政府関係の仕事が回り出す
政府の成長戦略と連動した文科省の施策として、科学技術・大学面で5・22付に「スーパー・グローバル大学(仮称)」を、5・23付に「理工系人材育成戦略(仮)」をそれぞれ執筆しました。大ネタではないけれど、どちらの言葉もまだメディアで紹介されていなくて、文科省系記者の皆の目に触れたのは、5・22の教育再生実行会議の提言素案でしたから、それなりのヒットです。4月に担当が文科省行政全般に広がって、「うまく取材のコツがつかめない」とブルーな気分だったのですが、調子が出てきました~。
実は、その前に「がぜん、元気になる」変化がありました。それは17日の安倍首相の成長戦略第2弾のスピーチについてブリーフィングを受けた時のことです。それまで、大学改革についていろいろなキーワードが出ているけれど、それがどうアベノミクスと関係があるのか今ひとつわかっていませんでした。年俸制とかガバナンス(統治)改革とか、学長リーダーシップとか教授会の役割とかのキーワードです。それが、ブリーフィングをきっかけにつながって、「そうか! 大学改革と成長戦略がつながるのはこういう意味なのか! 大学担当が長かった私でこうなのだから、ほかの記者も、読者もほとんどわかっていないのでは」と気づいたのです。それで「これは、スクープではなく解説の形であっても、私ならではの記事になる!」ということでハイになったのでした。
書いたは、27日付2面の社説「成長戦略と大学改革 産業創出へ教員能力生かせ」です。経済成長に資する大学改革とは…、国立大を中心に研究者(教員)が新産業創出に力を発揮できるよう、ネックとなっている教授会など伝統的な組織や仕組みを壊すのが狙い、と解説しました。
大学人は全員、国のために新産業創出を考えよ、といっているわけではありませよ、もちろん。それができる能力と技術と意志を持った教員には、フルに力を発揮してもらいたい。そのために今、邪魔になっている事柄をなくしていこうということです。例えば、年功序列型の大学教員給与は、海外や企業などと大学の間の人材流動化を妨げているから、年俸制にすれば、いろんな働き方の優れた人材が大学を活性化してくれるだろう、という判断です。伝統的に教授会が強い大学では、教員評価で論文重視、採用は弟子筋の日本人男性、教員にデメリットが多い学部・学科再編は絶対反対、となりがちです。それを教授会の決定権や教授らの選挙による学長選出をなくせば、学長の断行(優れた学長であることが必須ですが)で、産業貢献度の高い教員を評価したり、女性や外国人をどんどん採用したり、時代に合わない再編を行ったり、できるだろうということです。
大学・産学連携面が3月に終了して、同面の大事な取材先・読者だった皆さまに申し訳ない気がしていました。「以前なら大学面で大きく載せられたのに、今だと小さな記事になってしまい、すみません」という感じです。でも、今回の展開で「一般紙の記者にやられっぱなしではなく時には返せるし、専門記者をしてきた私だからこそ、書ける部分もある」とのことで、自信が出てきた状態です。
ある教授にいわれたのですが、「研究でも仕事でも、教員や指導者ができることは、取り組む方向が○か×か、×なら軌道修正の助言をして、自信を持たせることだけ。実際に何かをするのは、本人(の力)でしかない」というのが心に響きました。ベテランになったのにちょっと様子が変わると、がっくりきたり、自信を持ったりで、我ながら情けないと思っていました。でも、いくつになっても新鮮な思いを持てるというのは大事なこと。その中で、新たな自分の力を、社会にプラスになる仕事ができる力を、伸ばしていくようにいたしましょう。
| 固定リンク | 0
コメント