地味に見える学会のユニークな活動
5/4付に「3学会、会員満足度向上 ウェブセミナーや英文速報誌が人気 国際化・若手のニーズ対応」を掲載しました。GWなので長めの読み物記事です。「少子高齢化と団塊世代の引退で、多くの学会は会員数減に悩んでいる。その中で元気のいい学会はどんな工夫をしている?」という企画でした。
最初のきっかけは、二つの「日本社会情報学会」が統合して「社会情報学会」が誕生しました、というニュースが書けたことでした。同じ名前の学会が理工系と社会系で、90年代前半からずっと二つあった、なんていきさつがおかしくて。で、「たまには学会あれこれを集めてみようかな。記事としては地味かもしれないけど、何かしら話題もあるだろう」というくらいの気持ちで、3学会のまとめを考えました。
そうしたら、その後に訪問した2学会も、それなりにユニークな話題が見つかりまして。高分子学会は、ウエブセミナーを昨年、始めて。企業事業所へ配信するので一回に1000-1500人の受講というのを、年10回開催、とのことでした。ちょっと遠慮して、収入金額自体は聞かなかったけど、学会の事業収入としての魅力も大きいのだといっていました。応用物理学会は国際化思案で、人気の高い総説を英語化してウエブで無料で読めるようにしたそうです。小長井誠会長の太陽電池の総説は、数千件のダウンロードがあったのだとか。すごいですねえ。学会だと、研究成果を除いて「ネタが続々」とはいかないとしても、おもしろいものも隠れているのだなと感じました。
GWとか夏休みとかの読み物記事は、「休みだから柔らかいテーマを」といわれることが多く、ちょうどよいテーマになりました。写真だって柔らかいのが取り上げられました。高分子学会は、同学会の伝統を示す、70年前発刊の論文誌の1巻1号の写真。応用物理学会は、外国人受けがいいという、エサキダイオードの電流-電圧特性を、葛飾北斎の浮世絵の波と重ねた図、という具合です。取材前は「学会の年会シーンくらいしかないかな」と思っていたのですが、これなら紙面をひらいてぱっと目に入る写真で「なんだろう」と引き付けられる感じになりました。
でも、悩んだのはその古い「高分子化学」1巻1号。私が持参したコンパクトカメラではうまく撮れそうにないので、借りていって本社写真部に頼んだのですが、「替えのない貴重なものを借りる」って避けたいもの。「事務局でカメラがお好きな方に撮って頂いて、メールして頂ければ大丈夫です」っていうのに、「問題ありませんよ、お持ちください」とか「会長命令で、貸し出いOKとするよ(笑)」とかいわれて、嬉しいような悲しいような…。紛失したり汚したりしたら大変なので、翌日には学会に持参して返却としました。ああよかった、無事すんで。皆様、貴重なものは心やすく、こちらに貸し出さないでくださいましね~。
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