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2014年12月

2014年12月28日 (日)

年齢や学歴を知らせてしまう理由

「1964年生まれって出すなんて、山本さんらしいね」。2冊目の本「理系のための就活ガイド」を贈った学生時代の恩師は、そういってくれました。そうなのです、東京オリンピックや新幹線と同じ年に生まれた私。先ごろ50歳の区切りを迎えました!

一般論として、「プロフィルを出す機会があった場合、年齢や学歴は一般に、なるべく見せた方がよい」というのが私の考えです。初めての相手が「こんな人なんだ」とわかるというのが理由の一つです。そしてもう一つの理由は、「昔の知人と再会するきっかけになる」からです。

今秋冬は、同窓会を含め、高校や大学時代の知人と再会するチャンスがなぜか多かったのです。そして実際に何人かに「名前をみて、あれっと思って、プロフィルで年齢や大学がわかったので、間違いないと思ったよ」といわれました。「だから声をかけたんだ」という人もいて、お礼の後の名刺交換で「まあ、こんなお仕事しているの。取材に参りますよ~」と仕事にシッカリつなげる(もちろん相手が喜んでくれる範囲で)よう動いちゃいました。

何事でもそうですが、「問われても答えない」のは、「よほど隠したいこと」。大人はマナーとして、それ以上は突っ込んで聞かないものです。さらに「出した方が自然なのに出さない」のも、「あまり知らせたくないのだな」と感じさせます。

これに対して、年を重ねていたって、出身校がブランド校なくたって、さらには田舎育ちだって、親御さんを早くに亡くしていたって、結婚していないとか子供がいないとか離婚しているとか再婚が2度あるとか(めったないかな、笑)、そういう表に出せる(おしゃべりの席で口にできる)人は、「これらのことにコンプレックスを持っていない前向きな人なんだな」と感じさせます。話す内容ではなく、「自ら話すかどうか」でその人の人間性が明らかになる、というのは興味深いものですね。

年齢の場合、実年齢より老けて見える人なら「落ちついて見えるのに、まだまだこれからなのですね!」となり、実年齢より若く見える人なら「若くみえて素敵ですね!」となる。あ、ちょっと前向きすぎかな? 

社会生活では、「なるべくよい方に解釈する前向き姿勢」が基本。でも、「締めた方がいい場合は、マイナスの可能性も考慮して慎重に」というバランスが大事なのだと思います。今年もブログ読者の皆様にも、いろいろなことがあったことでしょう。来年はどうなることかと思いを巡らせることでしょう。そのどちらにおいても、「基本はプラス思考&適度にマイナスの判断」で。この形でどうぞ、来年もおつきあいくださいね。では、よいお年をお迎えください。

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2014年12月22日 (月)

STAPの次、各機関は防止策浸透を

「STAP細胞、再現できず」の区切り会見と、これから各研究機関はどう動くのか、2014.2.22付の弊紙終面で採り上げました。見出しは本数が多いので一部をご紹介しますと、「個人の責任から組織の責任へ」「再発防止策の浸透課題」「倫理教材、米が手本」といった具合です。会見など「今」と同時に、研究大学の副学長談話を折り込んで「これから」を書いたという具合です。

研究者にしてみれば、論文取り下げで『STAP現象はなかったこと』になった、それでおしまいでしょ、という認識です。普通なら後は組織の中で、なぜこんなになってしまったのか、責任はだれがどうとるのか、と進められていくものです。でも小保方氏の件は社会問題になってしまった。ので、通常と異なり、一般紙などはいつまでも派手に書き続けている状況です。ですので専門紙の日刊工業新聞としては、「次」つまり「文部科学省の改訂指針を受けて、各大学は研究不正防止策をしっかり浸透させているか」の方が重要と考えたわけです。

今回の仕事は実は、別の面でも印象的なものでした。最近、科技部に戻ってきた同僚が相方となって動いたからです。彼とは究経験などで通じるところも多く、考え方も似ているので、単なる相方というより【相棒】という気分です。あさっては本人にとって初の組閣体験を私がリードすることになります。20年ほど前、私が初めて企業担当になった時、15歳上の先輩と組んで始終、議論しながら仕事をした体験と、ちょうど逆の立場。なつかしいような、新鮮なような、不思議な気分で。新たな人事は新しい風を運んでくる、というのは本当ですねえ。自分自身は長年、大きく異動をしていないくせに(笑)、そんなことを思ってしまう私です。

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2014年12月14日 (日)

優秀な人ほど「基礎をきっちりと」

今年の本業でのトピックスはなんといっても小保方さんのSTAP細胞でした。さまざまな角度から報道されていますが、私がもっとも身に染みて感じたのは、「若いうちは基礎を地道にきっちりと、身に付ける場が欠かせない。優秀で要領が(時に容姿も)よいと様々なことが先走り、本質的なものを身に付けるチャンスを逃してしまう」ということでした。人材育成については産も学も「基礎をしっかりと」と口をそろえるのに対し、これまで私は「そんなの当たり前でしょう」と感じていたのですが、今回その意味がよくわかりました。「発展を急ぎすぎると、せっかくの逸材もゆがんだ成長をしてしまうので、注意が必要だ」ということなのだと。

