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2013年8月

2013年8月27日 (火)

概算前のこの時期に記者懇?!

「研究関連3局は、日常的に顔を出してくれる記者が少ない、と気にしているんですよ」との話は某課長から聞いていました。だから、文科省内の研究関連局の幹部とメディア記者の懇談会を始めたいとの話は、意外ではあrませんでした。とはいえ、概算発表1週間前という時期に、第一回を開催するというのは…。

「どんな具合なんだろう?」と思うの、当然ですよね。概算の動きのほかにも、リニアコライダー誘致や新型ロケットのイプシロンの発射(本日、もうまもなくです)など話題がたくさんある時期です。「もしかしたら、非公式のレク状態になるかも」と思い、いちおう筆記用具を懇親会会場に持参していました。会社担当記者から以前、「役員とメディアの懇談会で、調子に乗った社長が口をすべらせたため、記者が執筆に走ることとなり、その後の懇談会会場は記者不在」って話を、聞きましたから。

結局、文科省側からの説明のようなものはなかったのですが、なかなか中身の濃い会でした。多数の課や役職の担当案件を、幹部それぞれから直接、リラックスした雰囲気の中で聞けたのですから。春に文部科学/科学技術行政の担当になってから、本当は「端からしらみつぶしに訪問してネットワークを構築すべきか?」と思いもしたのですが、なかなか手が回らない。それだけに、今回の会は、親しく言葉を交わすようになり、「こんなことやっているんだ~、ではこの切り口でそのうち取材にいってみよう」と、何件も思案できるチャンスとなりました。

結局、この会をこの時期に開催した意図というのは、「研究局の取材をもっとよろしく。ついては、いよいよに発表が迫っている概算、まずはそれからお願いします」ということかなあ、と理解しました。概算は、発表を受けて動くものもある一方で、発表より先に書く(抜く)ものもあるので、微妙だという点は会の実施前も終了後も同じではあるのですが。この辺の具体内容は、次回のブログで書く予定です。

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2013年8月21日 (水)

「スプリング8による高分子材料の産学連携」は私にぴったりの記事

「大型放射光施設スプリング8 高分子材 産学連携で成果 ナノ構造変化動的に観察 『ここにしかないデータ』活用 競合企業同士で研究会 日本の産業力強化」を8.16付の科学技術・大学面で書きました。お盆用で大きなスペースをとっての読み物記事です。

スプリング8の産業利用は、けっこう評判がよくてあちこちで耳にしていました。とはいえ、施設そのものに巨額の国費が費やされている。それだけに、「今までできなかった何ができるようになり、それがどのように社会にプラスになったか」を明確にすることは重要です。費用対効果として適切か、目を光らせる意識は、メディアの役割の一つと意識して、企画しました。

取り上げたのは高分子材料の「フロンティアソフトマター開発専用ビームライン産学連合体(FSBL連合体)」。ビームライン建設費10億円は19社・機関が均等負担。当初は40社に声をかけ、負担金額が大きいため見送った企業のうち、「入っておけばよかった」と悔やむ社が今、複数出てきているそうです。先見の明を持ってイノべーティブなものに投資する重要性を、広く伝える事例としても、いいですよねえ?

今後、私が攻めるテーマは、こういうのがぴったりだなと思っています。つまり、
1)科学技術政策担当記者として、「国の巨額資金が使われる設備や研究組織」
2)自身の専門性・特徴として育ててきた「産学連携」
3)修士までの専門や業界担当記者の経験を生かせ、日本が強い「化学・高分子材料」
の3点が重なっているからです。こうなると、過去の経験から「なるほど、これはいい!」とか「~の課題はこうやって解決できるんだな」と強く実感でき、それを産業の他分野に展開するにはどうすればいいかなど、よい提案ができるようになると感じています。

もっとも今回の反省も一つ。お盆時期に重なることの読みが甘かったことです。1週間強、各記者が順に読み物を書いていったのですが、私は取材アポの日程が遅かったことから、後半の掲載で手配していました。すると執筆が、取材先の企業や大学や機関の夏休みにばっちり重なってしまい…。途中で必要になった確認事項のやりとりが、PCメールや携帯電話を使ってもなかなかしきれなかったのでした。当番は何でも遅い方が楽、と思いがちですが、ささっと先に済ます方がいろんな意味で正解かしら?

