家庭教師の頃を思い出す
午後一に都心の予定がある中で、どうしても数日に郊外の大学で取材する必要があり、午前中のアポを入れたケースがありました。「午後△時に○で次の取材があるから、うーんお昼ご飯が食べられるか微妙だなあ」というケースです。取材相手の学部長も午後が控えているということでしたが、「最新のAについてだけでなく、Aはとても画期的な試みですから、これにからんだ大学院教育全体のお話もお願いします」と伝えていました。そうしたら学部長は、ほかに2教授も同席させてくれて、おかげさまでばっちり取材することができました。
取材の後半、なんとなくおいしそうな香りがただよってきました。取材するソファの後でがたがたと音がする。これは職員さんが…お弁当を用意しているのでは? 音がするということは、コンビニ弁当ではない箱形の、ちょっとリッチなお弁当では? いやいや、これは次の昼食を兼ねた、別の先生たちの会議用かもしれない。ぬか喜びに注意せねば。「先生(学部長)、ではAの××の今後についてお願いできますか」「じゃあ、この後は食事をしながらにいたしましょう」。「お、これはラッキー」って、口にしたのは私ではありません、同席の別の教授でした。同じ思いですねえ。それで、お弁当をいただきつつ、社説に使える情報をばっちりいただいて、慌ただしく部屋を後にしたのでした。
うれしいですね、こういう形は。用意された食べ物のことではないですよ、「時間がない中、我々のチャレンジングなAに興味を持って、取材に来てくれるのだから」と、動いてくれた学部長の気遣いがうれしいのですよ。
学生のころ、いくつか経験した家庭教師のアルバイトを思い出しました。「勉強なんか大嫌いだ!」と暴れる小学生を相手にしたときは大変でしたが、自分の出身高校の賢い女子生徒を見たときはラクチンでした。家庭教師をつける家は余裕がある(当時、時給1万円をもらっているという同級生がいて、皆で色めき立った覚えがあります)からでしょう、休憩時間にくるおやつが素敵で、楽しみでなりませんでした。今日は大きなショートケーキ! 先週はなんとかという有名ブランド和菓子。それで来週は何だろう~、って。…こんなことを思い出すってことはやはり、「うれしかったのは学部長の気遣い」だけではないようですね…。
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