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2014年9月

2014年9月26日 (金)

国会前に髪型と睡眠を変える

髪型を短く変えました。職場でだれにも何もいわれません(!)。「ハラスメントに気を付けるあまり、見かけにかかわることは口にしないようになっただけ」と前向きに解釈しています(笑)。私自身は、ちょっとまだまとまりづらいものの、白髪がものすごく目立たなくなり(!)、洗うのも簡単で。「国会が来週から始まり忙しくなっても、これなら平気かも」と気に入っているのです。

国会の開会中はいつも「朝早い大臣会見、弊紙としては文字にならない(記事にならない)ものも多いのに、おっくだなあ。この担当、変わりたいな」と思います。でも閉会中は「省内のネットワークもだいぶできたことだし、この担当もそう悪くないな」と考えます。いつも、その【繰り返し】です(笑)。

同様に睡眠の取り方も国会に合わせて【繰り返し】です。開会中はたぶん平均的な睡眠時間で、疲れている時は「とにかくたくさん寝る」ことを最優先です。それが閉会中も癖になり、すっかりいぎたなくなってしまいます。つまり、「まだ寝られるのに起きるなんてもったいない」という感覚です。もう睡眠時間が十分足りているから、朝方夢うつつでしっかり眠れず、10分たってまた目を覚ましたりして、うーんうーんとうなりながらも、起きない。…どう考えてもちょっと、恥ずかしいですよね。

その点については、国会(秋は臨時国会)スタートがいいきっかけです。朝早くからてきぱきと動く活動スタイルにシフトします。これもまた、開会前にいつも思うことで【繰り返し】。よくいえば【初心忘れず】。ちょっと違うかな? まあ、またがんばってまいりましょう。

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2014年9月22日 (月)

27万人が読む科研費改革の記事

「科研費改革 基礎研究の幅を広げる議論を」という社説(2014.9.22)を、科学技術・大学面でのニュース「科研費 文科省が改革 国際化・分野融合に軸足 特設分野研究を拡大 イノベーション創出後押し」(2014.9.9)に続き、執筆しました。科学研究費補助金(科研費)は年予算2400億円、すべての競争的資金の半分、毎年7万人の研究者が活用しています。理工系であれば、すべての教員が活用するといっても過言ではないものです。11月上旬の締め切り前は、仕事先の先生に「科研費申請で大わらわらなのでその辺りはちょっと…」といわれることもしばしばです。申請資格としては27万人があるというので、きっと27万人がこの記事に注目したことでしょう(笑)。

内容は、「文科省は科研費を、国立大の運営費交付金のような『基盤的経費』と、目的指向型が大半の『競争的資金』の中間に位置付けし直す」というものです。科研費は競争的資金の一つだけれど、文理を問わず学術・基礎の全分野をカバーするもっとも基本的な研究費。これまでは研究者の自由な基礎研究、くだいていえば「社会での活用は何も考えなくていい」研究を支援してきたけれど、イノベーション創出の元になるような基礎研究の推進に使うよう変えていく、というものです。背景には「基盤的経費と競争的資金をデュアルサポートとして、大学や研究機関を支える」としてきた仕組みが【破綻】しているという状況があるのです。

【破綻】って、取材先の官僚が口にしたんですよお。2004年度の国立大学法人化以後、大胆に進めてきた文科省側が、こんな言葉を使うなんて私もびっくりしました。「デュアルサポートでバランスよく」と設計していたのに、実際は交付金が激減で競争的資金依存が高まりすぎ。その結果、競争的資金がとれない分野は人文社会学はもちろん、工学でさえ切り捨てが進んでいる。「大学でさえ学術・基礎研究の弱体化が大問題になっている」という状況を指して、破綻といったわけです。

実は科研費のちゃんとした取材をしたのは、今回(今春から着目していた)が初めて。話を聞いて、いろいろ腑に落ちる事柄が出てきました。「若手も中堅も、所属する学術分野のコミュニティーに過度に気を使うのは、科研費のリーダーや審査のボス格ににらまれれたら干されてしまうから」とか。「細目(専門分野)は300にも分かれていて、狭い範囲に入り込むタコツボ化が起こりやすい」といか。そうなんだ~、学術研究でよくいわれる問題って、科研費の仕組みがつくりだしていたんだ~、って。

ということで、分野横断研究や、若手の海外行きを後押しするような制度に変更し、これらの問題を解消しようとしています。科研費制度創設から約50年、初めての大がかりな改革だそうです。となると、「かつて科研費を使っていた」という高齢研究者も関心を持つかもしれません。私の記事、読者は27万人どころではないレベルかも?!

