「ロミオとジュリエット」の舞台で、若手とベテランを思う
舞台「ロミオとジュリエット」を観てきました。ロミオ役は菅田将暉さん、ジュリエット役は月川悠貴さん。蜷川幸雄氏の演出の「オールメールシリーズ」なので、シェークスピアの時代と同様、出演者は全員が男性です。劇場の案内HPはこちらです。
http://saf.or.jp/arthall/stages/detail/1160
この作品は「すばらしい悲恋ストーリー」ということになっていますが、普通の大人が何も準備せずに接すると、「???」と思ってしまう作品ですね。いろいろなことが極端すぎて。まあ、〔通〕ではなく〔一般〕に向けたお芝居や小説は、表現が激しくなるのものであり、その変なところを楽しめばよいのでしょう。私は今回、訳の違う2つの文庫(戯曲なので実際の台本とほぼ同じ)を入手、解説を読んでさらに楽しんでいます。
それで、私のブログとしては「仕事」につなげた感想を。この作品は冒頭のけんかシーンでのチンピラ役をする20歳前後の若い男性が大勢、出演します。まだ役者経験がさほど長くない世代ですが、剣を振り回す殺陣もあれば、場面展開の真っ暗闇(床にごく小さな灯りが点灯しているだけ)で小道具を出し入れし、舞踏会(原作と違って怪しげな前衛的なダンス)でははっきりメイクをした美青年群として踊りをし…。実は今回、身内が参加しているので裏話もいろいろ聞いており、「短期間でこれだけのことをこなすようになる力の伸び、その若さはすごいなあ」と関心したのです。
蜷川舞台にいつも登場するベテラン陣も、さすがの存在感です。ですが、「殺陣をやって、小道具を出し入れして、前衛ダンスをして」というわけにはいかない(笑)。若ければ何でもできる(させられる)けれど、年齢を重ねたら経験で高く評価されて仕事をするしかないのですね…。我が身を振り返って、しみじみ思います。
もう一つ、俳優の仕事で気づいたのは「本番のステージより、稽古の方がはるかに大変だ」ということ。せりふを覚えるのもありますが、厳しい指導&変更相次ぐ稽古を通じて、求められる動きを身につけていくのは、考えてみると大変なことです。
私たち記者の仕事もそうかもしれません。スクープ記事は執筆より、夜回りを含め取材が大変なことはいわずもがな。普通の企画記事でも構成を考え、題材を探し、意外で魅力的な言葉を取材先から引き出す部分での方が、力の差が出ます。というわけで今も記事も、「ここに至るまでが大変だったわよね」も振り返りながら執筆を進めています。
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