« 2013年11月 | トップページ | 2014年1月 »

2013年12月

2013年12月26日 (木)

名刺で思うところ、その1

「手元に5枚も山本さんの名刺があるんだけど、どれがどれ?」という電話を、少し前にもらいました。数年ぶりに声を聞いたA先生です。記者としての私の担当はいろいろ変わっても、科学技術周辺というのは同じなので、顔を合わすたびにそのA先生にその時々の名刺をお渡ししていたのですね。「この丸の内の住所は?」「あ、それは文科省が建物を立て替えていた4年間、いたところの住所です」。「九段北というのもあるけれど」「それは移転前の弊社本社の住所ですね」。という具合で、5枚も先生の手元にあったわけ。秘書さんのPC入力でだぶっていることが、整理してしていて判明したようです。

実はA先生は、大学院生時代に授業を受けさせていただいた方です。そんな思い出もあって、少し前にご挨拶メールを送ろうとしたのですが、定年退職でアドレスが不明になっていました。連絡とれなくて残念だなあと思っていたので、ご連絡いただいて幸いです。そういえばほかの先生も、「長年使ってきた大学メールアドレスを、もう使ってはだめと大学にいわれた、ひどい」と怒っていましたっけ。難しいですね。ちなみに連絡の主題は「今度、△(科技系の独法)で記者向けに講演をするから、よかったら来て」というものでした。定年になっても△のプロジェクトで引っ張られるなんてすばらしいです~。

今回はA先生から電話で、文科省記者クラブの日刊工業の席に連絡がありました。でも一般には、名刺の価値って【メールアドレスの有無】にあると思っています。担当が変わっても退職しない限り、同じメールアドレスで何年も連絡がとれるからです。だから、もらった名刺にメールアドレスが記されていなくて、電話番号が代表だとわかると、がっかりです。懇親会で一流企業の社長と名刺交換した時など、こうなることが多いのですが。まあ一度会っただけのアヤシイ相手に、【お願いごとメール攻勢】となるのは困るから、相手を見て情報量の少ない名刺を渡しているということなのでしょうけれど。この場合、申し訳ないけれど、膨れあがる名刺ボックスのことを考えて、その名刺はゴミ箱行きとなります…。

今年はとくに名刺活用が多かったなと振り返ります。担当が変わったため、【名刺交換不要のいつもの相手】に取材にいくチャンスが激減。替わりに文科省の役人をはじめ、初対面の人に多く会い、名刺を配ってきました。このうち、どれくらいと、この先もやりとりしていくことになるのかな…。まあこれは相手も、同じことを私の名刺を見ながら、「山本って記者はこの先、使えるのか?」と考えているでしょうから、おあいこです。ともあれ、今年もさまざまな方と出会い、仕事そのほかでご一緒できたことを感謝いたします。では、よいお年を!

| | | コメント (1) | トラックバック (0)

2013年12月20日 (金)

いつやるの? 明日以降に決まってるでしょ

今年、流行った「いつやるの? 今でしょ!」って言葉、私も好きなんですよ。だれもが経験したことのあるシチュエーションなのに、これだけぴったりした言葉として行き渡っていなかった、という意外さと、それを取り出したセンスがすごいなあと関心していましたから。でも、暦の関係で紙面作りが例年以上に慌ただしいこの年末において、「今でしょ」といえるのは、実は限られたシチュエーションだということに気づきました。

「昨日の締め切り、つまりしなくちゃいけないことは、あれとそれがありました。今日は第一にあれを取材して、出稿はそれとこれと。あ、これは締め切り延期をデスクにお願いできそうだから頼むとして。夜にかけてあれを書きあげたら帰宅可能に」という中では、「いつやるの?」という案件が出てきたら、「明日以降に決まっているでしょ」となるわけです。今日する時間がないというか、もう疲れちゃって疲れちゃって。体調不良にならないようにするのが精一杯です。「今日できることを明日にしない」っていうカッコイイ言葉もありますが、それも嘘でしょう。「明日できることを今日しない」ですよねえ?(笑)

忙しい中で「今する」というのは、上司に指示されたとか、締め切りだとか、仕方がないからやるけれど本当は好きじゃないとか、そういうケースが少なくないですよね。それほどマイナスのものでないたとしても、「今する」ことだけで日々を埋めていくと、充実した気にはなるけど、人生にとって本当に大切なことを忘れてしまう、ということに注意が必要です。それを考えると、「いつ、って、明日以降に決まっているでしょ」という言葉も、捨てたものではないのではないでしょうか。「今日ではないけれど、必ずやりますよ」という意味が込められているからです。

私のこの1年は、文科省メーン担当になっての初年度だったので、分からないことが多くて翻弄されてばかりでした。様子が少しは分かった来年は、もう少しスマートに仕事をしたいなと思います。そしてそれが忙しさが一段落しての、「明日以降でしょ」の「明日」。とあるテーマで、弊紙でも他メディアも試みていない切り口の記事を思案中です。来年もがんばらなくちゃね。とういうことで、気になっていたブログを完成させたので、来週以降でもすむ仕事を残し、このあとは帰宅することにいたしましょう。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月10日 (火)

研究者の〔一輪挿し〕と〔精魂込められた花壇〕

私立大学の研究戦略例で立命館大学を、13.12.6付の一面コラムで採り上げました。大学の研究は、著名研究者も国の競争的資金ゲットも多い国立大が、どうしても中心になります。私立大は学生数が多いし、文系の占める比率が高いため、教育が中心。それだけに私立大の研究力強化は簡単ではありません。

