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2013年7月

2013年7月28日 (日)

「どうかな」と思う集まりにも参加する

仕事関係で声がかかる集まりや懇親会は、仕事の効率性を思案しつつ出席を考えまるものですよね。私のことを個別に知らなくても、「論説委員なので」というセレクトで案内がくることも増えています。もっと上の立場になると出席自体が仕事という式典も出てくるのでしょうけれど、私のように日々の取材現場を担当している立場だと「忙しいので、記事にならないものはちょっと…」という判断が入ります。とはいえ、初めてのチャンスであれば、「どんな感じのところかな?」と探る意味もあって、なるべく時間をつくって出向くことにしています。

少し前にあった賞の授賞式&祝賀会(ランチタイム)もこの判断基準で参加しました。受賞者決定の記事は先に書いたので、大きな顔をして出席です。でも、「来賓に」といわれたわけではないので、1時間ほど時間がとられる授賞式はパス。祝賀会から入りました。そうしたら意外な顔ぶれが。文部科学省の局長クラスが大勢、来ていることが判明しましたのです。文科省が管轄する独法の関連委員会で運営している賞ということは知っていましたが、幹部がこんなに大勢、くるとは予想外。「以前、この独法に出向していたのでね」といった声などを聞き、納得です。国会閉会後の概算折衝本格化前の時期で、ランチタイムというのも、幹部は出やすいタイミングだったのかもしれません。

ちょうど7月の幹部人事があった後ですから、私はこの思わぬ機会によだれを垂らしながら(笑)、名刺交換をしてまわりました。いくつかの名刺は実際に、「新任ご挨拶」の赤い判が押されていましたよ。

一般に初めての懇親会は、「どうも私のネットワーク拡大に役立たない場だな」と判断すると、食に励む決断を下します。でも今回は逆でした。がっついて食べている姿を、名刺交換したばかりの相手の目に焼き付けるのもなんなので(笑)、二皿くらいで我慢しました。でも、今回の懇親会出席は正解だったなと、帰りにサンドイッチ屋に寄る足取りも軽くなるのでした。

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2013年7月 9日 (火)

リスクを把握しつつ、ちょっと背伸びをする

富士山登山にこのほど行ってきました! 仕事や博士研究と同様、リスクを把握しつつ、ちょっと背伸びをしたという具合です。思いは「あんなにきれいで、大勢を魅了している富士山って、その地にいたらどんな感じ? 登れるものなら登ってみたい」ということ。ずっと気にしていた案件で、GW明けのブログに書いたように、世界遺産に影響されたわけではありません。

初日の登りは3時間、なんとか日が暮れる前に山小屋へ到着です。山小屋で仮眠をとり、夜中に出発して、翌日のご来光を山頂で仰ぎたいという人が多いのですが、私たちは「その時の状況で決めましょう」と話していました。この日、私たちより後に、山小屋の下をヘッドランプで岩場を上ってくる人たちをみて、「やっぱり夜中の行軍は厳しい。日の出を早朝4時半に山小屋で見て、それから出発したい」と私は主張。山小屋の人から、「頂上まで一般に3時間(普通の天候で)のところが、ご来光希望者が連なるので渋滞して、5時間かかる」との情報も得ました。3時間が5時間になるの? 真夜中の岩場もある登りの渋滞で! ということで、早朝出発で全員の意見が一致しました。経験や価値観が似通っていて、一人だけ富士登山4回目というベテランを配した4人グループで計画したのは、正解だったと実感しています。

その後、風がどんどん強くなってきました。山小屋の情報掲示板には、夜中の風速が秒速20メートル、翌日昼が14メートルと記されています。寝袋の中で、吹きすさぶ風を聞きながら、「登頂できなくてもいい。私だけ残るとか、無理をしないようにしよう。富士山ってこんな感じ、って実感することができたのだから、目的は果たせた」と自らにいいきかせていた状態でした。

結局、早朝はきれいなご来光を見て、写真をとってから出発。上に行くにつれて霧が深くなって、途中から下界は真っ白で何も見えなくなりました。でも、登り切ることができました! すごいすごい。一方で、「頂上でご来光」にこだわった人たちは結局、頂上にいても悪天候で何も見えなかったそうです。うちのグループの【隊長】は「富士山だからね。下から見て、上はいつも雲がかかっているだろう。これくらいは仕方ないんだよ。とはいえ、強風の状況があれより強ければ、断念していただろう」といっていました。

実は山小屋で、観光バスのはとバスのグループが一緒でした。夜中の11時半に出発するというスケジュールで、「かなり状況は厳しいです。どうしても行きたいという人だけに絞りましょう。低体温症などの怖れもあります」と悲痛な決起アナウンスをしているのを夢うつつで聞きました。はとバスツアーだから、私たちレベルの初心者が多いと思うのですが、大丈夫だったかなあ。気の毒ですね。