これは自身の大学院修士時代の研究を振り返っての思いもあります。私の場合は実験の要領も悪く、データも出ないなど悩み満載でした。けれどもほぼ毎朝、でしょうか。助教授室から研究室に顔を出す先生に、「山本さん、どう実験は」と聞かれていれば、悩みも一人で抱えることもありませんし、データ不正をする隙も生まれません。独立心旺盛な【早稲】の学生であれば、少しうっとうしい面があったかもしれませんが、【奥手】の私は先生の人柄で育てられたのだと実感するのです。

このほど私は2冊目の書籍「理系のための就活ガイド」を刊行することができました。「理系の皆様が文系との違いを把握したうえで、上手な技術コミュニケーションができるよう、お手伝いをする」のは私のライフワークになりつつあります。修士の研究の壁を乗り越え、科学技術にかかわる別の職業人としての積み重ねによって、可能になったものです。大学での学び、そして今回の同門会のような縦・横さまざまなつながり――。これからもこの宝物を大切にしていきたいと思います。ありがとうございました。

……とここで、「?」と思われるのではないでしょうか。「今回の同門会」「ありがとうございました」という表現で。これ、実は先の土曜に開かれた、関連する5教員出身研究室の卒業生が集まっての会での挨拶文なのです。「挨拶文、メモをつくらなくちゃ」と思案した時に、ブログでも使うことを思いついたのです。えっ、手抜き? いえ、これは合理的っていうんです。合理的な理系研究室出身の皆も共感してくれたはず…かな?

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2014年12月10日 (水)

今年の締め、STAP会見はいつ?

会見が「12月第二週ではないか」なんて噂もしていてた小保方氏のSTAP細胞検証実験の結果報告。今のところ動きナシです。気になる。最近、ライフサイエンス担当になった若手(中堅?)の同僚と「夕方だと思うけれど、ノーベル賞の報道と当ててくるかなあ」とか、「このあたりの日程なら、取材キャンセルして対応できるよ」などと相談しつつ、先にできる原稿の準備を進めています。

私「まだアナウンスがないなんて。もしかしたら、理研としては、派手にメディアが扱わないよう、本当に年末押し迫ってからの設定をするかもよ」、同僚「え、それって12/29に会見とか?」、私「ある意味、会見する方が自由に選べるわけだから。あ、でも一般紙の夜回りで先に記事が出るとか」、同僚「夜回りって、どこへ?」、私「野依さんちとか」、同僚「野依さんちかあ~」。

そうこういっているうちに、今日の午後にでも会見案内が張り出しになるのでしょうか…。今、お正月企画の取材やら、「年内に出してね」という記事などなんやらで、かなり忙しい。おまけに来週からは、選挙後の政府の動きも出てくるかと…。ええい、会見するならするで、早いところ実施して~!

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2014年12月 1日 (月)

東大新総長、産業界とのネットワーク情報も

「博士教育改革期待高まる 東大新総長に五神(ごのかみ)氏 光科学の第一人者 経済界との絆強く」の解説記事を、2014.12.1付の弊紙科学技術・大学面で掲載しました。私は半年前に、大学の人事・給与システム改革で先生を取材していたのが幸いでした。

たった一回の取材実績ですが、会見場で名刺交換をしている大半の記者よりは半歩だけ先です(えへん!=自慢の咳払い)。「学生と議論している時が一番、好きで安らぐ」といったエピソードも出ますが、「研究者らしい研究者」なのは一面に過ぎない、と見抜きます(えへん!)。会見の発言と前回の取材、東大理工系全体の問題意識を付き合わせて「文系の浜田純一現総長が秋入学など学部改革に取り組んだのに対し、博士教育と研究者の雇用問題に対する意識が高い理系の研究者」という点を、リード文(前文)で記しました。

実は総長選出の結果待ちの日、「理系総長だったら弊紙としては、なんとか書き込みたいところ。でもほかの二人の理系候補は面識がないから困っちゃうなあ」と、なかなかエンジンがかからなかったのです。5人の候補の最低限の情報は集めていたけれど、「選出ケースの5分の4で、その情報は不要になる」と思うと、長時間かけての準備は、合理主義の私にはちょっと…。けれども連絡が来て、「さあどうだ!」「わああ、五神先生だ」ということで即、大車輪で動くことになりました。

この記事、もう一つのポイントは五神氏の人的ネットワークを採り上げたことです。 産業構造審議会の委員会委員長をしていての経済産業省、センター・オブ・イノベーション(COI)事業を通しての文科省、大学改革で政府の顔となっている橋本和仁東大教授、北山禎介三井住友銀行会長と親しいことによる経済同友会とのネットワーク。経団連でも勉強会を開いているということです。産業専門紙の弊紙の読者に「へえっ」という記事が提供できたのではないかと思っています。

この情報、実は多くが私の【知恵袋】に聞いた内容です。取材時のおしゃべりで話題になり、いかに魅力的な人か聞いていたのが生きました。記者会見場に出むく前に「情報をぜひ」とメールをしていき、その後の執筆につなげたというわけです。

一般に知られていない側面をしる自分の【知恵袋】からの情報。自分が持っている他メディアとは違う情報や視点。その両方があっての記事に仕上がりました。記者に限らずどんな仕事でも、若手だと「教えてもらったことをそのまま」というだけの、年長だとつい「自分が知っていること」だけで、仕事をしがち。でも、その両方があるとぐーんといい仕事になる。記事はまさにそう。そのことを改めて実感いたしました。

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