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2013年2月

2013年2月28日 (木)

丸ノ内線で文科省へ来るときのご注意

文科省に皆様が来るときに、営団3線の霞ヶ関駅を使うことが多いと思いますが、とくに丸の内線ご利用の方へのアドバイスです。位置関係でいうと、丸の内線の霞ヶ関駅、日比谷線の霞ヶ関駅、千代田線の霞ヶ関駅、文科省となっていて、冬は寒かったり花粉があったりするため、地下通路で「文科省は千代田線に向かう道案内に沿っていくのだな」と考えると思います。ところが、フツーにしていると余計な距離をプラスして歩く羽目になってしまいますので、ご注意をというものです。

丸ノ内線を降りて、文科省へ向かう場合のポイントは、「早いうちに改札を出て、改札内の通路を横目にみつつ、改札外の通路を進む」ということです。というのは、改札内の指示にしたがって千代田線の方へいこうとすると、いったん階段を下りて日比谷線のホームを経由して、エレベーターで上がって千代田線側に抜けることになるのです。「運動のため上り下りを増やしたい」という人は別ですが、これがけっこうな負担…。けれども改札外の通路を進むのなら、日比谷線ホームの深さに降りることなく、つまり比較的平坦に千代田線側に抜けられるというわけです。

逆に文科省から丸ノ内線へ向かう時は、「一番近い地下鉄入り口で地上から降りると、すぐ千代田線の改札があるけれど、そこは横目に改札外の通路を進む」ことです。そして次の関門は、日比谷線の改札が出てきたときに、その中に吸い込まれずに、その右手の階段を上ることです! これがわかりにくいんですよお。そちら側にも、丸の内線へ向かう表示がされているのですが、日比谷線改札には「丸ノ内線は日比谷線ホーム経由」なんて表示があるので、惑わされちゃうのです。で、改札外通路をずっと(わりと人通りが少ないですが心配せずに)行くと、丸ノ内線の改札が出てきます。これだと、先の「日比谷線ホームに降りて上る」という行程がスキップされるわけです。

実はこのことが分かるまで、わたしは多大な時間を費やしてしまいました。取材でたまに丸ノ内線を使う状態だったから、「もしかして日比谷線のところが無駄じゃない?」という考えに至らなかったのです。少し前に発見するも、「ブログに正しく紹介できるようになるまで、もう少し確認しなくちゃ」って気持ちでした。

今朝、たまたまこの関連で2件を目撃したのが、執筆のきっかけになりました。一つは大きなスーツケースを持った三人組が、日比谷線エレベータで降りるか止めるかで迷っていたこと。もう一つはもう少しですれ違うところだった女性が急に止まり、戻り始め、その先の地下鉄駅周辺案内図を熱心に見始めたこと。それで「そうだ、もうそろそろブログで紹介しても、間違いない段階にきているぞ」と思ったわけです。人に何かを伝える時は、間違いがないよう気を付けなくてはいけませんが、慎重すぎるとコミュニケーションはなくなってしまうわけで、バランスが大切だなと思いつつのご紹介です。

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2013年2月22日 (金)

女性や外国人など多様性についての記事の工夫

2月22日の一面コラムで、橘・フクシマ・咲江さん(人材コンサルティング会社社長の著名人)を採り上げました。女性リーダーのシンポジウムでユニークなお話をされていたので、それを活用しました。いわく、「男女や国籍など多様性の要素はその人の個性」。そして個性を要素比率で考えると、「女性8割、男性2割のタイプの人」「米国人5割、日本人5割の考え方をする人」という具合にとらえられる。そうすると、「女性はみな、こう」だとか「米国人だからね」といったラベルを貼っての決めつけではなく、「女性でも、米国人でも、こんなタイプの人がいるんだと自然に認識できるようになる」というという話です。

このところ私は女性の社会活躍後押しの関連で、有識者のコメントを意識して採り上げることが続きました。1/25の22面、女子美術大学の横山勝樹学長(専門は建築)インタビューでは、「男性が多い建築と、女性の活躍も目立つ美術の違いを、どうとらえていますか」と質問を入れました、答えとしては「例えば飲食店の設計で、建築系では全体図面から入るトップダウン型で手堅く進める。それが本学では料理メニューやテーブル、時にはメニューの字体の関心から始まるボトムアップ型だ。これは収拾がつかなくなる危険性があるが、成功すると非常に魅力的なものとなる。そんな違うやり方があるおもしろさを広く知ってほしい」とまとめました。