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2013年8月14日 (水)

ライフ・ワーク・バランスのキモ

お盆休みとなりました。メーカーは一斉に休んで設備を止めたりしますが、メディアは夏休みを各自ずらしての分散化です。私は官庁の概算が一段落した9月初めに夏休みを計画しています。ので今の時期は、同様に出勤している人を【探し出して】の取材です。

人と違う選択をするのは、何事も自信がないと難しいですよね。私も春に担当が替わって悩み尽きない状態なので、今年はちょっと迷いました。お盆の高額旅行代金と、時期をずらして皆から向けられる(冷たいかもしれない)視線と、計りにかけて。「ここなら許されるかな」と日程を選んだわけです。本当は有無をいわせないくらい仕事で成果を出して、「じゃ、ここ休むからね!」と、いい放てるのが理想なのですが。

この感覚は多くの人に共通するものでしょう。もっと日々のところでいうと「お付き合い残業」のようなものが、なかなか減らない要因の一つかと思います。でも! 昨今の「ライフ・ワーク・マネジメント」では、そういう気兼ねはナシにしなくちゃというのが、キモではないでしょうか。仕事でも人生でも、自ら必要だと思うことを、自らの判断でするというマネジメントです。ね。ストレスの少ない社会に変えるためには、みんなで開き直ることも必要なのかもしれません(?)。

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2013年8月 5日 (月)

研究の不正の社説で「建前」を書く

8月5日付2面社説で「相次ぐ研究分野の不正 根絶に向け仕組みを改善せよ」を掲載しました。東大の論文不正、別の架空発注と私的流用、ノバルティスファーマと京都府立医大、東京慈恵会医科大と、一週間でこれだけの案件が集中。個々の動きは一般紙の社会部におまかせするとして、私はどんなふうに書こうかと先週は何日も迷っていました。他紙の社説の中には、あまり良質でないものもありました。ニューズ記事の内容をなぞったうえで、問題点を指摘というか、単純に「ひどい」「見逃せない」といった、わりとだれでもいえる文言が並んでいて。これじゃあちょっと単純すぎません? とうわけで、しっかり書かなくちゃという意識も高まりました。

研究の不正の問題は5年ほど前に、一般人の印象にも残る大物事件がありました。そのうえで今回の相次ぐ事件を前にすると、「あのころから何も変わってないの?」と気になりませんか。 ということで、私は「これまで国はこんな対策をしてきました」という背景を先に書きました。それでもなお起こっているわけです。で、3例それぞれに言及しました。論文不正の場合、その後の国の対応で罰則がこーんなに強化されていますよ、と研究者研修などで浸透すれば、けっこう減らせるのでは、という提案です。対して架空発注は、ここ数年、整備されてきた大学の検収センターで対策が採られてきました。PCや測定機器の納品をごまかせなくなっていて有効だけど、今回のようなデータベースやソフトではマトモな発注・納品かどうかは見破りにくく、次の対策がいると述べました。コメントは、下村文科大臣と大西日本学術会議会長のを使いました。そして「防止策は永遠の課題として繰り返し改善していくべし」と結びました。

実は執筆しながらトーンを変えていった部分があります。最初、私は、「世の中の不正ってあらゆるところでイタチごっとで、どうしてもゼロにはならないもの。だから、防止の仕組み作りと改善の努力は、ちゃんとしているのかみていかなくてはいけなけれど、どうしたって時々、事件は起こるよね」との感覚を持っていました。安心・安全の技術だって、リスク低減は重要だけど、ゼロにできないものでしょ、という思いと同じです。でも、社説では、「ゼロにならなくてもしょーがない」とは書けないよね、ということで、「根絶に向けて…」となったのです。

これって「本音じゃなくて建前」に見えます? 建前って悪い言葉ではないのだと、少し前に知って、これでいいんだと思っての執筆です。ある大きめコラムで「建前というのは、理想のこと。旗を掲げ続けなくてはいけない。本音の部分や現実社会は違っていたとしても。理想なのだから」と書かれていたのです。なるほどって思いませんか。というわけで皆様、世の中のあらゆる悪いことは「根絶に向けて」、つまり「根絶を理想として掲げて」、努力を重ねて参りましょう。

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