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2014年9月 9日 (火)

国立大出資、京大と阪大が第1号

最終面で「文科省、ベンチャー支援本格化 国立大出資で”革新”創出」を掲載しました(2014.9.9)。1日に発表のあった、国立大出資で京大と阪大が決まったニュースを受けての内容と、先に進んでいる大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)の事例を合わせて、文科省の大学発ベンチャー(VB)支援事業をまとめました。

私は前文でも触れたように、「失敗を怖れないイノベーション創出へ、大学も国も意識を変えるエポックにある」という気持を込めて書きました。大学の研究支援事業は、「研究なんだから(社会の豊かさにつながらなかったとしても)、その点ではすべて【成功】」としてしまうのが一般的。でも、VBは違う。成功が1割で、失敗が9割かもしれない。それでも仕方がないし、それが普通。「公的資金は効果的に使いたい」と安全策に走るものだけど、「イノベーションを生みだすのなら、それくらいの失敗(資金の無駄も)を認めないと」という視点です。これ、私の独自の考えというより、東京大学の石川正俊教授(産学連携の東大副学長時代からのお付き合い。START事業の設計や自らのVBにかかわってきた筋金入り)に以前からこんこんと説かれていた考えです~。

国立大出資は今年に入ってから、メディアの報道競争が激化。私はどちらでもいい報道合戦は避ける方なのですが、これは大学・産学連携担当で10数年の私としても日刊工業としてもはずせない。ので何ヶ月もずうっと気にして落ち着かない案件でした。

まず阪大のVC計画の方向性を掲載(2014.2.24)。次は産業競争力強化法の改正で4月から実際に事業が可能なることを受け、「なぜこのような大きな事業が始まるのか」を解説(2014.3.17)。さらに国の審査が簡単ではない背景と、民間VCの批判(匿名で登場)を掲載(2014.5.2)。そのあとは、「どこが認定第一号か?」の大きなニュースをにらんで待機状態になりました。

夏になって日経ががんがん動いてきました。私は「阪大がリードしているが京大と競っている」という状況を正しくつかんでいたのですが、これって社長人事と同じ。かなり迫っている時期に「A氏かB氏」という記事は書けないですよね? 半端すぎて。多数の取材の結果、間違いないとなって初めて、「社長はA氏」と打つ(記事にする)のですが、まだそこまで実際、話が詰まっていなかったのですから。ところが日経は、それまであまり書いていなかったのを補うべく、「阪大が第一号」という表現も含め打ってきました。これって「書き得(どく)」って意識ですね。たとえ不完全な内容でも、それが判明するのは少し後で目立たないから、「まあまあの段階で書いちゃった方が、いい記事に見えて得」という業界用語に相当します。そして結果。9.1に発表、第1号は京大と阪大と同時認定でした。

上記のような状況でとりあえず一段落です。次に「ファンドはどんなのをつくるのか」「その出資額は」というのが関心事になります。でも、2大学それぞれの合計出資額はもう決まっていて、それをいくつかのファンドで分け合うだけの話なので、今回のようなばたばたにはならないことでしょう。落ち着いて、「本当に意味のある大学発VB支援は何か」という点を、きっちりと書いていきたいと思います。大学が、「研究だからみんな成功、実用化にならなくたって知ったこっちゃない」という意識から、「失敗を怖れずに挑戦し、社会にとって重要な技術を花開かせよう」という意識に転換し、その姿勢が根付いていくようにと見守ります。

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2014年9月 8日 (月)

「無人島の王者になろう」

社説で「研究領域の多様化 ”無人島の王者”を目指そう」を書きました(2014.9.5)。文部科学省の科学技術・学術政策研究所の調査報告「サイエンスマップ2010&2012」を受けての執筆です。取材しながら「これは絶対に社説で展開しよう」と思ったくらい、私自身も関心を持った案件です。

