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2013年4月

2013年4月30日 (火)

「研究費が…」の著書が増刷に

「研究費が増やせるメディア活用術」は2012年6月の刊行当初から、丸善出版の編集者に「一日も早く増刷に持ち込みましょう」とプレッシャーをかけられており、このほど増刷となりました!初刷の3割分の冊数が、追加で刷られました。

なんといっても、ある本を手に本屋さんで「買おうかなあ」と迷ったとき、裏表紙の表記を見るでしょう? 私はチェックしますよ。それで、「初版 ○年○月」だけだと、当初の見込み冊数の期待が大きすぎた、というケースも含めてと「あまり売れていないのね」と判断します。でも、刷りや版を重ねている表示だったら、「評価が高いんだ、じゃあ買おう」となります。だから増刷は嬉しいです。それに大半の本は初刷で終わりだから、「がんばったでしょう!」と得意なのも、もちろんありますね。

「けっこう浸透しているかも」と思うのは、リリースやシンポジウムなどで初めてやりとりをした人に「本、書いていますよね?」とか、「あの本の著者だったのですか!」といわれることです。担当編集者の情報では、「学会の年会で、丸善出版の展示ブースで立ち読みをして、あとでアマゾンで購入、というパターンも多いですよ」とのこと。どうして、後で買うのかというと、学会会場で「研究費がほしいよね!!」という顔を知人に見られるのはちょっと…、ということらしい。そうか~、確かに、知り人が本を開けていると「何を読んでいるのですか」って声をかけますものね。その時に、研究の専門書ならいいけれど、ノウハウ本では気恥ずかしい、という感じ。だから、2段階で入手するのですね。

親しい研究者、それも学部長や機関長など管理職サイドの複数の人にいわれたのは、「研究費をどう獲得するかということは、(一般の人が)思っている以上に、研究者にとっては大事なことになっている」とのこと。そして、研究費獲得のノウハウを研究者が書いている本はあるけれど、マスメディアのような【外の人】の視点でかかれたものはないので、役に立ちますよ、とのことでした。

出版のうれしさに、名前を少し広く知ってもらうとか、印税も多少は入るとかもちろんあります。でもやっぱり一番うれしいのは、本を手に取ってくれた人に「おもしろいですね」「役に立ちますね」といってもらうこと。本だけでなくて、人生通してもそうですよね。おつきあいしてよかったと、いろいろな場面で思われる人になりたいものです。

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2013年4月26日 (金)

スマートフォン利用、苦戦しつつもノウハウ体得中

記者会見の会場から原稿を送るのに、よりよい手段を整備する必要性に迫られて、5年間機体をかわいがってきた携帯電話から、スマートフォンに乗り換えました。原稿執筆ソフトが入っているけど通信機能が入っていないパソコンを持参し、スマホの通信機能を使って、インターネットにつないで送るというやり方です。この「テザリング」は半年ほど前から可能になったもの。それ以前の環境整備のメーンは、Wi-Fiルーターを一緒に持ち歩いて、それを使ってネットにつなげるという方法でした。周囲にだいぶ質問したうえで、テザリング対応のスマホ、iPhone5(アイフォンファイブ)に変えたのでした。

心配したテザリングはなんとかできたようですが、そのほかの機能は、まあ何でも機種を変えるとそうなのでしょうけれど、使い方がよくわからなくて苦労しています。初めての取材先でルート検索したいのに、なんかうまく反応してくれないとか。留守録を再生しようと思ったのに消しちゃったとか。関係の皆様、トラブル申し訳ありません…。

デジタル系に強くないのに、高額なiPhone5を選んだ私。その最大の理由は、「アップル製品を使いこなしていてあれこれ聞けそうな人が、周囲に複数いる」というのがありました。1年前にアンドロイドのタブレットを入手するも、利用がイマイチだった(それも想定して低額の機種を購入していた私は偉い)のは、得意な知人に聞いても「iPadとは違うねえ、よくわからないな」と冷たくされたから、というのがありましたからね。ということで、今度はアレコレ質問攻めにしてもいいはず(?)。ゴールデンウイーク終了時にはきっと、質問リストが積み上がっていることでしょう…。

