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2012年10月

2012年10月28日 (日)

取材前のランチは

今夏は風邪が長かったので、「ランチも栄養あるものを」との意識が強く、取材前など時間がない中でのお店探しは大変です。某大規模大学の近辺で「うーん、ラーメンがおいしそう。たまにはいいか。おっとドアがあいて見えた感じではガテン系男性が多い。…私、一人でもこういうところが大丈夫なの、と平気で(自慢げに)入っていく時もあるけれど、今はちょっとやめておこうかな」。そしてその2件となりに見つけた女性好みのカフェごはん屋さん。入ると10人近く、すべて女性。栄養バランスがよくてかわいい食事はうれしかったけれど、量が少なめでちょっと割高な印象かな~。

それが、後ほど予想以上の問題に。量が少なめだから、もう5時ごろおなかが空いてきて。しまった、今日はざざざ、残業が…。仕方がないので、文科省の食堂の夜の部が始まってすぐ、5時半に夕食をとるはめになりました。まだだれもいなくて、私って特別な大食いみたいです…。忙しいときの外ランチは注意点がたくさんですね。これからはチェックリストを持参しようかしら…。

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2012年10月22日 (月)

駆け出し記者にこそ読んでほしい

ある地方紙学芸部の30歳くらいの記者とやりとりするチャンスがありました。書評で私の「研究費が増やせるメディア活用術」を掲載してもらった関係で、です。おつきあいのある取材先の先生が書評委員(評者)をやっていて、「発行から日があいてしまったから、掲載できるかな」といいながらすぐに動いてくれて、その学芸部記者も「急いで載せましょう」と対応してくれて。そして、その記者が送ってくれた掲載紙に添えてあった手紙(メールでもできたはずなのに、手紙というところがさすがです)が素敵な内容だったのです。「(この本の内容からは)コミュニケーションの取り方、考え方が、(自身の)記者としても学ばされることが多く…研究者のみならず、記者もまた必携の一冊だと思いました」「ご著書に励まされ、当方も(記者として)がんばりたいと思います」って。

「そう、そうでしょう?」というのが私の本音です。「科学技術に限らない、メディア人と取材先とのコミュニケーションについて書いているので、現場で試行錯誤している駆け出し記者には、「けっこうおもしろいし、役に立つのではないかなあ」という気持ちなのです。でも一方で、かなり気を付けてきたのですよ。業界内&社内で、「なに、浮かれちゃって。ただの記者の一人にすぎないのに。これくらい、自分でも書けるわ」って反感を買わないように、って。だから同業者にはPRを控えめにしているのです。

そんな中、「こういう対応が嬉しい」というケースを一つ。同業者の後輩相手のランチの席で、実際の会話を9割、再現です。

山本「…それでね、少し前に本を出したのよ」。後輩「本? へえ、知らなかった。どれどれ」と裏表紙やまえがきにざっと目を通す。後輩「PR会社の人が書いた本で似たようなのがあって僕、それも読むのも好きですよ。企業広報とかこんな風に自分たちを見ているのかって参考になるから。でも、こちらのメディアの立場から書いた本ってないですよね」といいつつ、目次のある部分を見て吹き出す。後輩「ここ、なんですか。『著名人の学長、怒りの会見』って読んでみたいなあ」。山本「メディア人の裏話って同僚のを聞いてもおもしろいよね。夜回りの話とか、自分がするのは負担が大きくて辛いけど、話を聞く分には、へええって興味深い」、後輩「うんうん。メディアの社内研修でこんな話をすればいいのにねえ」。そして「これ僕、買います」。山本「きゃああ~、本当、ありがとう! ここで買っていってくれるの? じゃあランチ代はもちろん、私が持つわ」。

こういう展開が、親しいメディア人の間で嬉しい展開ですね。私が逆の立場だったとしてもこんなふうに振る舞うと思いますよ。…って、わかった? AくんとBくんとCさん。山本佳世子に何回かごちそうになっている、まだベテランとはいえない世代の記者の君たち。同業者間のコミュニケーションもしっかり学んでね~。

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2012年10月14日 (日)

