本の贈呈範囲に悩む
今回の出版では【自己負担による贈呈範囲をどのくらいに設定するか】という点が悩みの一つでした。内容が職業とは関係ない、たとえば趣味のものなら判断しやすいでしょう。でも私の初著書「研究費が増やせるメディア活用術」は、技術コミュニケーションがテーマなので、大学生以降の私の活動のかなりの部分がかかわっています。いったいどこまで感謝の贈呈本を自己負担で贈るべきか、線引きが本当にしづらいのです。もう少しいうと、「○冊贈呈と決まれば、その中で優先順位を付けることはできる」のですが、「○冊にする? △冊にする? 『自費出版でもいいかも』と思ったことがあるのを考えると、○冊も△冊もケチりすぎ?」と悩むというわけです。
贈呈の費用を別にしてもう一つ、「読まない相手に本を押しつけたくない」という思いが強く働きます。どうもこの点は、ほかの人より過剰に感じているらしいです。仕事柄、初めて取材で訪問した先生に著書をいただいたり、どこかの会で一緒になって名刺交換をした出版社の人から新刊が送られてきたりする(弊社の書評欄での案内を希望している)ことがあります。でも、時間は有限、本棚も有限。興味のわかない本の場合、「もらっても困る」というのが正直なところです。周囲の人に「この本、読まない?」といってもよほど話題の本でもない限り受け取ってもらえないし、重たい本を職場から古書店に運び出すエネルギーも湧かない。心苦しく思いながら、冊子類処分のごみ置き場に置くことになってしまう…。だから可能な場合は、取材先で差し出された本もぱらぱらとめくらさせてもらって、「申し訳ありません、私はちょっと活用しきれませんので、さらに必要とされている方へさし上げてください」と置いて帰るよう心がけているのです。
やや学術的なビジネスパーソン向けの本を、広く書かれてきた年長の方が贈呈先をアドバイスしてくれました。
1)これまで指導をしてくださった方へ
2)「読んでもらいたい」と思う人へ
3)個人的なつながりで著書を送ってくれた人へ
なるほどと思う面もありますが、同時に「この基準では目安にならないな」という気持ちにもなりました。1)の指導について、どのくらいのかかわりを恩義・指導と感じるのかは人によってずいぶん、違うのではないかと思いました。2)は私の場合、極端にいうと「科学技術関係の人、すべてに読んでほしい」という、過剰な思い入れがありまして、判断がやはり難しい…。3)は、助言してくださった方の場合、この形で著作をやりとりする大事な交友相手が数十人いるというので、「文化人はそんな形で交流しているのか」と驚いたというのが感想です。
私としては初刷り部数の△部すべてが、「△人の私の子ども」みたいな気持ちで、一冊残らず「読んでよかった」と思ってくれる人の手に渡ってほしいと切実に思うのです。贈呈について、私とかかわってきてくれたすべての人にできなくて申し訳ありません。でも、本書で「価値ある情報とは、おもしろくて、役に立つもの」と述べたように、本書にはそんな情報がたくさん、詰まっていると自負しています。実際に1995円という対価にふさわしいかどうか、それは読者の判断に委ねるしかありません。ということでご購読される皆様、どうぞご講評をお願いします。あ、ウエブのアマゾンで購入された方はできましたら、アマゾンでのコメント欄へのご記入を、ぜひ。できましたらよい講評を、ぜひ。…やっぱりちょっと、調子よすぎるかな??
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コメント
なるほど、興味深いですね。
真剣に書いた本はやっぱり読まれてなんぼですよね。
投稿: よし@質問力 | 2012年8月17日 (金) 04時31分