日本では今、イノベーション創出に向けて人材などの「多様性確保を」や、ベンチャー支援で「ハイリスク・ハイリターンへの挑戦」を重視しています。日本は苦手の部分です。でも企業と違い、大学をはじめとする研究の分野で、それも世界のトップクラスの論文についての【多様性】の話です。「日本人だってそれなりのものでは? 先陣のいない分野を切り開こうという志を高く持って活動しているはず」と私も思っていたのです。

ところが。この分析では、日本は「生まれては消えていく新たな”小島”領域への参画が少なく、確固とした”大陸”領域の論文ばっかり」という現状がくっきり…。具体的には、日本の参画領域の内訳は小島型が26%で大陸型が33%。世界平均は小島型40%で大陸型19%と、新たなものの創出に意識が向いているのに。「実態はこんななの?」とがっくりです。競争的資金が取れる”皆がやっている分野”にだけ目を向けて、「競争が激しくて研究者は疲弊している。これは国のシステムのせいだ」と批判しているだけじゃないの? 「創造的であるべき研究者が、そんな保守的でいいのか!」と活を入れた(表現はもっと上品ですが、笑)社説です。

社説のタイトルも抜群にいいでしょう? キャッチーで。取材先の担当者は「小島」としか言っていなかったので、私が作った言葉なのよ~。私の持論もこれからは、「博士研究は無人島の王者になるためのもの。大陸の大勢の市民の1人じゃ、博士号に相当しないのよ」という表現に変えて、若い人を刺激するとしましょうか。

実はこの社説でいい反応が。政府関係の重要人物がこれを読んだらしく、報告書をさっそく取り寄せたのだとか。まあ~、嬉しい。この報告書のニュース記事も書いている(2014.8.13)のですが、ほんの小さな記事で。それが、私の問題意識によって社説で展開できたからこそ、次の広がりになったわけです。記者も研究者と同じ。人が気づかない切り口でよい仕事をし、無人島の王者を目指しましょう!

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2014年9月 1日 (月)

気の強さ、記者vs理研理事長

概算取材で慌ただしい中、理研の研究不正再発防止アクションプラン&STAP細胞中間報告の会見がありました(2014.8.27)。今なお、「科技ネタだけど、強気の社会部系記者が多い不祥事会見の熱さ」が続いています。

記者の強気は例えば、理事長の辞任はないのかという質問が、言葉を変えつつ3回ほど出たことが象徴です。ほかに「~というのはおかしくありませんか」というキツイ表現で会見者を攻める質問も。会見でのやりとりで出てきた言葉を捕まえての攻撃だと、記者側の勘違いというケースも出てきます。今回もそれを指摘される場面があったのですが、記者は気にしていない様子。すごいです。私は社会人として気の強さは「並」だと思うのですが、こういう場にくると「気弱」に思えてしまいます~。

もう一つ、感心するのは、いわゆる大手著名メディアでなくても、記者自身が意に介していないこと。フリージャーナリストとか、報道機関としての色が薄いウエブ媒体の担当者とかでも、一番最初に質問したりします。私は、自分の所属する日刊工業新聞は、一般紙など大手メディアと「違う」とは思う。けれど別に「下」とは思っていません。でも、「大手は自分たちが上だと思っているだろうなあ」と認識しているので、質問そのほか一般的に、大手記者に対して「After you」(お先にどうぞ)という態度を取っています。ので、そうではない記者らを目にして「ウェブが急拡大しての新現象だな」と思いました。

そして強気といえば、野依理研理事長。辞職について3回、問われても、「プラン遂行が理事長のすべきこと」という内容を3回、繰り返す一本槍。別の表現を用いて、相手に理解してもらおうという工夫はありません。ほかの理事も含め、役員がだれも替わらないなんて、企業(産業社会)の常識ではちょっと、考えられないなと皆が口にします。けど、気にしないんですねえ。今後の不正防止の体制など発表をする一方、理事長自身は「基礎科学研究は研究者が自立的に取り組むもので、著者が研究不正の全責任を負うのが本来だ」という内容を、これまた3回くらい繰り返していました。

私は「研究不正の本来の責任は研究者個人のもの。とはいえ、一握りの超一流の人材だけで研究が回っていた時代とは違うので、組織としての対応が必要になってきている」と思います。でも、理事長は競争的環境の中で生き残れる一流の研究者に気持が向いてしまうのでしょう。ノーベル賞受賞者ですからね。信念なのでしょう。「強気の人」は「何をいわれてもぶれない、信念の人」と言い換えることができるかもしれません。

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