大学発ベンチャーの卵を支援する新事業
27日付に文部科学省の今年度スタート事業「大学発新産業創出拠点プロジェクト」について記事を掲載しました。ベンチャーキャピタル(VC)は通常、起業後のベンチャー(VB)の育成にノウハウが豊富で力を発揮するのだけど、この事業では大学発VBの起業前の計画段階からVCに加わってもらおうというものです。
これまでの国の大学発VB支援事業は、「VBの社長をだれにするかとか、特許調査をするとかは、大学の研究者の方でやって」というもので、起業前はほったらかし、それが大学発VBがうまくいかない一因だという反省があるからです。そこで、VCのビジネスは「起業したVBを育てて株式上場やM&Aに持って行き、そこで利益を得る」というものなのを、「もうちょっと前から手がけてくれない? 前段階の活動費(調査費や旅費)は国から出すから。でも、人件費には使えない点に気を付けてね。近年のさまざまな事業で問題になっているように、人件費狙いの応募とか出てきちゃうから。それでもって、ビジネスとしての利益は、【起業後に急成長して上場へ】という従来のVCの仕組みで引き出してね」という仕組みです。この説明で、どういう事業がわかります? みっちり書いた記事をご参考くださいね。
とりあえず、「おもしろい設計ですね」というのはいえるでしょう。VCに、VC本来の活動と違うところを、国のお金でしてもらって、でもビジネスの利益はVC本来の活動でよろしく、っていう形ですから。大学発VBは、米国シリコンバレー型は日本ではほとんど無理で、別の日本型が必要だということを私はずっと記事でも、博士研究でもいってきました。それを考えると、「日本ならではの形でユニークですね。公的資金を受けるVCなんて、米国人は『信じられな~い』というと思いますが」という感想です。
それにしても「わかりにくい設計ですね」。夏の概算要求時に書いた記事スクラップをあけてみましたが、今のようなイメージを少なくとも私はまったく持っていなかった。当時の段階で「分かった範囲で書いた」ので間違いはないのですが。その後、文科省内の委員会の幹部に話を聞いた時も、うーん、感激した覚えは、ないです。半分くらいしか理解できなかったのでしょう。でもって今回、省内担当者への取材で「これはユニークだけど複雑だな」と初めて理解し、翌日の文科省が大学(研究者)側に向けて開いた説明会で「なるほど! だいたいわかった!」と思い、しっかりとした記事を書こうという意欲がようやく生じた状況でした。
文科省の産学連携・地域支援課は「制度は複雑だけど、利用法はシンプル」といっているのですが、大丈夫かなあ。「わかりにくい」というのは一般に、慣れない人にとってはマイナスに効くものですから。とりあえず、事業名称の略称、どうします? 担当課に「いいのがあれば知らせてください」といったのですがそのままで、記事でも名称は見出しに使われなかったし。「ええとあれ、なんとかっていう大学発ベンチャーの変わった新事業」なんてちまたで会話するようだと、ちょっとネ~。事業名は変えられないけど、愛称ならまだ、これからなんとかなるかと思うのですが。
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