それから2・11の19面、本の話のインタビューでは、情報・システム研究機構理事(前お茶の水女子大学学長)の郷通子先生です。マリー・キュリーの伝記話から「かつて男性組織では異質なものを排除する力が働いたが、今は異質なものが新たな展開の呼び水になる時代。若い女性には、思う以上の力が発揮できますよ、と伝えてあげたい」としました。

近年の大きな流れとして、「社会の多様性を高めて、女性のほか外国人、高齢者や障がい者など、少数派(マイノリティー)の活躍を推進することは、とくに単一性が高い日本社会では大切なこと」というのがあります。とはいえ、多くの人は「優秀でがんばっている少数派のことは応援してあげたいけど、能力もやる気もない人を優遇するのは嫌だなあ」と思っているでしょう。私だってそう感じます。多数派である男性で日本人で壮年で健常な人だとなおさらでしょう。私は声高に主張するタイプではないし、攻撃的な主張はうまくいかないことも多い。だから記事を通して、対象者である少数派を励ますだけでなく、多数派に対して「少数派をこんなふうに活用したり応援したりできるのか」と気づかせたいと思うのです。自然な形で社会の変化を進めるために、「へえっ」と思わせるようなユニークな記事を書く。れを心がけているのです。

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2013年2月18日 (月)

自宅引っ越しで仕事の仕方が変わる?

1週間前に実施した引っ越しでは、仕事にかかわる何を新居の条件に重視したかというと、「通勤の電車が混まない」ということでした。始業時間は遅めなのですが、大臣会見時や取材先直行ではラッシュに巻き込まれるし、疲れてへとへとの帰宅時に周囲と押しくらまんじゅうというのはちょっとネ~と思ったからです。

実際に決めたのは、山手線駅発の私鉄沿線で、急行1駅目より都心寄りで、各停しか止まらない駅でした。この私鉄を使っている知人数人に相談して決めました。これが超快適なのですよ~。朝、新聞が楽に読めるどころではありません。行きも帰りも基本、座っていける。都心に入る地下鉄も、ピークは混むけれど本数が多いから気にならない。直行取材の資料を読み込んで行くのもラクラクです。先週は引っ越しの疲れが激しく、すっかり座って寝て移動でした。

そういえば、親元から予備校まで長時間通学していた浪人時代には、朝も帰りも電車内で1時間睡眠を確保でした。予備校帰りは15時とか、電車が混む前の時間帯でしたから。電車が揺れてはっと起きて、「今って行きの朝? 帰りの夜?」と周りを見回した経験が、何度もあります~。

あ。でもこんなこといっているようじゃ、仕事のムツカシイ書類を読むのは覚束ないかも。「山本さん、電車内で見かけるといっつも寝ているよね」といわれないようにしなくては…。

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2013年2月 8日 (金)

コミュニケーションでイノベーション創出を

最近、特定取材テーマ以外でおしゃべりになった時に、私が意識して持ち出す話題がこのタイトルの内容「コミュニケーションでイノベーション創出を」です。ほかの有識者が言ったり、多くの記者が書いたりしていない切り口を探す姿勢に、ここ数年ますます磨きがかかっていまして(笑)、これはその点で気に入っているのです。これはつまり、「深く狭くの研究は昔の話。イノベーションは分野融合でしか生まれないといわれるほど。となると、研究支援関係者はもちろん、コミュニケーションが苦手という研究者であっても、自分と異なる人たちと交わるコミュニケーション力がなければだめですよ!」 ということです。

事例として出すのは、2011年1月26日付のブログでも書いた、東京女子医科大学・先端生命医科学研究所の岡野光夫所長です。熱応答性の高分子材料を開発し、細胞培養皿を試作し、「この培養皿を使って細胞をシート状に培養すれば、温度を変えるだけできれいな細胞シートを得られる」という工学研究者としての一区切りでは終わりませんでした。新しい医療技術の確立と、臨床現場での実用化を目指して、多分野の人を巻き込んで大車輪で動いています。

もう一つの事例が、2012年のノーベル医学生理学賞、山中伸弥京都大学教授です。これもブログ10月14日付に書いています。iPS細胞を作り出す舞台となった奈良先端科学技術大学院大学での採用の面接。のちに重要な相棒となる学生への研究PR。そこで効いたのは、自身の研究意欲と人柄を相手に感じさせるコミュニケーション力だったのだろうと思うのです。決して器用なタイプではない山中先生が、独特のコミュニケーション力を持って成功しているということは、多くの研究者の励みになるのではないでしょうか。