そんな中、立命館大ではグローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO、アールジャイロ)という組織で、学内の研究者の後押しやグループ化、拠点化を進めています。予算は独自資金で年3億円、8年間で24億円を投入。私立大独自の研究支援で、こんなに大きなものは珍しいとのことです。

以前は研究者個人の基盤研究に任せていたけれど、それでは国立大がするような最先端研究と違って、外向けのアピール力が劣っている。ではどうするか? という点を、村上正紀立命館副総長は、R-GIRO発足の計画段階から思案したそうです。「スターの著名教員を外部から呼ぶのだと〔一輪挿し〕。それが枯れたら、終わり。立命館で育てた人材ではないわけだし」。それで、当時はまだ地味な若い研究者も、R-GIROで育てながら拠点化を図り、多様性が特徴の私立大らしい学際融合を実現しようと取り組んだのです。

その結果としてこのほど、文科省の大型新事業「COIストリーム」で、メーン採択ではないものの、数少ない複数案件採択をゲットしました。スポーツ健康科学と、食・農の地域イノベーションです。再生医療とかナノテクノロジーといった国立大で多い最先端技術とは違って、文理融合も期待できてユニークですよねえ? 

村上先生の熱意と発想に関心を持って、「どんなご経歴だろう」とうかがったところ、さすがすばらしいものでした。ご専門は金属材料。京大で博士号を取得した後、米国のUCLAカリフォルニア校で基礎研究を4年、手がけた後に、IBMワトソン研究所で16年! 後半は研究マネジメントにも携わりました。内閣府のプロジェクトで一躍、有名になった(私も以前は知らなかった)DARPAのプロジェクトにも、実際にかかわったとか。その後、帰国して京大で16年。立命館に呼ばれて6年程度たったところです。一流の経歴ながら、変な嫌らしさ(ゆがんだプライド)を伴なわず、オープンマインドで、立命館の研究力アップに力を注いでいるところが素敵です~。

それで、先生の取材の途中に出てきた「一輪挿しはダメだ」といった言葉をぜひ、活用したいと思案しまして。コラムの最後は、こうまとめました。「派手な一輪挿しを求めず、精魂込めて手入れした花壇に多様な花が咲き始めている」と。どうです、内容のよさをひき立てる文章、私もなかなかのものでしょう? 

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月 3日 (火)

金額・人数は実数・比率を(文科省編)

「国立大学改革プラン 年俸教員など1万人へ 交付金配分メリハリ 文科省」を2013.11.27付の弊紙科学技術・大学面に掲載しました。これ、解禁が26日の大臣閣議後会見の後だったので、一般紙はばたばたっと夕方に掲載。一面に持っていったところもありました。私は6月くらいにブログで「今度の国立大学改革はすごいぞ」と書きましたが、その本決まりの内容です。

いろいろな数値目標が出ていて、どれを記事に盛り込もうか迷いました。私が注目したのは、運営費交付金の使い方です。今は各大学の教員人数などに応じて給与向けなど機械的に割り振られているのが大半で、「その大学の取り組みがすばらしいから後押しのため、資金を付けます」という使い方はほとんどされていません。それで「基盤的経費」といわれているわけです。ところがそれが、「組織再編など大学改革を進める大学の支援分(組織再編に伴う人件費や裁量経費)を、運営費交付金全体の3-4割にします」というのですから、すごいですね。もう1つ、「年俸制などの導入を、研究大学で教員の2割、それに次ぐクラスで1割に」促す、という部分もびっくりしました。

全体を通して、文科省から大学に出したメッセージは、以下のようなものといえるでしょう。「研究大学を自任する大学は、どんどん年俸制にシフトして人材流動化を進めてください。研究大学以外でも、組織再編(たんなる新学科設立ではなく、ガバナンス改革を盛り込むなどドラスティックなもの)など進めてください。こういった大学改革に抵抗する大学は、運営費交付金の手当がガクンと減るから、覚悟してください。もちろん、運営費交付金と別の競争的資金は、改革に取り組まない大学には付けませんよ」といってよいでしょう。

結局私は、上記のような比率数字を重視して記事にしたのですが、整理部が手がける見出しはむしろ「年俸教員など1万人へ」と実数を使ったものでした。また、他の新聞は「交付金の3~4割」という比率から計算した「4000億円を重点配分」と実数を使っていて、「そちらの方がよかったな」という反省もありました。

それで思うは、「金額や人数といった数字は、実数(絶対値)と比率の両方があって、より分かりやすいorインパクトのある方を選ぶと、よい記事になる」ということでした。会見のあと個別にこちらが確認すべきだったと反省はしますが、たくさんの数字があると、全部について実数と比率を聞き出してから考える、というのもきついです。ので、さっと数字を出せるはずの発表者側(今回は文科省)の方で、実数と比率の両方を用意しておいていただけると嬉しいです。

ちなみに、会見後のやりとりの中で、数字と比率の両方を話してもらえて、うまく書けたのは、コレ。私の記事の一番最後に入れました。今回の発表に沿ったものとして、14年度予算で改革派大学に付ける交付金をすでに概算要求しています。それを採り上げて、「例えば国際化改革を進める京都工芸繊維大学には、13年度の交付金43億円に対し、14%に相当する6億円の支援を計画している」。ね、これなら支援がいかに大きいか、よくわかるでしょう?

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年11月 | トップページ | 2014年1月 »