慎重かつ大胆に~サイエンスアゴラのWEcafeの科技コミュで
この週末、科学技術コミュニケーションのお祭り「サイエンスアゴラ」の一環で、若い科学技術コミュニケーターや志願者の活動であるWEcafe(ウィーカフェ)のパネルディスカッションに、出てきました。
WEcafeブログ http://blog.goo.ne.jp/wecafe/
シンポジウム中継 http://togetter.com/li/405693
パネリストは大学、大学系研究所、企業(日立製作所)の広報さんとマスメディア(私)という顔ぶれでした。WEcafeスタッフやパネリストの活動いきさつを聞くと、「研究者でしたがどうしても広報職をなりたくて、所内で志願してポストを作ってもらったのです~」とか、「所属企業内に広報はあるのですが、外部の研修を受けて認定をもらった〔サイエンスコミュニケータ-〕を勝手に名刺に刷り込んで、なんとなく社内に認めてもらっちゃいました!」とか(いずれも女性)、元気のよさにびっくりです。
聴講者には科技コミュ志願者も多いので、仕事のおもしろさ、難しさ、必要な能力などの質問項目があったのですが、私の場合、なんだかどれも同じ回答に集約されてしまいました…。駆け出し記者の頃は、「科学技術の新しい話を聞いて、そうなんだ!と楽しんで、それを記事にして世の中に伝えられて幸せ」という純粋な(単純な)喜びにあふれていました。若い聴講者にはそういった話がいいのかな?と思いもしました。でも、これは科学技術記者であればだれでも話せる内容なので、「若い人に伝えるべきの、もう少し別のことは?」と考えた結果、集約されたのでした。
それは、「【慎重かつ大胆】というバランス感覚を持って活動を」ということです。例えば、「対立する両者を公平に扱いつつ、何が正しいか見極める姿勢」、「情報受信者と情報発信者の期待を把握しつつ、書くべきことを書く」、「皆が注目する情報も、注目されていないが重要な事柄もウオッチする」、「流行に乗るだけで終わらない冷静さと、社会をよくしたいという熱意」、「相手を気遣いつつ、プロとして判断して押し切る」といったことです。
一般のコミュニケーションでもそうなのですが、周囲に気を使うことに終始していると、動けなくなっちゃう、言いたいこともいえなくなっちゃう、ということがあります。だから、本質や全体を見据えた上で、「自分はこれで行こう」と決断する、ある種の勇気が必要です。もしかしたら、その結果を非難されるかもしれないけれど、それも引き受けるしかないね、という強さです。社会的活動に対する大きな姿勢として、そういう意識を持ってほしいと思うのです。
記者は取材対象が責任ある立場の人ということが多いので、年下より年上が得意(慣れている)面がある気がします。だから若い人に対して、どれくらい先輩顔をするのかというのは難しい。私は管理職ではないこともあって、社内の後輩に対してもあまりアレコレいう方ではないですし。「最近の若い人は、うんと年上のバリバリの人よりも、自分より10歳も変わらないくらいの、身近なロールモデルを求める」って聞いて、なるほどと思ったこともあります。
著書「研究費が増やせるメディア活用術」は若い人へのキャリアアドバイス的なものも割合と意識して書いたのですが、「どれだけ伝わっているのかなあ」という面がありました。それだけに、私の発言を聴講者が一生懸命メモをしたり、スタッフが「山本さんの著書でもありましたが、~なのですね」と誉めて、さりげなくPRしてくれたり(笑)で、「私の思いが伝わったかな」と嬉しくなりました。若い人たちに改めて、「みんなも慎重かつ大胆に、がんばってね!!」。
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