なんでもそうですが、リスクが大きいものに、背伸びしすぎて取り組むと、大失敗につながることがある。とはいえ、リスクを怖れてばかりいると、なにも成長しない。仕事でも、自己実現でも、単なる遊びでも。スクープ狙いの取材でいうなら、相手の反応が微妙なところで記事にするか止めるかとか、どこまで踏み込んだ表現にするかとか、でしょうか。相手の機嫌を損ねるのを心配し、常に安全な書き方をしていると、スクープは一生、書けません。背伸びもやっぱり必要なのです。

今回の富士登山では、「登山はマナーを守って、自己責任で」という状況を実感し、普段はいかに安全重視の規制に守られた社会生活をしているかと気づいたのがあります。実際に富士山では、年平均で60人強が遭難して、10人弱が亡くなっているそうです。出発前の五合目レストランでは、弾丸登山を実施したらしく、若い男性10人組が異様な寝り方(包丁を振りかざした殺人鬼が躍り込んできても動けないくらい)をしていたのをみたことも、あれこれ考えるのに影響しました。

もう一つ、驚いたことに外国人が多かったことがあります。山小屋では香港からきたという30歳くらいの女性2人組と隣合わせました。だ、大丈夫なのかな? でも、私たち4人が代わる代わる、これまた同レベルの英会話力でやりとりしたところ、ネパールでの登山経験もあるのだとか。すごい。なるほど、外国人(単独行も少なくない)が多いのは、母国でも通の山好きが来ているからなのですね。

今回は山開き最初の週末とあって、メディア採り上げも多く、実際に上空を撮影のヘリコプターが飛んでいました。でもね、世界遺産に刺激されて計画したのではないのですよ。あ、しつこすぎる? すみません。まあ、いってみれば、「時代が後から付いてきた」かな。ホホホ~。この言葉、一度、いってみたかったのよね…。

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2013年7月 3日 (水)

記者会系とベンチャーの業界用語

科学技術分野の専門用語は、分野がちょっと違うと別の意味で使っていたりして、なかなか難しいものですが、マスメディアの記者会系にも専門用語、というより業界用語が見られます。

まず「レク」。これはレクチャー。いわゆる会見のことを指します。これに対して、「ブリフ」はブリーフィングで、状況説明です。記者クラブでのブリフでは、事務方の課長クラスが出てきて、背景など説明してくれるということが多いです。

そして次が私の気になる「ブラ」。これは日本語の略です。「ぶら下がり」、つまり取材対象者が廊下などで立ったまま、記者側の質問に簡単に答えるタイプです。記者が対象者にぶら下がっている、ということのようです。しかし。「ブラ」っていったら、ねえ。一般社会は絶対、女性の下着だと思うと思いませんか? そういえば「ブリフ」も男性の下着のような…。あ、ブログではこの程度にしておきましょう。

イノベーション・ベンチャー関連の業界用語の体験を一つ。少し前の自民党でのベンチャー関連の講演のあと、議員の先生とのやりとりで採り上げられた「イノベーションエコシステム」です。これは、イノベーションが次々と生まれ、育っていく生態系(のようなもの)を指しています。このような環境を日本でもつくることが重要だといわれているのですが、「そもそも、これって何?」から、どうやら発展していないようです。

議員「イノベーションエコシステムって、これは何ですか。エコというのは環境ですか?」と質問します。講演者は「エコは生態系の意味です」と応えます。議員「あまり聞いたことがありませんねえ」、講演者「我々のベンチャーの世界ではよく使うのですが」、議員「ほら、△先生(この会のまとめ役の大御所議員)も首をひねっていますよ」と主張。うーん、自らの不勉強は何も顧みず、堂々としているところはさすがと思いますが、まあどっちもどっちですね。

というのは私も、数年前にこの言葉を耳にしてからずっと、官庁の報告書にも使われているけれど、「普通の人はわかりませんよ。このままでいいの?」と思っていた用語でしたから。記事には、簡単な説明を付けて入れた時もあるのですが、「イノベーションエコシステム」の用語もろとも切られてしまい、一般への理解を促すこともままなりませんでした。

「わかりにくいこと」は、おうおうにして「価値がないこと」「無視していいもの」となってしまいがちです。「どうもこの用語を浸透させるのは難しい」と感じたら、潔く別の言葉での表現を選ぶことが得策かとと思います。こういいつつ、明日締め切りのとある原稿の資料に書いてあった技術用語が頭をよぎります。…やっぱり、あの用語は使わずに、記事にすることにいたしましょう。

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