発表があり、省内取材でその詳細資料をもらい、取材申し込みしたのに、「詳細が文科省HPで掲載される前には、取材を受けられない」とのBさんの返事でした。なんで? 「他紙に先に書かれることがないなら、HPと同時掲載でもいいので、先に取材させてください」と提案してもだめ。Bさんはまだ社会人になって数年、広報になって半年程度だから、対応がわかんないのかなあ。しょうがないので、この案件を受けている産学連携部局の担当幹部に電話してみると、別に具合悪いことはなさそうで。ところが直後にBさんから電話で、「勝手なことをしないでください」みたいなことをいうので頭に来ちゃいました。アタシはこの担当者にこれまでに4回くらい取材しているので、通常なら直接、取材申し込みするところ。それをBさんの顔をたてて広報に取材申し込みしたのに~。
それで「だめだとか、事情が変わったとかは、ちゃんと背景を説明してほしいんですよね。前回いわなかったけれど、Bさんの手配でいった取材、C先生がこなくてD社長だけで取材したでしょう? 広報としてBさんが同席しているのだから、その場でC先生にどうしたのか問い合わせすべきだし、それが無理なら後で『実は予定を忘れていたそうです』とか伝えてほしかったですよ。今回の件もそちらの事情があるかもしれませんが、納得できる理由や説明を伝えてくれるとうれしいのです」といいました。
それでその案件、どうしたかって? 書きましたよ。だって文科省で取材して、手元に資料があるんだもん。2本合わせての記事で、少し控えめな方に入れてあげましたが、書かないですごすわけにはいきませんでした。でもね、これがもっときつい記者だったら、「こんなくだらない案件、成功するはずないだろう」みたいなイジワルな書き方をしたと思いますよ。私はその後、普通の態度で□さんにリリース問い合わせをしたりしていますけど。マスコミと広報は対立しようと思えばいくらでも対立するけれど、win-winでないとね。精神的にも嫌だし、時間だってもったいない。というわけで広報さんには、「取材はちょっと困る」時にも、少し余裕をもって上手な対応を、よろしくお願いいたします。
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