アンチミーハーがiPS細胞ノーベル賞に思う

「だめならだめではっきりしてよ」というタイプ(私のこと?笑)にとって、「いつまでも待つことになるかもしれない」ノーベル賞は辛いもの。その一つ、数年前から期待が高かった万能細胞(iPS細胞)のノーベル賞が決まりました。2012年のノーベル医学生理学賞、山中伸弥京都大学教授の受賞です。やきもきしていた人が多かったとはいえ、iPS細胞の作製成功からわずか6年、実用化にはまだほど遠いのに決まったのですからねえ。これまでの日本人のノーベル賞受賞案件に比べると、格別の早さとなりました。

各種報道された山中教授の経歴・エピソードで私が一番、印象深かったのは、何度も進路・専門や所属機関を変更しての苦労があったことです。日本のノーベル賞受賞者は多くが年長で、大御所を上に置いた伝統的ある大規模研究室に長くとどまって、学術を突き詰めてきた人、という印象がありますよね? 従来の大学の研究室がそういうものだった、という面もあるでしょう。でも、今は若手にとって厳しい時代です。大学は定年までのポストを簡単に出してくれなくて、研究者は研究室も研究テーマもどんどん、変えていかなくちゃいけない。新たな分野や環境に乗り出すというのはだれにとってもおっくうなもの。大変だと思います。だからこそ、その苦労を越えてきた山中先生が、イノベーティブな仕事をして高く評価されたことは、励みになるだろうと思いました。

山中教授は米国から戻った時、精神的に追いつめられたという経験談も響きますねえ。私も、「そう、記者として辛くて辛くてしようがない時期があったっけ。人生の階段を上っていくには、そういう経験もまた必要なんだろうね…」とじわっと思ったものです。

もうひとつ、歓迎すべきことは、「イノベーションってどんなもの?」ということを、一般社会に理解してもらう好例になった、ということです。iPS細胞によって、やがて臓器再生が可能になる…。「技術を中心とする社会変革」としてのイノベーションって、こんなものなのですよ、と伝えやすくなったと感じます。

アンチミーハーの私は実のところ、ノーベル賞のお祭り騒ぎがさほど好きではないのです。「研究者はノーベル賞とは関係なく、するべき仕事にきっちりと取り組むことが大切だよね」と思うから。でも、でも。やっぱりノーベル賞が社会に与える影響は大きい。だったら、社会に広く伝わる関連の情報から、自身や周囲の活動の励みとなるプラス面を探し出そう、というスタンスなのです。せっかくだから有効利用しなくちゃ。「スタンスです」っていったけど、本当はこの文章を書いているうちに、以前のノーベル賞でもそんな感じだったことを思い出して、スタンスということにしちゃったという感じでしょうか。私ってけっこう、軽くってミーハーなのかも?

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2012年10月 4日 (木)

愛読していた「現場女子」の記事

日刊工業新聞の東日本面で水曜に連載されていた「モノづくりで輝く 現場女子」がこのほど終了しました。50数回の連載です。若手女性モノでは一面木曜連載の「リケジョ小町」もあって、リケジョが大手の研究職、現場女子が中小の技術職という感じです。私としてはリケジョはなじみがあるのに対し、現場女子は予想外の驚き満載という具合でした。

驚きの中心は「こんな仕事を志望して取り組んでいる20代前半の女性が、こんなにたくさんいるのか」ということです。写真もいいのですよお。防護めがねをかけて工作装置の前でシャフトを手にしているとか。ライト輝くヘルメットをかぶって腰に作業道具をつらくって軍手の手を挙げて指図(ポーズだけど)しているとか。現場派は社会人になる年齢も若いので、20代中ばですでに二人の子持ちというのが珍しくなかったり、「入社2年目ですが、今春から後輩の指導をしています」といったりする。「大学、大学院を出ても仕事が定まらない若い人が多い時代だ」という認識を裏切って、記事を読みつつ「すごい」を連発していました。

女性の社会進出を議論する時って、高学歴で一流の大企業や国家公務員のような場での活躍を増やそうというイメージが頭にありますよね。もちろん、社会のリーダーとなる層だから、重要なのは確かです。でも、それだけだとなんというか、頭でっかち。社会にはいろいろな層なり役割があって、それぞれのところで女性なり外国人なりマイノリティーを受け入れる環境であることが大事なのでしょう。女性モノ記事は「この子、かわいいネ」に傾き勝ちですが、それに目くじらを立てないことで、新たな気づきを読者に与えられる-。そんな記事の評価もあるのだな、と振り返るのでした。

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