20数年前と3年前の写真
東京工業大学の元学長の訃報を2015.2.20付2面に掲載しました。田中郁三先生、89歳です。連絡を受けた仲間の記者が執筆、私が確認に動きました。顔写真を、訃報リリースを出した東工大総務課に問い合わせると、あまりに古いからでしょう、「ない」とのこと。弊社の記事データベースにも出てきません。でも、社にはあるはず。というのは大昔、私が取材して顔写真を使った覚えがあるからです。入社まもない90年代初めだったので、データベースも完全にはカバーできていないのでしょう。
採り上げたのは、弊社の長寿連載「わが友わが母校」です。ある大学教員の大先輩(武蔵高校&東工大)として仲介していただき、田中先生が初代の学位授与機構長を務めていた時分にお話をうかがいました。大正生まれで私立の一流高校、当時の思い出の写真はテニスウエア姿。笑顔は高校生の時と同じです。「優秀なうえに家庭も裕福、笑顔をはじめ人としての余裕もそれゆえに」と、幼稚園以外(博士まで)すべて公立の私は感心したものでした。もう一つ、仲介してくれた教員と3人で、取材後のランチもあって、生まれて初めて【松茸の土瓶蒸し】を食べた(社会人まもないころ、もちろんごちそうになってです)記憶まであります~。
そんな思いにふけっていると、本社から写真が見つかったとの連絡。紙焼き(当時、フィルムの画像に対して、プリントしたものをそう呼んでいました)の顔写真を貼った台紙には、確かに先生の名前と所属が私の文字で書かれていました。「これ使うの? あまりに古くない?」と思ったのですが、最近は葬儀の写真も比較的、若い時のを使いますよねえ。20数年前の写真なら、だれだって「若い時のものネ」とわかる、つまり誤読につながらないわけで…。結果、紙面では顔写真入りの訃報記事となりました。お~、ベタになるところだった訃報が、顔写真で抜群に目立つ形に変わっていました。
実は今、私自身の顔写真に困っています。外の講演やシンポで「顔写真を」といわれた時に提出するお気に入りのものは3年前のもの。そろそろリニューアルが必要です。ところが、髪を短くする大きな流れ(私史上のこと、笑)の中で、「ここしばらくはこの髪形」と決めて、定番の写真を撮りたい。のに、それがなかなか落ち着かないためです。「写真にこだわりすぎるのは、自意識過剰の証明」っぽくて恥ずかしい。以前、あるシンポの匿名Q&Aコーナーで「提出する写真は、何年くらい前のものまで許されるでしょうか」というのがあったっけ…。でも確かに、田中先生の20数年前の写真の復活事例を思うと、ね。こだわっちゃいますよね。やっぱりもうひと粘り、することにいたします。
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