先端融合イノベーションと、ブラックホール
1月7日付記事で「先端融合領域イノベーション事業 産業特性生かし成果着々」を掲載しました。事業期間10年、1件当たりの国の支援が年約7億円、企業も同等の支援という、開始の2006年度にはまだ珍しかった大型プロジェクトです。その後、「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」など規模の大きなものは増えましたが、産学連携の観点で一件当たりをみると、これが圧倒的でしょう。しかも私は、開始前年度の初夏に、この事業がスタートすることを一面トップで書いたこともあって、ずっと注目してきたのです。今回、親しい取材先の一人に「なぜ今(取材するの)、って気もしますが」といわれたのですが、答えは「国の予算をたくさん使っている事業は、採択時だけでなくその後のチェックをマスコミがすることも必要だと思うのですよ」というものです。社会部ネタだと「その後」もけっこう取材されているけれど、科学技術関係は手薄でしょう? 政府の仕分けはその意味でも斬新だったと思いますから。
ラッキーだったのは、京大・キヤノンの生体イメージングです。たまたま、キヤノンが京大にこの案件関連で寄付する記者会見が東京であり、その直後に取材をお願いできたので、10人近い関係者が顔をそろえてくれたのです。堅い京大と奔放なイメージのあるキヤノンですからね。医学部教授の「なんと無礼な、こんな野人たちと組むのかと思った」というスタート当初の感想コメント(記事に書きました)は効いているでしょう? それが今や…という事例で取り上げました。
実はこの記事は、「手間がかかる割にニュースはあまり得られないだろうな」と思いつつ取り組んだのです。技術ではなく、産学連携の仕組みとしての効果に着目したもので、3年目の再審査(成果を出すのに皆、必死のころ)とずれた時期の取材だったからです。東大と富士通研究所など5社との量子情報エレクトロニクスなんて、技術内容にはまったくついて行けないことが分かっていたので、最初から産学連携の企業スピンアウトベンチャーに焦点を絞って取材したくらい。でも、やってよかった。「私しかこういう追い方をする記者はいない。一度、記事にしなくては」と気になっていたのですから。大学面が1月から金曜のみになり、少し取材・執筆に余裕がでてくる(はず)ので、こういうエネルギーをかけた記事も時々、手がけたいと思います。
それから別件です。大事ななくしものがありました。オレンジ色の派手なケースに入ったメガネです。もっとも考えられるのは洗面所あたりで落としたという状況なのですが、見つからない。この1週間、「コンタクトレンズは仕事の時間を優先し、自宅では裸眼も」としたのですが、なにしろ視力は0.04です。文字など読めるのは、目から30センチメートル先まで。机に顔を付けるようにして版画の原版を掘っていた【棟方志功】状態でした。それに、好きで5パックも購入した食料品も行方不明。店から受け取ったことは覚えているのに。というわけで、我が家にブラックホールがあり、そこに吸い込まれたのではと思うような紛失物続きなのです。
ひとつ気になるのは、前回のブログで「自宅でモノなんかなくしても、平気だもーん」と大きな口をたたいたことです。ここで謝ります。「モノの皆様、私は大変、失礼なことを言いました。どうぞ許して下さい。皆、人々の生活を支える大切な役割を果たしてくれています。モノづくり新聞を掲げる会社の記者でありながら、思慮不足で申し訳ありませんでした」。これで大丈夫だとよいのですが。明日、メガネが出てきたりして。昨日、新しいのを作ったばかりなのですが…。
えっ、今回のブログ、前半と後半で関係あるのか、って? 関係ないですよ。ブログタイトルをよーく見て下さい。「先端融合イノベーション」と「ブラックホール」の間にはじ点( 、のこと)が入っているでしょ。別物の2つのテーマを書きます、と最初から宣言しているんですから。気づかなかったあなた、もっと思慮深くならないと、オイシイ話も逃しちゃいますよお~。
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