小さくても重要な記事とその反対
「次期会長に榊原東レ会長 日本化学会」を29(水)の日刊工業新聞、科学技術・大学面でオリジナルの抜き(他メディアに出ていないもの)で掲載しました。2014年5月からの次期会長なのでまだ先ですが、ほぼ間違いなく「そうなる」ことが新たに分かった、というのはやっぱりスクープといっていいのではないでしょうか(そういってほしいです、笑)。ちょうど今、産業競争力会議の民間議員として、さまざまな発言が採り上げられている渦中の人です。経団連副会長と内閣府総合科学技術会議議員という、産業界と学術分野の最高峰といえる機関での経歴もある方が、会員数3万人、企業人比率が2割の大規模学会を率いることになったという記事です。人事ニュースは、たとえ大企業の懸案社長レースであっても、一面トップということはないですよね。この記事も見出しは1段で小さく見えますが、ニュースバリューはそれなりではないかと思っています。
一方。この逆の記事も最近、見つけました。N紙の27日夕刊一面、3段見出しの「大学に眠る技術発掘 文科省 事業化目標を2倍に」です。最初、「えっ、何のこと、どんなニュース?」と私も反応しました。私のメーンの担当分野だとすぐわかる見出しでしたから。そうしたら。驚きの内容でした。「何でこれが記事になったの? ちょっとおかしいんじゃない」という驚きです。「(大学の)研究者支援の事業プロモーターに野村ホールディングスなど4社を新たに選んだ」って、文科省の大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)で、4月後半に発表になり、4/26付で私も書いた内容そのままです。あとはこの事業の説明が全体の8割。最近始まった事業ならともかく、1年前スタートの事業なのに。START事業は私はこれまで、7回くらい書いていますよ。
N紙が「一カ月くらい後に、知らん顔して書いてくる」という話は時々、聞いていて、幸いにしてそういうN紙とのぶつかりを経験していなかった私は「社内の記者の競争が激しいと、詳しい事情をしらない上司や読者をだましてでも、つまらない記事を大きくした方が勝ちなのかなあ」と思っていました。そのうえでの初めて経験だったので「これがそうなんだ」と驚くと同時に、「それにしてもSTARTはベンチャー支援の事業で、N紙の読者はそれなりに知っているはず、みっともない記事として逆効果だと思うけれど」という感想も持ちました。
まあ、衆人に見えやすいズルをした人・機関を激しく非難する必要はないので、これくらいでストップしましょう。どちらかというと「頭に来た」というより、「拍子抜けして、そのことに驚いた」という感じでもありますし。ということで、記事の大きさは一つの指標にすぎません、その分野を詳しく知らない人は気を付けましょう。そしてこちらは「分かる人はちゃんと評価してくれるもの」と心に言い聞かせることにしましょう。新聞記者に限りません、どんな仕事でもそうですね、職業人のプライドはそういう形で醸成されていくものではないでしょうか。声高に自慢しないでもね。あ、自慢していますね、このブログで明確に…。
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