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2014年7月22日 (火)

大学人に転ずる場合に効く社会人の博士号

各紙17日付の「室伏広治氏、東京医科歯科大教授に」は、大学、個人ともすばらしいブランドの組み合わせのニュースでしたね。私は残念ながら出席できなかったのですが、30人近く会見に集まったのだとか。これ、私が5.21付で書いた「東京医科歯科大 医歯学で五輪選手支援」のスポーツ研究のセンターを再編・強化する記事の中で、「スタッフにトップアスリートを迎える」と書いた部分です。一般紙ではない弊紙としては「それはだれか」ということはさほど重要ではなく、取材当時は「ふーん」ですませていたのですが、それが室伏さんだったわけです。納得です。

納得、というのはずっと以前、「室伏さん、博士号を取ったんだ~。オリンピックメダリストで博士号なら、かなりよいお仕事の引き合いがくるはず」と思った覚えがあるからです。その前段階として、「メダリストというだけだとスポーツ実務の指導者ニーズしかなくて、意外に長期安定・高収入の職業につながらない」と聞いていたのもあります。一般受けする仕事の実績プラス、大学で認められる博士号があってこそ、ハイクラスの職につながるといえそうです。

また、別の私立大学で、前職の肩書きのすごい優秀な方を役員クラスに招いた例がありました。「△さんを呼ばれるなんてすごいですね。(ライバル大学の)□大学の学長が、ものすごく悔しがっていましたよ」と私がいったところ、「彼を次の学長に、という話もあるのだけどね。博士号、持っていないので難しいともいわれているんだよ」と某教員の返答でした。そうかあ。理事長は経営トップだから、企業役員や政治家の経験でOKで、最近とみに目立つ気がしていました。でも、学長は教育・研究を束ねる教学トップだから。研究者でないうえに博士号も持ってないの? と周囲が納得しないようです。

社会人が大学人に転ずる場合、いくつかの種類がありますが、上の二つは「かなりの社会的実績が高い人」の場合です。そのうえでの博士号のありなしが効いてくるという話です。室伏氏の件は「鬼に金棒」で、某大役員のケースは「金棒を持っていない鬼」といえますか。これに対して、私の知人や周囲で多いのは、一般の企業人が社会人の博士号を取得して、大学教員に転じようというケースです。ただこれは昨今、かなり厳しいのが現状です。少子化と大学財政難で縮小傾向のポストを、普通の研究者と競ったりするわけですから。

というわけで、大学人に将来、転ずることを思案する社会人の博士号希望者に、私はこういっています。「社会人としてのほかに類のない実績が築けたら、鬼になる。博士号は金棒です。金棒だけ持ってたところで鬼でないと、振り回したって恐くない、とみなされちゃう。まずは鬼になるのを先に目指さないとね」って。

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