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2012年4月

2012年4月26日 (木)

桜満開のハイソな講演会に出席

4月20日付科学技術面に「緊急時の国の判断とは 社会・専門性の両立 ペディントン英主席科学顧問『安心感、分かりやすく』 科学的根拠に基づく政策 詳細データは不要」の読み物記事を書きました。震災直後、各国政府は在日の自国民に避難呼びかけをすべきか判断が割れていました。氏の科学的根拠(エビデンス)に基づく判断で「英国民の退去は不要」としたことで一躍、有名になりました。「日本にも、こんな立場の科学者の首相アドバイザーが必要だ」との議論も、科学技術振興機構(JST)などで進められています。その氏の来日に合わせて開かれた、講演会の内容を記事にしました。

この講演会、駐日英国大使館、日本化学会、英国王立化学会の共催で、桜満開の英国大使館大使公邸で開かれました。厳選100人、招待状(メール)を受け取った人から先着順で英語ウエブ申込みをしないと入れないと様子を聞いていたので、即対応しました。当日の参加者は、科学技術関係の機関の理事長やら著名教授やら、大御所がずらり。普段なら「挨拶に呼ばれたけど後は聞かないで帰ってしまう」レベルの人たちが、最後まで(懇親会まで)ずっと出席して、質問したりするのですから、いかに重要な講演会だったのか分かるというものです。

内容はさすがに興味深いものでした。これは紙面で書いたものですが、「日本でも科学者らが判断しようとデータを求めたが、入手できず動けなかった」とJST社会技術研究開発センターの有本建男センター長がいうのに対し、ペディントン氏は「緊急時には詳細なデータは不要。公開されているシンプルな情報で、きちんとした試算をし、合理的に判断することだ」と返答して、目からウロコでした。

東京理科大の技術経営(MOT)の伊丹敬之教授の話もユニークでしたね。「グリーンイノベーションを率いる化学産業がこれから主役だ」という主張。10数年前には「なぜ世界に立ち遅れたのか 日本の化学産業」というヒット本を書いて、化学業界関係者を泣かせたor怒らせた(本人もいっていた)人とは思えません~(笑)。当時私は、化学業界の担当記者になったばかりだったので、とても有益な本でしたよ。その後、伊丹先生の息子さんは二人とも化学分野に進んでお仕事をしているというのですから、これもまた自身がおっしゃっていたように「罪滅ぼし」で、おかしかったです。

あらかじめ「この講演会はすごいものになりそうだな」と見えていたので、私も張り切っちゃいました。服装そのほか、「現在、考え得る限りの最高のオシャレお仕事スタイル」で参りました。ジャケットの色はいわゆる桜色。若い人が活用する色なので悩ましくて、着る時を選ぶようにしています。でも実はこの色、子どもの頃のコンプレックスが絡んだ色なのです。…「桜でんぶ」という、白身魚のほぐしたのものを桃色に着色し、甘く味付けたふりかけがありまして。幼稚園生のころ、大好きだったのに、母が「こんな着色料がたっぷり入った食品は、いけません!」ってほとんど食べさせてくれなかったから…。今、その反動? ということで、かわいすぎる服装もたまにはお許しくださいませ。

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2012年4月15日 (日)

新連載「大学活用法 企業の産学連携戦略」

企業が大学・公的研究機関をどう活用しているか、その手法や成果を採り上げる新連載「大学活用法 企業の産学連携戦略」を4/6付から始めました! 初回はアステラス製薬で、文科省の先端融合イノベーション事業による京都大学との「AK(アステラスと京大)プロジェクト」では、同社がこれまで年3億円を投じてきて(文科省と同額のマッチングファンドの仕組み)、標的分子が見つかる効率は10倍になったという話を紹介しました。今年度からは年7億円にアップしていますからね~、成果が高くて当然ではありますが、でもやっぱり耳目を引きますよね。
 
 2回目の13日付の日産自動車は打って変わって、完全に人材育成にフォーカスしている事例として採り上げました。早稲田大学とは日仏の博士学生を、相手国への留学と両国でインターンシップを体験させるプログラム(1年もので一人300万円かかる)で、年3人ずつの実施を予定、とこれも太っ腹ですよねえ。なぜ、大半は自社に入社しない学生(各種プログラムがあり、早大生の延べ1000人超の教育にかかわってきた)の教育に力を注ぐかというと…。その理由はぜひ、紙面をご覧ください。3回目は総合電機、4回目は素材とバラエティ豊かに進めていく予定です。
 
