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2013年2月 8日 (金)

コミュニケーションでイノベーション創出を

最近、特定取材テーマ以外でおしゃべりになった時に、私が意識して持ち出す話題がこのタイトルの内容「コミュニケーションでイノベーション創出を」です。ほかの有識者が言ったり、多くの記者が書いたりしていない切り口を探す姿勢に、ここ数年ますます磨きがかかっていまして(笑)、これはその点で気に入っているのです。これはつまり、「深く狭くの研究は昔の話。イノベーションは分野融合でしか生まれないといわれるほど。となると、研究支援関係者はもちろん、コミュニケーションが苦手という研究者であっても、自分と異なる人たちと交わるコミュニケーション力がなければだめですよ!」 ということです。

事例として出すのは、2011年1月26日付のブログでも書いた、東京女子医科大学・先端生命医科学研究所の岡野光夫所長です。熱応答性の高分子材料を開発し、細胞培養皿を試作し、「この培養皿を使って細胞をシート状に培養すれば、温度を変えるだけできれいな細胞シートを得られる」という工学研究者としての一区切りでは終わりませんでした。新しい医療技術の確立と、臨床現場での実用化を目指して、多分野の人を巻き込んで大車輪で動いています。

もう一つの事例が、2012年のノーベル医学生理学賞、山中伸弥京都大学教授です。これもブログ10月14日付に書いています。iPS細胞を作り出す舞台となった奈良先端科学技術大学院大学での採用の面接。のちに重要な相棒となる学生への研究PR。そこで効いたのは、自身の研究意欲と人柄を相手に感じさせるコミュニケーション力だったのだろうと思うのです。決して器用なタイプではない山中先生が、独特のコミュニケーション力を持って成功しているということは、多くの研究者の励みになるのではないでしょうか。

実はこの内容について、「いいね!」と反応してくれた方のエピソードがうれしいという出来事がありました。ある産学連携教育の集まりの、取材と懇親を兼ねた場でのこと。大手化学会社の研究所長とは、大勢の中のお一人として名刺交換したのですが、その後に順番に挨拶&コメントをしていく中で、「山本さんのこの文章を見て、いいなと思い、うちの若手にも紹介したんですよ。それで今日、来られると聞いて、どんな人かなと思いまして…」と、皆に話してくださったのです。嬉しい発言ですね! 立食パーティだったら、すぐは恥ずかしいからちょっとだけ時間をおいて(笑)、でも嬉しいものだからその後は、30分はたっぷりその方と、おしゃべりをしたのではないかと思うくらいです。ところがこの時は着席だったので、帰りぎわにお礼をいいましょう、と思ったのです。ところが。ちょっと別の人と話していたらすでにその研究所長は退席の後。ざ、残念…。筑波の研究所だったから帰りを急がれたのかしら。研究者の方は奥ゆかしい面があるからかしら、すっごくほめてくれたわりにあっさりしていて、これもまた不思議なコミュニケーション手法かも(笑)。というわけで、こちらも、ご本人にお礼メールする前に、ブログに出してみるというコミュニケーション手段を取ってみたのですが、これは正解? それともイマイチ?

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