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2010年11月24日 (水)

大学ランキングが仕分けでも闊歩する

「数字の一人歩き」とか「たかが~、されど~」という言葉は、現場と現場以外(一般社会)のギャップを考えるときよく出てくる言葉です。今回、大学ランキングと行政刷新会議の仕分けの二つの取材で、改めて考えさせられました。

まず11.9付の「世界の大学ランク大きく変動 評価基準変更で物議 提携先の分析機関変わる 異なる重点項目・論文引用DB」です。大学ランキングの中でもっとも浸透している英国タイムズの9月発表結果は、提携する調査機関を昨年と変え、その調査機関の基準が変わったことで、だいぶ上下しましたよ、京大や東工大や阪大が大きく順位を落としてみえるのはそのせいですよ、という内容です。

評価ってそもそも、「ある機関が決めたある見方での評価」で、絶対的なものではないですよね。大学評価よりもっと前に、企業では社員が業務評価をされるようになり、実感した人が多いと思います。大学や研究者の評価だって、本質的には同じです。ただ、論文の被引用度とかって、客観的・科学的に見えてしまうのが問題ですよね~。この記事で私が伝えようとしたのは、「今回タイムズが提携先として、調査機関を米国のトムソン・ロイターに切り替えたら、トムソンが運営する商用データベースでの論文被引用度がうんと重視された採点になっちゃいましたよ」「しょせん営利企業をはじめ一機関が独自にやっているものだから、ゆがみはあるもの分かったうえで、ランキングは参考にする程度にしましょう」ということでした。「たかが~、されど~」をひっくり返して、「順位をあれこれいわれるけど、たかが1企業が勝手に選んだ項目でみたランキングでしょ。数値が一人歩きしないよう気をつけましょう」という公正な知識を、読者にも持ってもらいたいと思ったのでした。

ところが。やっぱり強い、タイムズのランキング。ブランドが確立されてしまった強さですね。11.19付の記事「グローバルCOE 1割以上の縮減に 仕分け側と文科省平行線」を書きましたが、現場で仕分け人側が持ち出していました。「グローバルCOEで国際的に卓越した拠点形成といっているが、140拠点もあるのはおかしくないか。だいたい、タイムズのランキングでは、この間の順位がちっとも上がっていないではないか」と。これは去年とそれ以前の順位の比較だったかもしれないけれど、完全に一人歩き。仕分けの評価にも「たかが~、されど~」をひっくり返して、「あんな一方的な発言を勝手にして、集中的に資料を読んだりヒアリングしたって、たかがここ数カ月のことでしょ」と大学関係者はぼやいていることでしょう。

それにしても、言葉は言霊といいますが、気の持ちようを変えてくれるツールでもありますね。「たかが~、されど~」というと、相手が嫌いなのに、うわさやお金に屈服してしまうみたいな悲哀が漂ってしまう。でも、今回やってみたように、逆にすると少し元気が出てきませんか? 「そりゃあ、うわさやお金に振り回されそうになることもあるけど、たかが外野のうわさと、もらえたらラッキーというお金。自分は自分がするべきことを、きちんとやっていこう」って。やせ我慢? いえいえ、それもきっといつかは、本当の力になるに違いありません。

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