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2013年4月17日 (水)

大学発ベンチャー新連載と国立大の出資事業

新連載「飛躍できるか 大学発VB」が日刊工業新聞の科学技術・大学面で水曜隔週で始まりました。企画と、1回目と2回目(17日本日掲載)は私の執筆です。思いは「ベンチャー(VB)は2008年のリーマンショックや、ライブドア事件などでメタメタだったけれど、新産業創出の担い手としての期待がここへきて再び、高まっている。苦労の時期を乗り越えての大学発VBは、それなりの実力があるはず。新顔を含め、それらを採り上げよう」というものです。

一方、4・10付2面社説に「国立大の民間企業出資 研究成果の事業化を加速せよ」を執筆しました。これ、最初は補正予算の大物として1月にニュースで出てきたものですが、仕組みが新しいこともあってわかりにくかったんですよね。1月に寄せ付けの記事を書きながら、いまひとつ私もわからないでいました。多くの読者もそうだったと思います。その後、ベンチャー関係者の取材をする中で「文科省のあの事業って、こんな意味があるの」と気づき、再びみっちりと取材をして書きました。

国が計1200億円を東京大学、京都大学、大阪大学、東北大学に拠出し、各大学がそれを産学連携関連の企業に出資、企業が稼いだ利益は大学を通じて国にリターンするという仕組みです。この企業というのは、産学共同研究の成果を元に新たにつくる共同出資会社と当初、理解したのですが、「大学とともに会社をつくろうという大企業の動きは、そんなにないのでは??」と思っていました。

後に、なるほどと思ったのは、「大学発ベンチャーの支援関係で出資する」というケースが多い、と知ったからです。大学発VB単体もあれば、大学発VBへ投資するベンチャーキャピタルや、そのキャピタルが運営するファンドへの出資もある。大企業で眠っている技術に大学の知見を加えて、新たに設立するVBなんていうケースもありそうだといいます。VBへの出資は、2004年の国立大学法人化時にも「こんなことが国立大にもできるようになるかも」と話題になるも、お蔵入りになっていた話、と気づきました。

ひらたくいうと、「国立大学が投資できるようになったんだって」という話です。私立大は、VBとか資産運用の商品とか、リスキーなものにお金を出せるけど、国立大はできなかった。でも、新産業創出に向けたものならば、と解禁になったというわけです。社説では、担当課の「東大のような研究型大学は、新たな社会的価値(新事業のこと)を生み出す責任を負っている」とのコメントも入れ、「国立大も研究しているだけじゃあ、だめなんですよ!」という政府の意向を強調してみました。

実は、4月から文科行政全般をみるようになったけれど、憂鬱なのです。これまでの専門面を持つ専門記者の動き方とはかなり違って、勝手が分からない。会見などで時間をとられるわりにちっともたいした記事が書けなくて、「こんな状態でやっていけるかなあ」と不安に思うのです。でも。この国立大出資の話は、社説の前にオリジナル(4大学の決定と資金配分の状況)を一面に載せてもいる(3・15付)。だから、ね。産学連携など得意分野を核にしつつ、新しい担当分野でもしっかり仕事ができるように力を付けていく、これしかないのだろうと思うのです。新しい取り組みがおっくうなのは当たり前でもありますし。落ち込まずに、自分のいいところをみながら、本格展開できるようにがんばりたいと思っています。

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2013年4月 9日 (火)

最終講義で知る退職教員の個性

団塊世代の国立大学教員の退職が、今春よりぞくぞくと始まりました。親しい先生の最終講義すべてに出たいところですが、年度末の多忙さから厳選して参加した3月でした。とある理工系の男性教授A先生のケースでは、なぜか女性の聴講者が目立ちました。若い女性なら最近の研究室卒業生だなと思うのですが、年長者が多いのは、なぜ? その謎は教育者・研究者としての数十年を振り返る講演の中で判明しました。

ポイントの一つは、専攻が高分子だったこと。理工系大学の団塊世代ゆえ、学年約750人中、女性が2人という時代(今は女性比率2割だそうです)ですが、繊維関係の女子大研究者などとつながりがあるんですねえ~。それにしても、研究者の卵の活動ともいえる卒論で、通産省(いまの経産省)の工業技術院(今の産総研)の女性研究者の指導を受けたというのは珍しい。研究室を継ぐ、これまでのパートナー(准教授)が女性というのを含め、A先生の運命を予感していたのかもしれません。

