古本をキャスターケース一杯に詰めて
もらったけれど関心のない本が棚やロッカーの場所を占有していて、ずっと気になっていました。出版人の多いパーティに出席して名刺交換したら、書評希望の本が送られてくるケースが出てきまして、かなり積み上がっていたのです。で、以前から狙っていた、中古書店「ブックオフ」持ち込みを決行しました。
自宅からわざわざキャスターケース(3泊旅行のサイズ)を持参して、記者クラブで本を詰めて、近くのブックオフ(近接の都心3区を調べると1件しかない。オフィス街には適さないからですね)へ運びました。周囲に声をかけたこともあり、単行本中心に計50冊超! 「はみ出して、デイパックで背負って運ぶことになったらどうしよう。次回に回そうかしらん。でもそうすると、『本が場所をとって』と気になる期間がさらに長くなる…」と迷っていたのですが、ほぼちょうどで入りました。「ブックオフはそれぞれの本の価値を全然、みてくれなくて、安いよね。通の古本屋と違って」なんて話していたのですが、意外にも! 予想以上の金額になっていい気分。皆にバックする計算をちゃんとしなくっちゃ…。
査定をしてもらっている間に、コンビニで軽食を買って、近くの公園でお腹をみたしました。「私の初著書も、読者の皆様の手を離れてブックオフに回っているかしらん」と思いながら。別に嫌じゃないんですよ。そりゃあ、「これは役に立つから取り置いておこう」と皆が思ってくれるのが理想だけれど。「読んで頭に入ったから」「入手してみたけれど、今の自分には必要ないとわかったから」、古本屋に出してもらうのは構わない。そこで別の、関心ある人の手に取ってもらって、役に立つのなら嬉しいわけです。
嫌なのは、「読みたくもない人の手に渡って捨てられること」です。冒頭の「書評お願い」で勝手に送りつけてくるものなどは、その可能性の高いタイプの筆頭でしょう。私も初著書で様子がわからなかったから、出版社のいわれるままに同様に送られていったのですが、採り上げてくれたところはごくわずか。私と親しくてこの本の内容に関心を持ってくれた人がいた新聞社や学会しか載りませんでした。同業他社モノ(出版は丸善出版ですが内容が「自分にも書ける」と思わせたとか)で冷たくされたのもあるのかな?
今だから打ち明けると出版前、勝間和代氏の「「有名人になる」ということ」という本を読んでいました。もちろん「本がベストセラーになればいいな」と思ってですが、「世の中、どんなラッキー・アンラッキーが降ってきて、著名になるかわからない」という気持ちもありました。SNSの内容で大失敗して、プライベートが暴かれるケースだって、これはアンラッキーの方ですがあるわけだし。この本はけっこうおもしろかったですよ。衆人に見られてあれこれいわれるようになる、それを気にしていたらやっていけない、とかね。実際、ベストセラーで著名にならなかったからこそ、公園の片隅で「あらやだ、安かったのにおいしいじゃない」なんてつぶやきながらコロッケをかじっていられたわけです。
でも。ベストセラーにはならなかったけれど、ロングセラーについては夢をまだ捨てていません(笑)。「研究費が増やせるメディア活用術」ってタイトルなら、これから育ってくる若手研究者が順に、関心を示してくれるのではと思うから。年長者と親和性の高いマスメディアだけでなく、若手の主対象となるウェブメディアにも言及して、わざわざ「メディア」と広い言葉で表しているのだから。ま、20年後のブログで私が何と発言するかをお楽しみに。
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