実はこの内容について、「いいね!」と反応してくれた方のエピソードがうれしいという出来事がありました。ある産学連携教育の集まりの、取材と懇親を兼ねた場でのこと。大手化学会社の研究所長とは、大勢の中のお一人として名刺交換したのですが、その後に順番に挨拶&コメントをしていく中で、「山本さんのこの文章を見て、いいなと思い、うちの若手にも紹介したんですよ。それで今日、来られると聞いて、どんな人かなと思いまして…」と、皆に話してくださったのです。嬉しい発言ですね! 立食パーティだったら、すぐは恥ずかしいからちょっとだけ時間をおいて(笑)、でも嬉しいものだからその後は、30分はたっぷりその方と、おしゃべりをしたのではないかと思うくらいです。ところがこの時は着席だったので、帰りぎわにお礼をいいましょう、と思ったのです。ところが。ちょっと別の人と話していたらすでにその研究所長は退席の後。ざ、残念…。筑波の研究所だったから帰りを急がれたのかしら。研究者の方は奥ゆかしい面があるからかしら、すっごくほめてくれたわりにあっさりしていて、これもまた不思議なコミュニケーション手法かも(笑)。というわけで、こちらも、ご本人にお礼メールする前に、ブログに出してみるというコミュニケーション手段を取ってみたのですが、これは正解? それともイマイチ?

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2013年2月 4日 (月)

東大の秋始業、本当の狙いは

1月31日付2面社説に「東大の学部『秋始業』 能動的な学びへ質的転換を」を掲載しました。少し前の浜田純一東大総長ら幹部のメディア懇談会で、「秋入学」ではなく「春入学&秋始業」を基本にするとコメントしたからです。そしてこの記事の見出しには入れられませんでしたが、後半には安西祐一郎日本学術振興会理事長(前慶応義塾大学塾長)が率いる、新1年生に実施する産学連携教育のフューチャー・スキルズ・プロジェクト((FSP)研究会につなげています。なぜ、この二つがつながるか? ここがこの社説のキモになります。

東大の秋入学や秋始業の話は、始業を外国の大学と合わせることが目的と、一般には受け取られていますが、それは理由の一部にすぎません。受験のため授業を受動的に受けて暗記も多い学びをしてきた高校生・浪人生から、知の探求や社会価値構築を意識した能動的な人間力を高めるための学をする大学生に変わる-。これが必要です。けれども現状は、そんな区切りなしに高校から大学が続いてるでしょう。だから、大学生になっても漫然と、単位が取れる楽な授業に出て、関心事は次の就職活動と、あとは学生らしい楽しい遊びだけ、となってしまう。大学というのはそういう場ではないのです。各自の社会的関心に応じて主体的に、知を求め、主張をし、議論を戦わせ、協力し、コミュニケーションの難しさを知り、挫折し、再び知をもとめ、そして次の高みを目指していく-。人間力・社会人力を高める高等教育とはそういうことではないでしょうか。座学を含む一般教養も専門知識もそのためにある。そのことを、入学まもない新一年生に実感させたい、というのが社説で取り上げた二つ共通内容であり、一般の人に私がもっと理解してほしいと思うことなのです。

秋始業をし、ギャップタームの半年に、新入生がショックを受ける体験をする。そのもっとも効果が高い活動が日本人学生の海外体験でしょう。でも、キャンパスの外国人をはじめとする多様な人材との交流や、ボランティアや、NPO活動なども、この時期にすることは意味が大きい。実際、東大は現制度でもできる、秋始業に似た体験をさせるFLY(フライ)プログラムを始めますが、これはボランティアや国内放浪の旅も推薦と明言しています。極端なことをいうと、高校生だった子たちが、「世の中は、こんななんだ!」とカルチャーショックを受け、これまでとは違う学びの姿勢を持つようになるのなら、なんだっていいということなのです。

ですから、記事の後半で取り上げている産学連携教育も、3,4年生に実施する一般的なものではなく、1年生でしなくてはいけないのです。この場合は「企業って、社会って、こんななんだ!」と実感することでしょう。このFSP研究会は5大学6企業で展開してきましたが、この先はノウハウを広く公開していくとしています。

すべてのことは労力・費用に対し、どれだけの効果が得られるか、です。秋入学で先進国の大学暦に合わせた1年留学は、効果も大きいけど労力・費用も大。日本社会の国家試験時期などを変えるという意味でも、大変な労力です。その次が、秋始業。日本社会を変えなくても、秋入学の場合と近い効果が得られるでしょう。でも、できるのはごく一部の大学に限られますね。それに対して、1年生向けの産学連携教育なら、効果はまあ下がるとしても、どんな大学でもすぐに始められます。そして…? そのほかは…?

そうです、さらにさまざまな大学教育改革の案が出てきて、しかるべきではないでしょうか。私はそのことを期待しています。大学の学びが、学生にとって刺激的で、意味があり、そして優れた社会人を輩出する、高品質のものになることを祈って。

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