懇親会の最初の挨拶は高齢の、たぶん80歳代の女性! 某女子大で元教員の大物だそうです。医学博士をすでに持っていたのに退職後、A先生が「せっかくだから教員としての研究業績(繊維関係)をまとめましょう」と進めて、2本目の博士号をとらせてあげたのだとか。なんというフェミニストでしょう。理工系の男性は、女性の扱いが下手な人が多いのに。男女共同参画は、現場の一般女性研究者と交流の薄い大御所より、これくらいのフェミニスト研究者を発掘して、議論をリードしてもらう方がいいのではないでしょうか。

最終講義は学科主催のものですが、一部の先生はより卒業生などが集まりやすいパーティを後日、開きます。A先生の場合は出席者の2割が女性だとか。案内メールには「女性のドレスアップを歓迎します」という珍しい文面までありました。いったい、どんな退職お祝いパーティになることでしょうか…。

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2013年4月 5日 (金)

現場感覚と俯瞰力~審議会と北城氏講演から

科学技術・学術審議会(文科大臣の諮問機関)の臨時委員にこのほど就任!、初会合に出席しました。一方で、自民党での北城恪太郎日本IBM相談役の講演を記事(4/5付19面)向けに聞き、合わせての感想です。

先に北城氏の、大学改革についての講演から。さすがこれだけの人物になると、話が魅力的で、内容もしっかりしているなあと感心しました。IBMでの国際コミュニケーションの体験やら、多数の国立・私立大学での経営の助言役の経験やら、経済同友会(終身幹事を務めています)の議論やら、すべてがないまぜになって、そのうえでの改革提言です。質疑応答では教員出身などの議員が質問で立ち、自身の視点を述べるのですが、比較的若い方だったりすると、「自分が知っている、ごく一部のところで話している」という印象でした。でも北城氏は、丁寧に応えて、陽気に笑う時もあって、素敵だわ~。

一方、審議会の先端研究基盤。大型放射光施設設備など、研究基盤の整備の方向性を議論するのが役割です。委員はノーベル賞受賞者の田中耕一氏や、女性研究者で著名な川合眞紀氏(理研)、小谷元子氏(東北大)、大島まり氏(東大)などの顔ぶれで、感心しました。男性の委員も取材先として訪問し面識がある組織トップが何人か、出席されていました。私は審議会の委員は初めてなので、会合で最初は「ほかの人がどんな発言をするのか見てから、手を挙げよう」という姿勢でした。そうしたら。意外にも。【組織トップであっても研究現場】というスタンスで、「自身が統括する研究所で大いに困っているのはコレ」という切り口での発言が多かったのが、意外でした。研究者個人に対し、組織トップは管理職。現場感覚というより、俯瞰力が重視されている人、と思っていたからです。

ちなみに、私からの発言は「Spring8については利用する企業側の評価・人気が高いことを取材で実感している。一方でせっかくニーズが多いのに、専用ビームは利用料が高額で、トヨタ自動車に限られるなど、対応しきれいていないという声を聞いたが、現状はどうか。これからの審議事項に挙がっている、研究支援者の配置や利用料金の設定にかかわってくると思うが」というものでした。まあ、スルドイ指摘というより、質問という具合ですね…。

研究の現場の人ではないけれど、多くの現場の声を聞いている。管理職経験はないけれど、管理する組織トップの取材も重ねている。もっと俯瞰的に、日本全体を見る立場の官庁の考えや見方にも接している。それがマスメディア人としての私。現場感覚と俯瞰力の両方が可能で、しかも【科学コミュニティー】の真ん中ではなく、周辺にいるのがマスメディア人。学生時代は研究職志望だっただけに、新聞記者になれてよかったと感じます。この特徴を、委員の活動でも生かすよう意識していきましょう。目標は大きく、北城氏のように広く社会で重要視される存在に…。新年度ですもの、目標くらい、大きくてもいいですよね!

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