アンチミーハーがiPS細胞ノーベル賞に思う
「だめならだめではっきりしてよ」というタイプ(私のこと?笑)にとって、「いつまでも待つことになるかもしれない」ノーベル賞は辛いもの。その一つ、数年前から期待が高かった万能細胞(iPS細胞)のノーベル賞が決まりました。2012年のノーベル医学生理学賞、山中伸弥京都大学教授の受賞です。やきもきしていた人が多かったとはいえ、iPS細胞の作製成功からわずか6年、実用化にはまだほど遠いのに決まったのですからねえ。これまでの日本人のノーベル賞受賞案件に比べると、格別の早さとなりました。
各種報道された山中教授の経歴・エピソードで私が一番、印象深かったのは、何度も進路・専門や所属機関を変更しての苦労があったことです。日本のノーベル賞受賞者は多くが年長で、大御所を上に置いた伝統的ある大規模研究室に長くとどまって、学術を突き詰めてきた人、という印象がありますよね? 従来の大学の研究室がそういうものだった、という面もあるでしょう。でも、今は若手にとって厳しい時代です。大学は定年までのポストを簡単に出してくれなくて、研究者は研究室も研究テーマもどんどん、変えていかなくちゃいけない。新たな分野や環境に乗り出すというのはだれにとってもおっくうなもの。大変だと思います。だからこそ、その苦労を越えてきた山中先生が、イノベーティブな仕事をして高く評価されたことは、励みになるだろうと思いました。
山中教授は米国から戻った時、精神的に追いつめられたという経験談も響きますねえ。私も、「そう、記者として辛くて辛くてしようがない時期があったっけ。人生の階段を上っていくには、そういう経験もまた必要なんだろうね…」とじわっと思ったものです。
もうひとつ、歓迎すべきことは、「イノベーションってどんなもの?」ということを、一般社会に理解してもらう好例になった、ということです。iPS細胞によって、やがて臓器再生が可能になる…。「技術を中心とする社会変革」としてのイノベーションって、こんなものなのですよ、と伝えやすくなったと感じます。
アンチミーハーの私は実のところ、ノーベル賞のお祭り騒ぎがさほど好きではないのです。「研究者はノーベル賞とは関係なく、するべき仕事にきっちりと取り組むことが大切だよね」と思うから。でも、でも。やっぱりノーベル賞が社会に与える影響は大きい。だったら、社会に広く伝わる関連の情報から、自身や周囲の活動の励みとなるプラス面を探し出そう、というスタンスなのです。せっかくだから有効利用しなくちゃ。「スタンスです」っていったけど、本当はこの文章を書いているうちに、以前のノーベル賞でもそんな感じだったことを思い出して、スタンスということにしちゃったという感じでしょうか。私ってけっこう、軽くってミーハーなのかも?
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