 この企画、「ずうっと暖めていた」というと聞こえがいいけれど、実は「手がけなくてはいけないとずうっと気になっていたけれど、なかなか着手できずにいた」いうものでした。「産学官」連携といっても私の取材先は大半が「学」で、時に「官」が入る程度で、産はなかなか足が向かなくて…。かつては化学や食品の業界担当記者をやっていたけれど、担当ではない分野で、それも公的機関でなくて一流の会社へ出向くというのは、なかなか勇気がいるものなのですよ。たぶん、多くの記者がそうだと思います。相手とちゃんと会話のバランスが取れるだろうか? 広報に「何も知らないんだ」とばかにされないだろうか? たいした手持ちの情報がない中で、読者の興味を引く情報を引き出せるだろうか? って、それはそれは大変なのです…。

 とくに連載開始当初は、それなりの内容でないと、読み続けてもらえません。今回はどうしたかというと、それまでの大学取材で同席してもらった会社や、シンポジウム出席で産学官連携の熱心さをキャッチしていた企業からセレクトして動き始めました。これならなんとか、「御社のこと、まったく知らないんですう~」と身をくねらせる(笑)ことなく、やりとりができるだろうと思ったからです。でもって、走りながら、次の情報をあちこちの取材先から仕入れていく魂胆です。それから会社名も、当初はだれもが納得の超大手を選んでいます。でも、必ずしも業界トップではなかったりもして、それは「トップにばかり尻尾を振るのはちょっとネ」と、記者として気張るというのが理由です。そして、そのうち中堅どころにもアタックしてまいります。そちらの方が「へえっ、意外だね」という話が出てきそうでしょう? といううわけで皆様、「新連載、△社がおもしろいヨ。具体的にはね…」とお声をかけてくださいね!

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2012年4月 1日 (日)

学会懇親会でネットワークを拡大する

「新年度が始まりました」というか、「旧年度が無事、終了しました」というのが私の真の感想です。3月中下旬はほとんど毎日、予定が3件。送別会を含めて5件という日もあったほどです。実は年度末の追い込み状態に加えて、学会の春の年会(メーンの研究発表会)シーズンなので、これまで(技術担当時代など)にかかわりがあった学会や、各種懇親会に参加することにしたのが、忙しさの要因でした。

とある学会で、学会自身の活動のネタを、まとめ役のA先生に取材することになったのですが、取材予定の前日に懇親会があって、先にA先生と名刺交換、です。いったん別の先生との交流を挟んで、A先生は終了間際にわざわざ、別の大学のB先生のところへ連れて行ってくれまして。B先生と名刺交換をして即、「あ、こちらのプロジェクト機関、取材したいしたいと思っていたのですよ!」と声を挙げてしまいました。文科省の中間評価も高く、ユニークな取り組みをしているので気になっていたのですが、まったく知った人のいない遠隔地の機関に取材というのはなかなかしづらくて。でも、ツテがひとつ、できてしまえば大丈夫です。A先生、ありがとうございます~。

話はこれだけではありません。A先生のキーパーソンぶりを翌日、再認識することになったのです。A先生の取材は、「30分だけ」と聞いていたので手際よく片づけて…、と考えていたのですが、なんと予定されていたもの以外に、ネタを2本もいただいてしまったのです。「先生、お時間は…」「うん? いいよ、そっちは(発表を聞くのを諦めた)」って…。助かります~。さっそく、A先生が教えてくれたメールアドレスで関係者にアポを取り、それぞれ取材。産学連携ものと大学もの、いずれも「新年度から」という話だったので、さっと記事掲載となってハッピーです。A先生、これからも強力なキーパーソンとして、どうぞよろしくお願いします!

仕事の担当は長くなるとどうしても、マンネリになってしまいますよね。私の場合、産学連携担当者の集まる席では、よく知った取材先との情報交換になってしまうのが実情です。それだけに、この3月の作戦は大成功でした。「そのお話、ぜひ聞かせてください」と何度、口にしたことか…。今までと違うフレッシュな取材先から、フレッシュな情報をお届けしますので、紙面を楽しみにしていてください。

ちなみに懇親会では、「あの人、会ったことがある気がする…。どこの人だったかなあ」と思うこともしばしばです。そういうときは、さりげなーく、前を行き来して名札をチェック。「あっ、△大学の○先生だ!」と思い出して、声をかけるのです。「何年前だろうね、覚えているよ。採り上げてもらった記事、ちゃんと取ってあるから」と返してもらうのもまた、うれし、です。でもね、先の紹介してもらっていった機関で、取材後に「私、△さんに以前、お会いしていないでしょうか?」と聞いたところ、相手に首をひねられて。出身を聞くと、私の経歴とはつながりのない業界で、どうやら無関係のようでした…。でも、そんなやりとりもまた、「一回の取材、それでおしまい」ではない、継続的な関係を築いていくうえで、きっとプラスのはず。勇気を出して話しかけることにいたしましょう!

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